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ジャン・マルティノン(1910/1/10 - 1976/3/1)とフランス国立放送管弦楽団のライブ集(マーラー、サン=サーンス)

 最初にジャン・マルティノンの凄みを実感したのはEMIへのサン=サーンス交響曲録音、第三番第一楽章後半のポコ・アダージョ、そのゆっくりと深い息遣いにびっくり。定評あるドビュッシーやラヴェルの演奏でも随所に同じ美点、本質的にアナログな(悪口ではないですよ念の為)ミュンシュやもしかするとフルトヴェングラーから連なる古い世代の末裔なのだと思います。INAのアーカイブからライブのベートヴェン、ブラームス、マーラーなどがコンスタントに発掘されてきました。
 今回は先述のサン=サーンス同時期のライブとマーラー「第10番」(クック版)です。前者はスタジオ録音以上に感興の乗った演奏に感じました。後者ですが、彼が本作をレパートリーにしてた事はシカゴでの演奏記録の存在などで知ってましたが初めて聴く事がかないました。ユージン・オーマンディが1899年生まれ。デリック・クックの協力者だったベルトルド・ゴールドシュミットが1903年生まれ、クック版を支持し取り上げていたクルト・ザンデルリンクが1912年生まれなので、この世代では少数派の一人と思うんですが、期待通りの生々しく血の通った演奏です。おそらくハーグでの演奏記録と思われるものを見つけました。

 RTF盤と同じくゆっくり過ぎない余韻で大喝采。

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