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シリーズ“le roi” その7 Król Roger(ロジェ王)(1926)

 今回はフランスではないですが、カロル・シマノフスキ(1882/10/3 - 1937/3/29)の音楽って本当に独特で、ポーランドという枠組みではとらえきれない。このオペラ「ロジェ王」に体現されているような、ギリシア、イタリア、シチリア、北アフリカや中近東、きっと東ローマ帝国、ビザンチン帝国的って括るのが一番しっくりくるか。全三幕が三幅対の様。第一幕はビザンチン様式の教会が舞台で厳格、禁欲的なカトリシズムを体現し、その中で一度は王が羊飼いに死刑を告げる。第二幕は宮廷のオリエント風装飾の庭でバッカスの快楽主義を体現する中、羊飼いは易々とくびきを断って王妃を含む多勢を連れ去る。第三幕は古代円形劇場の廃墟、古代ギリシアを体現するんでしょう。ストーリーも寓話的というか、ニーチェですね。ただね、ディオニソスの化身が民衆や王妃を煽るが、でもロジェ王はそれを退け日の出の太陽に対峙する、って何を寓話してんだか? 我が道を行くって事か。
 近年は上演も頻繁です。1998年のサイモン・ラトルの録音がそのきっかけでしょう。2009年ブレゲンツでのデヴィッド・パウントニー演出、マーク・エルダー指揮の舞台収録、またコヴェント・ガーデンで2015年のカスパー・ホルテン演出、アントニオ・パッパーノ指揮もあり、どちらも秀逸だと思いました。


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