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動画視聴に便利なバリアフリー字幕とは?

突然ですが、テレビの番組表に、このようなマークがついているのを見たことがありませんか?

「字」というマークがついています


これは「字幕放送あり」という意味で、番組に日本語字幕がついていることを表します。

「字幕」というと、外国映画についている字幕を思い浮かべる方も多いかと思います。
しかし番組表を見ると、日本の番組にも字幕放送マークがついています。
実は、ここでいう字幕は「バリアフリー字幕」といって、外国映画についている字幕(翻訳字幕)とは違うものなのです。

私はバリアフリー字幕の制作会社に4年間勤めたことがあります。
あまり知名度の高くないバリアフリー字幕ですが、働いている中でその重要性や利便性を知り、もっと多くの人に知ってもらいたいと思うようになりました。

この記事では、バリアフリー字幕とは何か、その特徴や意義を解説していきます。

1.バリアフリー字幕とは?

バリアフリー字幕は、音が聞こえない・聞こえにくい人や、音声なしで映像を視聴したい人のための字幕です。
通常は非表示になっていて、視聴者がオンに設定すると見えるようになるものが多いので
“クローズドキャプション”とも呼ばれます。

2.バリアフリー字幕と翻訳字幕との違い

バリアフリー字幕は「音声がなくても内容がわかるように、ほぼ全ての音を文字にしている」ことが特徴です。
その特徴を、外国映画についている翻訳字幕と比較してみます。

【翻訳字幕】
・外国語の音声を日本語に翻訳したもの。
・せりふの要約や省略が多い。
・人物のせりふ以外の音は字幕にしない。

【バリアフリー字幕】
・日本語の音声を日本語で文字化したもの。
・できるだけ要約や省略はせず、聞こえたまま表記する。
・話者名や、状況を理解するのに必要な音情報も字幕にする。

例えば、バリアフリー字幕は以下のように表示されます。

【遠藤という人物が「うるさい!」と怒鳴り、机をたたいたシーンで】
   (遠藤)うるさい!  
   (机をたたく音)

3.バリアフリー字幕はなぜ必要?

もともとバリアフリー字幕は聴覚障がいがある人のために開発されました。

音が聞こえる人にとって、情報を得ることは簡単です。
新聞やwebサイト、テレビ、ラジオといった様々な媒体を使えるからです。
一方で音が聞こえない人は、テレビやラジオといった音声媒体が使えないので
新聞やwebサイトなどの文字媒体にしか頼れず、情報を得るのが難しくなります。
インターネット通信が使えないような災害時には、なおさらです。

つまり、音が聞こえる人と聞こえない人の間には大きな情報の格差があります。
その格差を埋めるためにバリアフリー字幕は役立っています。

4.バリアフリー字幕を利用できるメディア

バリアフリー字幕を利用できるメディアには
テレビや動画配信サービス、YouTube、映画、DVDなどがあります。

しかし、全ての映像作品で利用できるわけではありません。
バリアフリー字幕が普及したのは平成に入ってからということもあり
まだ大量の映像作品に追いつけていないのが現状です。

とはいえ、近年は障がいの有無による格差をなくすための法整備が行われており、主にテレビ放送を中心にバリアフリー字幕の普及が進んでいます。
現在テレビ放送においては、NHKと民放キー局が放送している番組ならば、ほとんど全てにバリアフリー字幕がついています。

また、NetflixやHulu、Amazonプライム・ビデオといった動画配信サービスも、バリアフリー字幕に対応しているものは多数あります。

こうした流れは他のメディアにも広がっているため、利用できる作品数は今後も増えていくと考えられます。

5.まとめ

・バリアフリー字幕は、視聴者が表示/非表示を切り替えられる字幕
・音が聞こえない・聞こえにくい人に向けて作られている
・音声を省略せず聞こえたとおりに文字化したもの
・近年、テレビを中心にバリアフリー字幕つきの作品は増えている

ちなみに、バリアフリー字幕は音が聞こえる人にとっても便利です。
私はドライヤーで髪を乾かしながらドラマを見る時に使っています。
電車内に乗っている間や、子どもを寝かしつけた後などでも
音を出さずに作品を楽しめるので、ぜひ使ってみてはいかがでしょうか。

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