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ペレアスとメリザンド その1

 タワーレコード限定で、デジレ・エミール・アンゲルブレシュト(1880/9/17 - 1965/2/14)最後のペレアスとメリザンドの録音(1963年3月12日)が発売されるとのアナウンスがありました。その存在は有名でしたがLPのみでの販売で、私自身も耳にする機会がなく、待望のリリースです。
 クナッパーツブッシュのパルジファルを連想しますが、全八回の放送録音が残されている(1955年、1957年、1958年、1959年、1960年、1961年、1962年、1963年)との記載です。簡単に聴くチャンスがあるのは定評のある1962年のステレオ録音でしょう。ペレアス役はジャック・ジャンセン(1913/11/22 - 2002/3/13)で、初の全曲録音デゾルミエール盤(1941年)、クリュイタンス盤(1956年)でも歌っています。明るく柔らかな声質のバリトン・マルタンと呼ばれる代表的な一人です。他にも著名なのはシャルル・パンゼラ(1896/2/16 - 1976/6/6)、そしてカミーユ・モラーヌ(1911/11/29 - 2010/1/21)。今回リリースの1963年ステレオ録音にはモラーヌが参加しているそうです。
 実はアンゲルブレシュトについては、前記八回以外の録音が二つもリリースされびっくりでした。一つはイギリスのTestamentから突如リリースの1951/6/1録音フィルハーモニアOとモラーヌ、シュザンヌ・ダンコ、アンリ=ベルトラン・エチェヴェリらの、BBC放送用録音。もう一つはモラーヌ生誕100年記念として、1952/4/29の手兵フランス国立放送とのシャンゼリゼ劇場での初演50周年ライヴ、モラーヌ、ダンコの主演二人は共通の録音です。後者は既に抜粋だけが聴く事ができたのですが、その際録音状態あるいは保存状態の悪さから全曲でのリリースを断念した旨が示唆されていました。こうしてみるとますますクナッパーツブッシュのパルジファルそっくりに見えます。
 リリースされた録音ですが充分に楽しめる音質ですし、伸びやかでライブので雰囲気も豊かです。前年のイギリス録音はスタジオ収録の雰囲気か、より凝縮した音でこれはこれで素晴らしい。
 結果私はモラーヌとの二種とジャンセンとの1962年ステレオ録音しか聴けてなかったところでしたが、まもなく評判の1963年モラーヌとのステレオ録音を聴くことができそうです。(この項続く...)
 

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