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納涼 怖いもの見たさ その2:ルーズ・ランゴー(1893/7/28 - 1952/7/10)

 写真だけでもう怖い。同じ母音を続けて書く言語の国デンマークのルーズ・ランゴー、ネーメのディスクでタイトルが長くて散文的な交響曲に初めて出会いました。
 交響曲第四番は「落ち葉」(Løvfald, 1917, 改訂1920)、単一楽章で13の部分からなり、森のさざめき ー 太陽のきらめき ー アラルガンド(次第に強く遅く) ー 雷鳴 ー ピュ・レント ー アレグロ・パストラーレ ー 秋の! ー 疲れ! ー 絶望 ー トランキッロ ー センプレ・コン・モート ー 日曜の朝(鐘) ー 終わりに!
このびっくりマークは何…と少々ざわつくものの曲想は真っ当に感じる。
 交響曲第五番は「ステップ地帯の自然」(1917-18, 改訂1931)。初稿のタイトルは「夏の伝説ドラマ」。単一楽章で5つの部分からなり、“ソナタ ” レント・ミステリオーソ ー フロリード(生き生きと) ー ペサンテ ー コーダ “ソナタ” コン・ヴァリアツィオーニ ー アンダンテ
何だか随分自由だな…
 交響曲第六番は「天国強襲」(Det Himmelrivende, 1919-20, 改訂1928-30)、「天国に悪魔の軍団が襲い掛かるが、神と天使たちがこれを撃退する」ってストーリーだそうで、ざわざわ…単一楽章で8つの部分、主題(version I) ー 主題(version II) ー 変奏 I(導入) ー 変奏II(フーガ) ー 変奏III(トッカータ) ー 変奏IV(ソナタ) ー 壮大に ー 変奏V(コーダ)



 更にですが「天体の音楽」(1916-18)ではトーン・クラスターやピアノの内部奏法などを既に使っていてジョルジ・リゲティを嘆息させた逸話が知られています。ソプラノ独唱と合唱、オルガンにオーケストラは離れた別群も指定されています。次の各部からなります。
1.甘い香りの花で飾られた棺の上の光線のように ー
2.日没の青い空で瞬く星のように ー
3.光と暗闇のように ー
4.波の中で屈折する光線のように ー
5.美しい夏の朝の日の中で瞬く露の真珠のように ー
6.欲望-絶望-恍惚 ー
7.世界の魂-奈落-全ての魂の日 ー
8.私は望む…! ー
9.カオス-破滅-遠くと近く ー
10.花が枯れる ー
11.涙の中の太陽の一瞥 ー
12.鐘の響き:見よ!彼は来る ー
13.花の福音-遠くから ー
14.新しい日 ー
15.終末:反キリスト-キリスト
怖いな。実は静的な、静かな音楽です。それも怖い。

 そしてもう一曲「時の終わり」(1921-23, 1939-40, 改訂1943)は彼のオペラ「アンチキリスト」のダイジェスト。

I. アンチキリスト 前奏曲 II. 時の終わりに ー III. 世界の終わりに向かって ー IV. 破滅 の四章からなります。怖っ。
 指揮は…


ゲンナジー・ロジェストヴェンスキー!!!  怖っ…

 「時の終わり」の併録曲で「カール・ニールセン、我らが偉大な作曲家」ってえのが皮肉の効いた曲でおもろい。ロジェヴェンさんが嬉々として、いやニコリともせず目だけで指揮しているかも。マルクス兄弟の「我が輩はカモである」を思い出した。


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