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UnConferenceというカンファレンス

UnConfrence。カンファレンスではないカンファレンス。何だそれは?と思わせるChatham House主催のカンファレンスに参加してきた。

https://www.chathamhouse.org/events/all/research-event/unconference-2024

これは、通常のキーノートスピーチ、ラウンドテーブルなどで構成されるカンファレンスとは異なり、参加者自らがテーマを作り、議論に参加していくオープンスタイルのカンファレンス。Wikipediaには、次のように書かれている。

アンカンファレンス(英語:Unconference)とは、参加者主導の会議で、オープンスペース・カンファレンス(Open Space conference)とも呼ばれる。従来の会議の様なトップダウン企業、スポンサー出資、講演者報酬等の要素を除外し、幅広い参加者たちが会議を行う形式の事である。

今回のこのChatham Houseでのアンカンファレンス、参加者は約150名。各セッションでの自己紹介を聞いていると、金融など民間企業、政府関係者、NGO関係者、大学教授、大学院生など様々。
そして、唯一、共通のテーマとして、
How can we acceralate towards a fair and sustainable future?
というお題だけが主催者側で設定され、最初にファシリテーターによるチェックインがあり、趣旨や進行の説明が展開される。

そして、ここからがアンカンファレンスだろう。参加者それぞれが自発的に、議論してみたい議題を提案し、午前、午後の3回のセッションにおいて、発題者自らがファシリテーターとなり、他の参加者は、それぞれ関心のあるセッションに向かい、議論に参加するのだ。いわば、この指とまれ方式である。

主催者側は、予め、Fish、Whale、Eagleなどスペース名を決めて、Chatham Houseの地下、1階、2階の大小様々な会場内に、10脚ほどのイスを円に並べ、その場所を準備。発題者は、中央に歩み寄り、置かれた紙にお題を書く。そして、主催者が用意したセッションの時間と場所が書かれたポストイットを取り、壁に貼り付けるのだ。参加者は、それを見て、参加したいセッションに足を運ぶ。

各セッションの場所に名前をつけて準備

そう、共通の大きなテーマだけで、あとは完全に参加者が議題を設定し、毎回のセッション、異なる参加者が集い、発言していく。議論をまとめて紙に書いていく方も現れる。予め、書記役を決めがちな日本のワークショップとはまるっきり異なる。やはりChatham Houseの1年に1度のアンカンファレンスイベントに参加する人たちだ。とにかく全てが有機的に作用、発展しながら、進んでいくのである。

発題者の皆さん
発題者は、このように壁にお題とセッション時間、場所を貼っていく

例えば、僕が参加したセッションは、INVESTING FOR IMPACT IN COMMUNITIESというもので、投資関連セクターにおられるSamさんの発題したものがあった。展開されていった議論は次のようなものだったと思う。

  • インパクトの定義

  • コミュニティの定義

  • 企業の役割

  • コミュニティへの投資において、どのようなインパクトが求められるか

  • コミュニティは何を必要としているのか

僕が発言したのは、コミュニティの定義について。一言でコミュニティといっても、その大きさからして様々。どのようなコミュニティへのインパクトなのか、それによっても議論の方向性は変わると思ったからだ。これに対する答えを求めたわけでも、結論を出したわけでもないが、議論の一つのポイントにはなったように思う。インパクトやコミュニティの捉え方は、各人によってバラバラ。ESGにおけるインパクト投資をイメージしている金融関係者もいれば、社会貢献としての地域への投資と考えるもの、またコミュニティも、英国の地域社会から、途上国の貧困に直面するコミュニティなどなど様々。最終的には、コミュニティが求めるものとして、地域エネルギーや雇用といった課題が提起されていた。

右端に座っているのが、発題したSamさん

最終的には、午前1回、午後2回の計3セッション、おそらくテーマは50以上作られたと思う。それぞれのディスカッションでの議論は模造紙に書かれ、事務局が設定したメールアドレスに文字、画像等で送信するなどする。そして最後は、ラップアップセッションにおいて、ファシリテーターが重要なキーワードやポイントを抽出しながらまとめていくというものであった。

Unconference。カンファレンスではないカンファレンス。この手法、日本人には向いていないのかもしれない。自発的に発議する人がどれだけいるだろうか。しかし、一度、日本でやってみたい。そう思う。議論の内容以上に、この手法に魅力を感じる次第。


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