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劇場版『アイデンス~経営の棋士〜』を観てきた感想と考察。

【この記事の内容は一部フィクションが含まれています】

【この記事の内容は一部ネタバレが含まれています】


お久しぶりです。7ころびスタジオです。

先日、久しぶりに映画を観に行ってきました。どれくらい久しぶりかというと、天気の子以来です。去年の9月、かなり流行に乗り遅れながらも観に行ってからちょうど一年ちょいです。

その間、コロナによって映画館に足を運ぶことが憚られる状況が続いていました。しかし私にはあまり関係のないことでした。なぜなら私は

新海誠が新作を出した時期にしか映画に行かない

という体質になっているからです。君の名は。を観てから天気の子までの間は一回も映画に行ってません。あくまできっかけが新海誠の作品であって、その時期には他の映画もついでに見るといった感じでした。


しかし、つい先日その掟を破ってきました。

大ヒット上映中の人気アニメ、『劇場版アイデンス〜経営の棋士〜 七九祭編』です!

アイデン劇場版

社会現象と化しているアイデンスは、子供から大人まで幅広い年齢層から支持を得ており、令和における将棋ブームの火付けになったとも言われている。
昨年2クールにわたって放送されたTVアニメでは、毎回主題歌を挿入歌として使う特殊演出が話題となり、主題歌のMVは一億回再生を突破するとまことしやかに言われている。


TVアニメ最終回に劇場版へ繋がる終わり方をして、それから一年、ずっと心待ちにしていた人も多かったのではないでしょうか。

コロナで延期になり、私的には”非新海年”ということもあり、観に行く気はなかったのですが、予告PVや公開後の異常なまでの反響を見て重い腰を上げることとなりました。

結果としては、『観に行ってよかった』でした。ストーリーにそこまで入り込むタイプではない私でも、演出や映像技術、音楽などで期待を裏切らない作品でした。



※ここから先、ネタバレを含みます。



さて、ここからはストーリーの話をしていきたいと思います。

『アイデンス~経営の棋士~』が2つの章に分かれているのはご存じだと思います。

第1章

第1章はクリスマスの夜、パンケーキ屋を経営する株式会社アイデンスの社長である佐助(さすけ)が交通事故で死亡するところから物語が始まる。

息子である左亞(さあく)がアイデンスを継ぐことを決め、友人の藍伝(あいでん)がそのサポートをすることに。そして、3月までに経営を立て直さないと命はないという状況。

2人は次々と現れる人物との関わりを通して、経営立て直しの糸口を探る。が、大学のすぐ近くに位置するアイデンスは1月が勝負。2月以降は春休みになって学生が激減する。

結局立て直しは果たせず、左亞は仲間の裏切りによって死亡。だがそれがきっかけで黒幕の正体にたどり着き、藍伝は『ナナク祭 模擬店対決』の提案を持ちかけ、自身が社長を継ぐ決心をする。ここまでで1章。

大雑把なあらすじはこんな感じですね。

聖夜に起こった交通事故の謎、財閥との関係、アイデンスを襲う黒幕の意図は……

そんな謎解きミステリーな要素たっぷりで話が進みます。ぶっちゃけ1章と2章では「同じ作品か?」ってくらい方向性が違いますよね。


1章では黒幕である桐生蒼伍に『ナナク祭』での対決を約束して終了です。

アイデンスのすぐ近くの大学「ナナク大学」にて行なわれる学園祭。ここで模擬店を出店し、桐生率いる店『BUTTOBI』に勝つこと。その成果でアイデンス復活の兆しを提示することが狙いです。




さてお待たせいたしました。ここからが映画の内容です。

第2章

第2章は7/7~7/9の3日間で行なわれる『ナナク祭』にて、藍伝率いる「アイデンス」と、蒼伍率いる「BUTTOBI」で模擬店経営の成績で勝負する内容が描かれている。

4月から3ヶ月の準備期間、藍伝はトップに立つことの難しさに打ちのめされ、ときには選択することに恐怖を覚え、自らの性格を否定され、組織がボロボロになりかけることも。

しかし、「美しい経営」を見せつけ、アイデンスの復活を宣言するために、彼らはナナク祭当日に挑むのであった。

第2章では藍伝の葛藤が1章以上に描かれます。商品開発から試作、マーケティング、仕入れ、会計などの流れに沿って、トップに立って人を動かすことの難しさに悩まされます。

