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大手総合デベ業績まとめ(前半)〜2020年度第三四半期決算、通期決算〜

DARTs Capitalです。昨日は祝日でしたが、身体が疲れてて、家でダラダラw

3月決算も間近で、事業部は最後のもうひと頑張りをして、企業の業績を少しでも上げるべく頑張っていますが・・・厳しい環境だなという認識はやはり拭え切れないです。

さて、先週〜今週は大手総合デベロッパーの第三四半期決算、通期決算が相次ぎ発表されました。

ざっと見ると、企業によって結果が大きく左右されており、まだまだ勢いを感じる企業もあれば、「今期大丈夫?」と言いたくなるような企業もあります。

今日は、決算の数値を元に総合デベ第三四半期、通期決算の総括をしたいと思います。

それでは、よろしくお願いいたします。

1.第三四半期決算〜(1)売上高ランキング

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※ランキングは左から規模の大きい順に並べています(以下同様)。

やはり、売上規模は三井不動産が群を抜いて大きいです。ちなみに三井不動産が対前年比で売上高が大きく増大しているのは、分譲住宅事業がかなり好調で、前第三四半期売上高が2,841億円に対して、当第三四半期は5,264億円と2,422億円増収しています。

一方、オフィス・商業の空室率はコロナ禍において上昇しており、今後の動向が注視されます。以下は各社の2020年3月時点からの空室率推移です。意外なのは、東急不動産HLDの空室率が異常に低く、相当テナント退去対応を努力したように感じます。

三井不動産:2.3%→2.7%

三菱地所:1.86%→2.5%(2021年3月予想)

住友不動産:1.4%→2.3%

東急不動産HLD:0.6%→0.9%

野村不動産HLD:4.0%→4.6%

東京建物:1.0%→2.3%

ヒューリック:非開示

2.第三四半期決算〜(2)営業利益、経常利益ランキング

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次に営業利益率、経常利益です。特徴的なのは、住友不動産が三井不動産、三菱地所を一気に抜いて首位になっています。利益率については、住友不動産とヒューリックが高く、一方東急不動産HLDは、他社と比べて利益率が一段と低いです。

住友不動産とヒューリックは事業戦略に差異がありますし、一概には言えないのですが、ヒューリックは不動産流動化を政策的かつ効率的に行って利益の積み上げができていること、住友不動産はコスト圧縮の意識が一段と高く、その積み上げが成果になって出てきていると思われます。

言ってみれば、「人の住友」「仕組みのヒューリック」と言ってもいいかもしれません。

野村不動産HLDも対前年比で営業利益が68.6%増益しています。同社の主力商品である分譲マンション”PROUD"の売れ行きが好調だったことや棚卸資産の売却が順調だったことなどの積み上げが上手くいったようです。野村は三井のような家賃ビジネスを主とする企業体ではなく、資金回転型ビジネスで利益率やROAを意識した会社だということが分かります。

一方で、東急不動産HLDはグループ全体の従業員は約2.3万人おり、非常に非効率な印象です。この主な要因にあるのは、同社は東急ハンズ事業を抱えており、当事業は売上高には貢献していますが、利益面には全くメリットがありません。言ってしまえば不採算事業です。

あとは、リゾート事業の打撃が大きく、この立て直しが急務だと思います。

リゾート事業は、三井不動産のようなシティホテルではなく、地方のリゾートホテルであるため、稼働率の戻りは一段と遅くなっています。

東急不動産HLDは、コロナ禍を機に、グループ経営を意識して、選択と集中を積極的に行う必要があります。東急ハンズはECの強化を図り効率性を向上させるか、何かしらの対策が急務だと思います。

3.第三四半期決算〜(3)純利益ランキング

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住友不動産は、中国大連市の分譲マンション事業合弁会社の出資持分を売却して、特別利益を118億計上し、純利益は対前年比で13.7%増益しています。

第三四半期において、首位の住友不動産は2位の三井不動産に300億も差をつけました。これは凄い・・・。

今の時期のように、事業のダウンサイドリスクを抱えている時は、日頃からコスト意識が一際強い企業は本当に強いなと実感するばかりです。

あとは、急成長のヒューリック。営業利益の段階で、東急・野村・東建を抜いて4位となっています。ヒューリックの西浦会長は、もはや射程目標を上位トップ3に照準を合わせており、今後も積極的な投資が期待できます。

4.通期売上高予想と進捗率

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各社とも比較的売上高の確保は、ある程度目処が立ってそうな数字ですね。

三井不動産は、先日も報道にあったように新宿三井ビルディング等の売却2,170億円が1月8日に完了しておりますので、実質的にはあと2,680億円をどうキャッチアップするかというレベルです。(新宿三井ビルディング:1,700億円、グラントウキョウサウスタワー持分13.3%:470億円)

5.通期純利益予想と進捗率

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通期純利益予想ですが、実は三井不動産が首位を明け渡しそうになっているのは、2013年度以来7年振りなんです。

ただ、単にこの業績は今期の三井不動産が調子悪いからというものではなく、東京ドームのTOBなどで出金も重なってのことなので、大きく心配をする必要はないと思います。

東急不動産HLDは、対前年比で56%減益・・・これはただただ厳しいですね。


いかがだったでしょうか?

今回は、業績と各社の主な特徴を私の見解も含め、整理をして見ました。

ちなみに、このテーマは2日に渡って、お伝えしたいと思います。

基本私は、「不動産株は気を付けろ!」というスタンスだと思っていますが、次回は今回のテーマを含め、短期投資先として、今後どこに投資すべき銘柄はどこかというのを考察していきたいと思います。明日もどうぞお付き合いいただけたらと思います。

皆さんの今後のご参考にしていただけたら幸いです。

DARTs Capital


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