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シリーズ“le roi”その2 Le Roi Malgré Lui(いやいやながらの王様)(1887)

 今度は大ヒットした「にんじんの王様」みたいなのを作りたいと思ってます、とシャブリエ自身が出版社あてに手紙を書いていました。オペラ・コミックでの初演は大成功、しかし三度目の上演の後劇場が火災に。エリック・サティは火事の被害よりも「いやいやながらの王様」がもう観られなくなるのかではと心配、ラヴェルはこの曲の初演がフランス音楽の新たな方向を決定付けたと言い、全曲そらでピアノで弾けたそうです。
 台本、プロットがごちゃごちゃでよく分からないと批判が早くからあって、私も何回読んでもよう分からずそれも演奏されなくなる原因の一つでしたがともかく、ポーランドあたりを舞台に恋あり陰謀ありのドタバタでハッピーエンドなんでしょう。音楽はほんとに多種多彩で、前奏曲冒頭の9thコードが前記のラヴェルの発言を象徴してます。ベルリオーズの「ベンヴェヌート・チェッリーニ」とともに呪われた傑作(そういゃ「ファウストの劫罰」のハンガリー行進曲の引用=オマージュあり)、「音楽が凄すぎる故に罰せられた(punished for excess of music)と呼ぶのは名言。四半世紀作曲するのが早過ぎたと評した人も。
 1984年のエラート盤のみが正規ディスク。

ほんとはアルミン・ジョルダンを起用すればよかったのにね。記録を当たるとトゥルーズでのミシェル・プラッソンの上演が収録されてるらしい。またBBCのオーケストラでマヌエル・ロザンタール指揮の演奏記録もあるらしく聴いてみたいものです。将来的にはフランソワ=グザヴィエ・ロトとレ・シエクル希望。


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