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アルベリック・マニャール「ゲルクール」、三幕五景からなる音楽悲劇 Op.12 その5

 表紙写真は第二幕冒頭初演時舞台装置模型の様です。

 最後の国立ライン・オペラの予告編の音楽は第二幕第三景群衆を導く間奏曲です。三景からなる第二幕を挟んだ五章構成、実はマーラーの交響曲第十番に似てるかも。

 第三幕 希望 (L’espoir)
 交響的前奏曲冒頭の下降する付点のモチーフは第一幕導入後半にも既に聴かれていた、ゲルクールの死を表していると考えます。二度目の死。第一場、天国、月明かりの中右から左へゆっくり移動する影たち、生きることの辛さを歌う。遠くの鐘(々)、それを柔らかなファンファーレのみで表現しているのは場面にとても寄り添っていて秀逸、善はんがゲルクールが死んだ事を告げる。第二場、ゲルクールの影が苦悩しゃんに支えられて現れ、真実はんと美はんも。大詰め第三場、苦悩しゃん彼への罰は余りにも過酷でした、彼を許しましょうと。ゲルクールもそれを乞うと善、美、真実より許しが。ゲルクールが感謝する。真実が歌うマニャールの力がこもったあまりにも美しいアリア、いつの日かあなたの夢見た愛と平和の理想が実現する。貧困を無くし、科学の力が痛みを取り除き…希望のゆりかごの中で憩いなさい。ゲルクールは「希望!」と最後の一言、真実善美の三重唱、真実は苦悩へ、地上に戻り戦う者どもにゲルクールの受難を伝えなさいと命ずる。舞台裏より「希望」の合唱。(終)

 理想主義者、こんなオペラを作る人はあの様な最期を遂げるのが必然だったのかもしれません。

11/25まで全曲が視聴出来ます!

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