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フランシス・プーランク(1899/1/7 - 1963/1/30)

 その音楽は息、呼吸です。旋律もしくはフレーズが明晰なブレス、息を吸う動作で区切られる。その度次は同じ動作に向かうのか、急に身を翻すのか、沈み込むのか、気まぐれな猫科の動物の所作の様。
 なので歌曲、管楽器のソナタなどに特に親和性が高い。彼の楽器と言えるピアノの曲も一節ふた節の連鎖で綴られる。一節はわりに短い。肺活量少な目。プーランクはフォーレの音楽が苦手だと言ったと伝わっていますが、フレーズの長さ、呼吸感の違いが確かにありそうです。
 例外は、記憶ではカンタータ「枯渇」やヴァイオリンソナタかな、て思い聴き直すと枯渇は普通にプーランクでしたので間違い。ヴァイオリンソナタは確かにいつもと違う。同じ弦楽器でもチェロソナタはいつも通りなんですけどね。
 Spotifyで幾つか聴いてみるとヴァイオリン弾き達は肺活量が強靭なのか、ブレスを最小限にフレーズを繋ぐやり方の人が多いかも。実はプーランクにはそぐわないと思う。一方で表紙EMIの全曲集に収録のフランク・ペーター・ツィマーマンの演奏は楷書すぎて、ブレスではなく単なる休符と感じさせる、プーランクの曲でこんな演奏も可能なんだと逆に新鮮。
 古き良きメニューインとフェヴリエの演奏を聞き直す。記憶ではご高齢のせいなのか音程の不安定さや音色のかすれ感等悪い印象だったがそれを超えての呼吸、フレーズの息遣いが絶妙で、伴奏フェヴリエの力も大きいのかなと実感しました。
 サッカーに興じる修道士のようなプーランクの音楽はどれも大好きです。

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