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ローター・ツァグロセク

 最近はこの表記に落ち着いてきたようですが、近年も読売交響楽団に客演したりご活躍の様子です。
 最初その名を知ったのはなんてったって「頽廃音楽」シリーズです。ナチスドイツによってそのレッテルを貼られた多様な音楽を復活させる素晴らしい企画で、その実力を忌憚なく発揮しました。
 ブラウンフェルスのオペラ「鳥たち」(1994年ベルリン・ドイツ交響楽団)、クシェネックのオペラ「ジョニーは演奏する」(1991年ライプツィヒ・ゲヴァントハウス響)、交響曲第二番(1996年ライプツィヒ・ゲヴァントハウス響)、ゴルトシュミットのオペラ「堂々たるコキュ」(1992年ベルリン・ドイツ交響楽団)、「地中海の歌」(1993年ライプツィヒ・ゲヴァントハウス響)、シュレーカーのオペラ「烙印を押された人々」(1993年ベルリン・ドイツ交響楽団)、ウルマンの歌劇「アトランティスの皇帝」(1993年ライプツィヒ・ゲヴァントハウス響)、アイスラーの「ドイツ・シンフォニー」(1995年ライプツィヒ・ゲヴァントハウス響)、クラーサのオペラ「夢の中の婚約」(1996年ベルリン・ドイツ交響楽団)、グロテスクな踊り(シュレーカー、シュルホッフ、ヒンデミットのバレエ音楽、1994-5年ライプツィヒ・ゲヴァントハウス響)。
 壮観です。どれも秘曲のただの紹介作業ではなく見事な内容なのも凄いとしか言いようがない。他にも数々のディスクがありますが、個人的に興味深いのはディートリッヒ・フィッシャー=ディースカウとの二枚。ザルツブルク音楽祭ライブでツェムリンスキー「抒情交響曲」ハルトマン「歌の情景」(1984年)、メシアンの歌劇「アッシジの聖フランチェスコ」抜粋(1985年)、いずれもウィーン放送交響楽団。どちらもほぼファーストチョイス。ツェムリンスキーは同じ歌唱メンバーのマゼールベルリンフィルの分厚い響きを好む方がいてもおかしくないですが、精妙な線の動きや移り変わりはより聴きとりやすく思います。メシアンも他盤に一歩も譲らずです。
 シュトゥットガルト歌劇場音楽監督は1997年から2006年まで勤めました。ディスクもノーノ「愛に満ちた偉大な太陽に向かって」、モーツァルト「後宮からの誘拐」や何よりワーグナー「指環」、後者はnaxosから音源だけでもリリースされ充分聴きごたえを感じると思いますのでお試しいただければ。

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