テレマン 歌劇「辛抱づよいソクラテス」(1721) その4
(承前)第三幕第一場、庭で春の訪れを祝うアドーニスの祭りが始まる。ニ長調の三つの合唱曲(ドイツ語、No.1, 3, 4)、トランペットとティンパニが加わりキューピッド役ボーイソプラノ、アダージョからアレグロと高まっていく。第二場ソクラテスと妻達が宴の後、庭の静けさをイ長調のトリオ(No.6、ドイツ語)。アミッタのコケッティシュなアリア(No.8 ヴィヴァーチェ ロ短調 ドイツ語)。第三場ソクラテスと弟子達の五重唱(No.11 シチリアーナ風 イタリア語)で人間の命の儚さに思う。オーボエとファゴットが活躍。しかし喧嘩が戻ってきてドタバタ。
第四場メリートの波のように押し寄せる憧れのアリア(No.13 ホ短調 ドイツ語)。ニチーアに選んでもらおうとするが断られる。第五場エドローニカの独奏ヴァイオリンのオブリガート付きアリア(No.16 アレグロ ニ長調 イタリア語)、またロディゼッテのアリア(No.18 アンダンテ ト長調 イタリア語)。更には殺して下さい(!)と迫る二人と苦悩のメリートによるトリオ(No.20 ニ短調 ドイツ語)。メリートはついに二人のどちらも選ばず自らは死のうと。第六場こちらは勝手に混乱しているアンティッポのアリア(No.22 ラルゴ 変ホ長調 イタリア語)、エドローニカとロディゼッテの二人が失神してるので泉に水汲みに、戻ると二人はメリートを追ってもぬけの殻、アンティッポのアリア(No.24 アレグロ ロ短調 ドイツ語)、「目をくらます暴君よぼくをからかうのか」と「アモール」を避難する。
第七場クサンティッペが弟子達と花を摘んでいる。アリア(No.25 ヴィヴァーチェ ト長調 イタリア語)。シンフォニア。アミッタと仲良くしようとアリア(No.27 )を継続、と背中に「蝙蝠づら」の張り紙、気づいたクサンティッペはピトーを殴りつける。嘆くピトーのアリア(No.29 アレグロ イ短調 ドイツ語)「お行儀お行儀お行儀」。
第八場アテネ元老院の宮殿。ニチーアのアリア(No.30 ヴィヴァーチェ ハ長調 イタリア語)、「不可能に逆らうのは愚か」と、息子とカリッサの婚約をやめてエドローニカ、エオディゼッテの二人と同時に結婚する様に勧める。喜んだメリート、早くも婚礼に思いをはせる(No.32 アレグロ イ長調 ドイツ語)。第九場エドローニカも大喜びで2本のフルートのオブリガート付きアリア(No.34 ソアーヴェ ト長調 ドイツ語)。第十場しかし悲しんでふさぎ込むロディゼッテ、対してメリートがイ短調のアリア(No.35 イタリア語)を歌うが、ロディゼッテはヴァイオリンのピッチカートとチェロのオブリガートが美しいアリア(No.37 イ短調 イタリア語)で絶望と死を伝える。ニチーアは議会に決定してもらおうと宮殿へ。ロディゼッテとメリートのデュエット(No.39 ト短調 イタリア語)。
第十一場ソクラテス登場、「無知の知」を歌うアリア(No.40 ヴィヴァーチェ 変ロ長調 イタリア語)、ヴァイオリンの急速な音型がキタラ(竪琴)のつまびきを、オーボエはアウロスを暗示しているとの意見あり。戻ったニチーア、アテネに子供が増えた今二重の結婚は無効になったのでどちらか一人より深く彼を愛する方に決めねばという事で判定をソクラテスに委ねる事に。二人の言い争い聞いていたソクラテスはロディゼッテに軍配を、アリア「最大のものを得ようと熱心になる人がいちばん深く愛している」(No.42 イ長調 ドイツ語)。一同名裁定だと讃えるが、エドローニカは絶望して担当で自殺を図ろうと。第十二場アンティッポが止めに入りいっそ自分を殺してとフルートのオブリガート付きアリア(No.45 ト短調 ドイツ語)、これが心に響いてエドローニカとアンティッポのデュエット(No.47 ホ短調 ドイツ語)。一同祝福する中第十三場激昂したクサンティッペが離婚だわと叫びながら現れて「蝙蝠づら」の件をアミッタと言い争う。でソクラテスの「辛抱の哲学」にまとめられて行き、一同で愛とは喜びと苦しみの入り混じるものと合唱曲(No.49 アレグロ ト長調 ドイツ語)。終わり
多彩な楽曲が並ぶ様は「食卓の音楽」や「音楽の練習帳」にも共通した百科全書的とも言える相貌でそら恐ろしいくらい。
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