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シリーズ“le roi” その5 Le Roi Arthus(アルテュス王)(1903)

 エルネスト・ショーソン(1855/1/20 - 1899/6/10)の畢生の大作で、1886年に着手し1895年に完成した三幕六場からなる「叙情的悲劇」です。初演は不慮の事故によるショーソンの死後となってしまいました。アーサー王伝説ですから何かとワーグナーと比較されるのは無理もないけど、一線を画したショーソン独自の作品なのは間違いない。
 第一幕第二場などは「トリスタン」が透けて見えるものの決して陶酔に溺れてはいない、不倫の二人の逃避行だがその罪の意識が高く、むしろ裏切られたアルテュス王の苦悩と救済がメインであり、本家につきまとう何処かいかがわしい所(それが魅力と考えるむきもあろうが)とは異質の格調高さがある。
 苦悩と救済? マズい、「パルジファル」じゃん。ですからこっちはいかがわしくないんだって。ちなみに本作ではアルテュスが向かう先をアヴァロンとは呼ばないみたい。
 ディスクではアルミン・ジョルダン盤で。息子フィリップ・ジョルダンのパリ・オペラ座での舞台(2015年)も良かった。今も断片的には観れるかも。


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