ボール禁止の公園はなぜ生まれるのか


どうしてこうなった?「禁止」「やめて」看板が24枚もある公園 開園した6年前は0枚だったのに

https://www.tokyo-np.co.jp/article/232132

 公園に◯◯禁止の看板が増えたという記事をよく目にするようになりました。上記の記事の他に団地の前の公園の金網にボール使用禁止の看板の画像も有名ですね。公園関連のニュースはできるだけ目を通すようにしていますがインフルエンサーたちが「不寛容だ」とあの画像を採り上げるたびに「またこの画像か・・・」とうんざりさせられます。

 子供の遊ぶ場所を老人が奪っている、不寛容、公園の前に住む方が悪い・・・etc.
この話題が再燃するたびに繰り返されるお決まりの騒音被害者叩きの言葉にもうんざりさせられています。

 今回はなぜボール禁止の公園が増えるのかについて絞って話をしたいと思います。近隣住民(老人)が子どもが遊んでいる声や音に対して苦情を言って、それに素直に役所が従って禁止になっていると勘違いしている人が多いと思います。


増える張り紙

役所の対応

 まず張り紙が増えていく理由を説明して行こうと思います。言うまでもなく、張り紙に書かれている注意・禁止事項は実際に起こった行為の一部です。役所も迷惑行為であると認めた行為の列挙が注意書き・禁止事項となっているです。

 良く勘違いされていると感じるのは付近住民一人が苦情を言ったら直ちに禁止になると思われていることです。
 実際はボール使用禁止になるには相当むちゃくちゃする人がいる場合だけだと思います。少数の苦情ではせいぜい注意文止まりです。禁止になった後もむちゃくちゃする人はやめませんから迷惑にならない範囲内で遊んでいた子だけが割を食ってるのが実情だと思います。

何も解決されない

 役所は騒音が出ていることに対して根本的な解決をしてくれません。「利用者のマナーの問題です。張り紙を貼ってマナーを広めていきます」これが役所のスタンスです。SNS上で情報交換をした人たちの多くが言われてきましたし私も実際に言われました。この点、私は利用者のマナーの問題ではなく騒音等が問題にならないよう努力を怠った役所が悪いと思っていますがここでは割愛します。
 「苦情に対して張り紙を貼る」これで役所の仕事は終わりです。いちばん簡単ですね。解決はしなくても役所の仕事は終わりです。


何に対しての苦情か

騒音に対して苦情

 迷惑行為の多くの場合は騒音が問題となります。公園の近隣に住んでいる人にしかわからないと思いますが相当な防音性能の家でも完全に防ぐことのできない騒音が公園からは出ます。ボールの音がそんなにうるさいのか?と疑問があるかもしれませんが衝撃を伴う音はかなり遠くまで広がり建物に反響増幅し家の中に貫通して響きます。
 夜間に金網にボールを蹴りに来る人がいます。もはや子供とは言えない年齢の人が毎日のようにやってきて何時間もガシャーンという騒音を出す。全国どこにでも居ると思います。付近住民はある程度までは我慢して何も言いませんが限度を超えたときに役所に改善を申し入れることになります。こういった人たちの存在も含めてボール禁止の公園が増えていくのです。

道路への飛び出し

 ボールが原因で起こるのは周辺への危害だけではなくボールで遊んでいる人本人にも及ぶことがあります。運転免許を持っている方ならばすぐに思い浮かびますね。ボールを追いかけて道路への飛び出しです。
 実際にそんなに起きているのか?レアなケースでは?と思う人もいるかも知れません。しかし公園自体の構造に欠陥がある場合は頻発します。私の家の前の公園がそうです。あまりにも飛び出しが多いので交通指導員の人に相談したことがあります。10分にも満たない相談の間に2回もボールを追いかけて子どもが道路へ飛び出していきました。本当のことです。
 フェンスで囲ってしまうという手段もありますし実際にそうしているところもありますが、無理な場合は役所は一括でボール禁止にするしか子どもの身を守る方法はありません。

他の子どもに危険が及ぶ

 小さい子供を公園に連れて行ったことのある方ならば経験があるかもしれません。公園は幅広い年齢層の利用者が居ます。幼児が遊んでいる横で小学生がボールを投げる、中学生がボールを蹴っ飛ばす、親が真横で看ていたとしても安全を確保するのは困難です。
 これも私の家の前で起こっている問題です。役所は何の対処もしないので、ボールを持った人が公園にやってきたら幼児を連れた親御さんたちは一斉に引き上げていきます。
 遊ぶスペースが年代ごとにしっかりと分離されている公園はなかなかありません。他に幼児を遊ばせる場所がないなどの事情がある場合には役所にボール遊びを一括禁止にしてもらうしか安全を確保する方法はないでしょう。


被害者は老人だけではない

 老人が子どもに苦情を言っていると思われていると最初に言いました。しかし、全国の公園はすべてが老人に囲まれているわけではありません。未就学の子どもを家で育てている人が居ます。テレワークで家にいる人が居ます。体調を崩して家で寝ている人が居ます。
 
 そんなことは誰でも知っていると思いますが老人が子供に文句を言っている!と言い続ける人たちがいるのは何故でしょうか。恐ろしいことに総務省の出している資料でも老人が苦情を言っていると強調されています。

子どもの居場所に関する調査報告書-子どもの視点から見た公園の現状と今後に向けた提言-

  https://www.soumu.go.jp/main_content/000758695.pdf


 頑張って働いてきた人たちも老人だから切り捨てられる存在でいいの?貴方たちもいつか老人になるけど他人事なの?と疑問に思います。
 
 遊ぶ場所が減っていると言われいますが実はずっと増えています。諸外国の水準には達していませんが「昔より減っている」と思われているのは不思議です。

平成27年度末都市公園等整備及び緑地保全・緑化の取組の現況(速報値)の公表について 添付資料より

https://www.mlit.go.jp/common/001174177.pdf

 各自治体は少子化対策として子育てのし易い街をアピールするために公園を競い合うように増やしています。海外の水準に追いつかなくてはいけないという政策上の理念も関係あるかもしれません。それ自体は良いことなのですが、貴方の家の隣が急に公園になる可能性があるということは覚えておかなくてはいけないです。ちょっとした隙間に作った小さい公園でも1つの公園です。実際に後から家の真隣に小さな公園を造られたことで苦しんでいる人たちがたくさんいます。


 まだ言いたいことはたくさんありますが今日はここまでに。
長い文章を読んで頂きありがとうございました。貴方の人生が騒音と無縁でありますように。


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