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ロウヴァリのシベリウス


 シェー。にしか見えん。Spotifyでサントゥ・マティアス=ロウヴァリ指揮エーテボリ交響楽団(ああネーメ!)の新譜シベリウス交響曲第四番他を傾聴。既発表のどの曲も新鮮な驚きに満ちた説得力溢れる演奏だったので期待大、それを上回る素晴らしさ。
 セシル・グレイはちょっと褒めすぎの気がするが、確かにシベリウスにしか作れない(が故にドイツオーストリア、フランスでは受けにくく)晦渋さも否めない曲調のはずが、とてもクリアーに、明晰に音楽が展開する。特に驚いたのは第1楽章の通常展開部にあたるところ、展開というよりもそれまでのモチーフが断片化して投げ出されて明滅するというか辺りを漂うというか、ホラーな場面への伴奏音楽の元祖のような部分。弦楽器の間でやりとりされるトレモロ中心の音型がおろそかにされずリズムも明確で、ただの音響効果ではなく交響曲第五番終楽章の冒頭主題並みに音楽として聴こえてきたのは本当に初めての体験だった(※個人の感想です)。これを聴いてしまうと他演奏が結構雑でアバウトに聴こえてしまう予感がします(※個人の感想です)。
 第2楽章の気楽な調子の音楽がコーダで、突然日が翳ったような不穏な空気に一変するあたりのコントラストも鮮やかでお見事。第3楽章、あちらこちらに聴いたことのないものが。コーダの低弦ってこんな執拗なオスティナートみたいなやつだったっけ。私はこれまでこの曲のいったい何を聴いたつもりだったのか。
 エーテボリのホールの響きなのか録音の良さも支えているに違いありません。ネーメ以来のファンとしては若き新シェフの大活躍は頼もしい限りです。第6、7番とそしてぜひタピオラ、待ち遠しい。


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