また、彼の考え方や態度、性格が段々と変わっていきます。今までの藍伝のスタイルで全く上手くいかず、メンバーに強く当たってしまうことも増えます。そんな状況で迎えたゴシマ合宿にて、同行した飛騨先生の叱咤によって自らの未熟さに気付き、変わり始めます。ここからの彼の成長が2章の見所と言ってもいいでしょう。



ただ、予期せぬハプニングは必ず起こります。




ようやくアイデンス陣営の息も合ってきて、用意も万端、いざ対決へ!

と意気込んで迎えたナナク祭1日目の朝


藍伝はとんでもないミスに気付きます。「発注ミス」です。

1章で死んでいったサークが残した形見である紙皿1000個入り。これをナナク祭当日で使用する予定でした。しかし、朝それが入った箱を開けてみると、そのすべてのサイズが想定していたものより一回り小さかったのです。

これは藍伝の精神を大きくえぐります。今まで構築してきた「読み」の全てが崩れ去っていきました。

彼は心神喪失状態となり、経営はおろか、まともに会話することさえ出来なくなってしまいます。アイデンスのメンバーは、車椅子に座って眼の色を失った社長が再び目覚めるのを信じて、学園祭1日目へと挑みます。



物語のヒロインである梛華(なぎは)は、1日目の開店間際、藍伝にこう囁いて店舗に向かいました。

__もし私が倒れて、

最後の力であなたを呼んだら、

きっと立ち上がってこの局面を解いてね。




__だってあなたは、

最強の棋士なんだから。


藍伝の指揮がない状況で迎えたナナク祭1日目、ボロボロでしたね。まず紙皿を開店時間までにかき集めるのに人員が裂かれ、予定していた通常の準備もままなりません。

結局開店後もお客を何十分も待たせてしまい、機会損失が大量に発生しました。

さらに敵陣営BUTTOBIの隠し玉、『わくわくパック』の登場です。これの強烈な宣伝効果によって、完全に客足を盗まれてしまいます。


結局初日の売り上げは完敗。控室ではお通夜モードのアイデンスメンバー。そして未だ心神喪失状態の藍伝。誰もが終わったと諦めかけたその時、ドアが開く。

そこに立っていたのは梛華の姉、椎菜(しいな)と、今まで合宿で出会った仲間たちだった。椎菜は1日目のずさんな様子を見て、財閥総出で人手をかき集めてきたのだった。

「まだ終わってなんかない」

仲間達の前向きな声に枯れきっていた心に潤いを取り戻すメンバー。そして、未だぎこちなさが拭えていなかった月城姉妹だったが、このタイミングで椎菜が

「あんたがそんな顔しててどうするの。月城家の人間として情けないわ。

わかってるの?そこのポンコツ棋士はあんたにかかってるのよ。


________信じてるからね、梛華」

そう梛華に告げ、抱き合うシーンは感動ものでした。あの椎菜が結局最後には梛華を許すという、ここで「」を出してくるのかと。


そうしてアイデンスは力強い助っ人を加え、2日目に総動員で挑みます。

2日目はが若干強く、天候に配慮してアイスの量を変えたり、客の誘導を再考したり、さらには椎菜に売り子をやってもらったりした結果、1日目とは見違えるほどの経営となりました。しかし敵陣もわくわくパックを軸とした売り込みの力は負けておらず、勝負は五分五分といったところです。


2日目も終盤に差し込んだ時です。未だ起きない藍伝を車椅子のまま、店舗の裏に連れ出していました。実際に店舗の様子を見ていたら意識が戻るのではないかという期待を込めてでした。

控室から仕込みの生地を持って店舗に向かっていた梛華は限界を迎えていました。体の弱い彼女は今回かなりの無理を強いていたのです。店舗のすぐそばの階段を降りようとした時、この日1番の強風が吹きました。

梛華の体は宙に浮き、約10メートル上から地上に叩きつけられ____


私をしっかり受け止めてくれたのは、他の誰でもありませんでした。

私を闇から救い出してくれて、

誰よりも私を信じてくれて、

そんな私の記憶を簡単に忘れて、

でも最後にはちゃんと戻ってきてくれる、


私にとって最高に格好良くて、

最強のポンコツ棋士、花岡藍伝!

