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指揮者としてのパブロ・カザルス(1876/12/29 - 1973/10/22)

 この素晴らしいホームページの内容に付け加える事など無いのですが、いつもの様に無茶な比較を。
 先立って実は、指揮者としてのエネスク、ってお題を考えたんですがどうも構想がまとまらない。自作の指揮の他にもBBCでのバッハのミサ曲ですとか、ロンドン・フィルとシューマンのよりにもよって交響曲第二番とか、より古いドビュッシーの牧神、ラヴェルの亡き王女のためのパヴァーヌやらソヴィエトでのチャイコフスキー交響曲第四番だの、バルトークの弦楽器と打楽器とチェレスタのための音楽、どれも一聴の価値は勿論ありで、自身のヴァイオリンと共通の豊かな音楽の流れを感じられる。商業的録音にはメニューインやティボーの伴奏指揮も多い。1937年のニューヨークフィルライブでもシューマンの交響曲第二番、お好きだったんですネ。私もデス。
 オーケストレーションに大きく手を入れている感じはない、ただどうもテンポ感が。第一楽章はソステヌート・アッサイの序奏からアレグロ・マ・ノン・トロッポの主部、第四楽章はアレグロ・モルト・ヴィヴァーチェ。ですがスタジオ録音もニューヨークのライブも同じ様に第一楽章は早く急き込んで、第四楽章は落ち着いていて真逆な気がする。がきっと思慮深いエネスクの方が正しいんですが。

ともあれ、指揮者としても定評ありな訳ですよ。

 あまり知られてないんぢゃないかと思いますが、ウジェーヌ・イザイも指揮者として活躍。シンシナティ交響楽団の常任指揮者を務め、NYPからも誘われたけど多忙ゆえ流石に断ったらし。シンシナティとの録音残ってます。

最近急速にポピュラーになってきた無伴奏バイオリンのみならずオペラ等もあるらしいですので作曲家としても広く発掘、再評価を期待します。

 でやっとカザルスなんですが、亡命以前にバルセロナ中心に自身のオーケストラを組織していたんですね。せいかいせいさんによれば記録上マーラー、シェーンベルク、ウェーベルンも取り上げていたとの事で驚きです。同時代の音楽をバルセロナに紹介する役割も担ってたんでしょう。当時の録音はベートーヴェンの第一、四交響曲等、第四番第一楽章主部第一主題はめちゃ早くなってつんのめり揃わない、第二主題でぐっとテンポが落ちるなど後年のライブとは大違い。ただ演奏されない事の多い呈示部最後、謎の低弦の一音は(アーノンクールやメンゲルベルクと同様)後年と同じく演奏していると思う。他のオーケストラに客演した時の指揮者としての評判は散々だった様ですね。
 後年スペインからの亡命を余儀なくされ相当の年月を経た後、カザルス指揮の強烈な録音記録がプラド、マールボロ等彼の名を冠した音楽祭での、(寄せ集め)特別オーケストラとのライブで残されました。諸井誠さんのお陰でモーツァルトなどの強靭な演奏を知りました。私のイチオシは特に「プラハ」! なんですがこれしか…

これもホントに凄いでしょ。アクセント、ニュアンス、彼のチェロでの語り口をそのまま、彼を慕って集まった様々の年代やスキルのミュージシャンが渾然一体となって実現している感じです。そして

こんなに確信に満ちて危うさを感じさせないシューマンの二番て前代未聞だと思います、聴衆の大喝采。

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