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エマニュエル・レヴィナス(1906/1/12 - 1995/12/25)

 “汝殺すこと勿れ”と「顔」が命令する。絶対的な「他者」であり、理解不能で異質、「全体性」の外に位置するが故に絶対的だ。
 「全体性」のなかの一構成部分という前提が隠れていればこそ、皆に当てはまる法則、真理なるものが問うことが成立するが、当然のように思われるこの前提を外したところからこれらの思考は始まっています。「他者」にはこちらの真理なるものは悉く受け入れられず否定されてしまう。なので「全体性」は「他者」を排除したがる傾向になりがち。しかし、「他者」だけが「全体性」を変える力、可能性を秘めている。
 鮮やかな思考で、新しいモノの見方に魅了された。けれど究極の完全な思考などはやっぱりありえない。
 意地悪な質問が。「他者」は単独とは限らない、そうすると別の「他者」との関係性には当然違いが生じるだろうと。より好意的だったり敵対的だったり差をつける。レヴィナスは誠実にそれを認めた。またもっと意地の悪い、現実に起こった事件についても意見を求められイスラエルの行為を肯定する発言を引き出され、結果大いに批判された。
 レヴィナスはユダヤ教の経典の解釈、研究の仕事もライフワークだったと聞きます。哲学的思考と宗教的思考には相互浸透もあれば、確固たる区別があっても良いはずなので批判は的を得てるのかどうか。
 息子さんがピアニスト・作曲家のミカエル・レヴィナスでこちらも好んで聴いております。ペダル踏みっぱなしが特徴的。


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