彼はお姫様だっこをしたまま、梛華にこう告げます。

「君が俺の封じ手を開けてくれたんだね。___ごめん。そしてありがとう、梛華」

「__ばかっ」

「あと梛華、腕やっちゃったかもしれない」

「ばかっ⁉︎」

そうして藍伝は梛華の危険を察知して復活したと同時に、両腕を骨折したのでした。


両腕を使えない藍伝ですが、目を覚ませばこちらのもの。3日目の作戦を考え始める藍伝。

「重要なのは売上じゃない。販売個数でもない。アイデンスの未来を約束するためには、いかに美しい経営が出来るかが大事なんだ!」

そう言って、現在の局面と手持ちの駒を照らし合わせ、ひたすら睨みを聞かせる藍伝を遠目に見て微笑む梛華だった。

ここからは藍伝の怒涛の逆転劇が始まります!最大の見せ場なのでぜひ劇場でご覧ください!

鳥肌が立ちましたよ。




そして、3日間の学園祭が終わり、見事アイデンスの勝利となりました。桐生は藍伝たちを認め、アイデンスへの干渉を止めることを宣言しました。

その先は犯罪を引き起こした者として桐生乙葉鳳梨の3人は警察に引き渡されました。

なにやら桐生の正体が分かってから学園祭終了までの間、警察の介入を一時的に止めていた財閥の娘が1人いたとか…

と劇中にありました。ということは椎菜が財閥の力を使って模擬店対決を見守っていたということなんですね……映画見て椎菜推し絶対増えますねこれ。



そしてもう一つ、大学4年の7月を迎えた藍伝の進路についてです。この作品のいいところは対決に勝って終わりではなく、藍伝の成長を描き切っているところなんです!

結局アイデンスは対決後、休業と言う形になります。藍伝は今までアイデンス絡みのいざこざを理由に大学に行かず、単位はギリギリの状態となっていました。

しかし、今回の一件を機に、もう一度ちゃんと経営を勉強して、サークの意思を継いでアイデンスを今度こそ復活させようと思うようになりました。今までボーッと受けていた講義も、半年間で身を以て体験した経験によって頭に入るようになりました。

サーク。俺、もしかしたら留年するかもしれない。そしたらお前の仲間入りだな。ははっ

__でも構わない。ちゃんと学んで、卒業して、アイデンスの社長につとまる人間になるよ。

だから安心してくれ。

アイデンスは俺が守るから……

藍伝は梛華にこう約束しました。

「絶対にアイデンスを復活させる。だからその時が来たら、俺が迎えにいくよ」

梛華は姉と和解し、月城家へと戻り財閥の立て直し。他のみんなも日常に戻り、それぞれの道を歩んでいくようです。そうして物語はラストシーンに向かいます。



ラスト

ラストは鳳梨(パイン)とのやりとりのシーンでした。

パインは最初、自分の店がアイデンスと同じ「大学ロード」に位置していることから、商売敵として藍伝たちに喧嘩を吹っかけました。

しかし、そこで藍伝の頭のキレの良さを見て、「こいつと競いたい。戦いたい」と思うようになり、その思いが桐生に取り込まれるきっかけにもなりました。

結局のところ、パインは佐助やアイデンスに対して恨みがあったわけではなく、「競い合いたい、こいつといれば自分はもっと上に行ける」という純粋な競争心に突き動かされただけだったということなんですね。そこをうまく桐生に付け込まれて利用されたってだけで。


パインが警察に引き渡される時、藍伝はパインに向かってこう言いました。

「パイン、待ってるからな。いつかまた、一緒に戦おう」

親友を銃殺した相手、何度もぶつかり合った相手、でも、だからこそ、彼の本質を見抜いていた藍伝。

それを言われたパインの表情とEDテーマのイントロが重なるとこはズルかった。あんなの泣くに決まってる……






以上が映画の内容でした!

ボリューム満点な内容で、年代によっては自分の進路について考えるきっかけになるかもしれませんね。

アイデンスは私にとって非常に大切な作品です。また語りたくなったらnote更新しますね。

では!

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