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エースコンバット3を逐一語る#14

今回は、いよいよ前半のターニングポイントとなるMisson9「レイニー岬の交錯」です。個人的な話をさせてもらうと、プレイ当時はフィーに入れ込んでいたので、迷わずフィーを助けてニューコムルートに行きました。ニューコムに移ってからのフィーとのやり取りもエモくていいのですが、その話は置いておきます。

このミッションはその名の通り、UPEOとゼネラル、ニューコムの三勢力の思惑が交錯する構図になっています。ゼネラルルートでもこの場面は描かれていて、途中から乱入してきたゼネラルの部隊の立場で参加することになります。

極秘任務

ブリーフィングではニューコムとの会談に臨むクラークソン代表を護衛せよ、とのことで出撃することになります。クラークソンの乗るUPEO専用機は「R505U」といい、見るからに曲線的で、特徴的な尾翼を持ついかにもRナンバーといった機体です。ニューコムから提供された機体であることは明らかですが、この辺にもニューコムによる政治工作が見て取れますね。

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ニューコム製旅客機「R505U」

目的地であるケイプ・レイニーにほど近いランバート山脈上空に来たところで専用機が襲われます。ケイプ・レイニー位置的には完全にニューコムの勢力圏内にある空港なのですが、ニューコム本社のあるポート・エドワーズからは遠く離れています。ゼネラルの目の届かないところでの会談を望んだという意図が見て取れます。途中で襲撃したのはゼネラルの航空部隊です。ゼネラルルートではこの襲撃部隊側の視点で参加することになります。ゼネラルの部隊が襲撃してきたのは、当然ニューコムとUPEOの結びつきを妨害するためでしょうが、クラークソンの殺害という行為は同じですが、パークとはその動機は異なるはずです。とはいえ、ゼネラルが専用機の情報を得たのはパークを介しての事でしょう。このへんのパークの立ち位置を想像すると、UPEOとゼネラル、UPEOとパーク、ゼネラルとパーク、ゼネラルとニューコム、ニューコムとUPEOといった多岐にわたる関係性が交錯している様子が見えてきます。

専用機の護衛としてゼネラルの部隊を迎撃することになりますが、撃退したところで出撃を控えていたレナが遅れて合流し、パークが作戦の変更命令を伝えてきます。それはクラークソン代表のスパイ行為が明らかになったことと、それを理由とする専用機の撃墜。ここでルート選択となり、命令通り専用機を撃墜するか、UPEO機を撃墜して専用機を守るかの二択となります。

このミッションは衝撃的な展開につい目が行ってしまうのですが、突き詰めてみてみると、登場人物の思惑や意図が様々絡んでいるので一つずつ見てみましょう。

クラークソンの思惑

まず最初にクラークソン代表が単身ニューコムと接触しようとした理由を考えてみます。ニューコム艦隊のメガフロートへの集結に対して、ゼネラルはUPEOを後ろ盾にして攻撃を行いました。すわ全面戦争か、という状況、その交戦のさなか、クラークソン代表の交渉によって停戦協定が締結、いったんゼネラルとニューコム戦闘拡大はいったん阻止されます。ですが、その後事実上停戦は無視され、両者ともに停戦違反を繰り返します。停戦を調停したUPEOとしては面目が潰れた形となり、UPEOの立場、影響力の低下を印象付ける結果となりました。ですが、これで立場が悪くなるのは停戦協定をまとめ上げ、ニューコムを後ろ盾とするクラークソン代表です。苦しい状況に立たされたクラークソン代表が、状況を立て直すために改めてニューコムに停戦を履行するよう直談判しに行った、というのがクラークソンの思惑です。このミッションの前のムービー部分で、ニューコムとゼネラルリソースの会談がNUN本部で行われる見通しで、両者の間で調整中、との内容の文字放送がありますが、クラークソンの行動はそれに向けたものという事でしょう。

パークの思惑

次にパーク司令がなぜここでクラークソンを消す決断をしたのか、考えてみます。まず、クラークソンはパークにとってはUPEO内の権力を競う政敵とでもいうべき相手です。また、どうやら個人的な感情も後々語られますので、そのあたりも関係しているでしょう。

もう一つの理由として、ゼネラルの意向が考えられます。パークはゼネラルが送り込んだ傀儡という役割があります。UPEOを親ゼネラルの組織として、その意向に沿って行動させる役割が課せられています。クラークソンはニューコムとの結びつきを強めるUPEOをこれ以上近づかせないよう、クラークソンを何とかせよ、との指示を受けていたという事も考えられます。

とはいえ、だからと言ってうかつに暗殺のような強硬手段をとれば自身の立場を危うくしてしまうでしょうから、そう簡単にはいきません。ですが、実行したからにはその障害となる事情がクリアになったということであるはずです。どのようにしてその障害がクリアになったか考えます。

パークの立場の変化

それにはここまでの出来事を順を追ってみていく必要があります。
まず、ニューコムがゼネラルに対して軍事行動を開始する以前は緊張状態が続いているものの、SARFの活動は抑制的だったと思われます。UPEOの方針として両者の関係を刺激するようなことはしない方針で、事態を静観するのみでSARFに活躍の場は与えられてはいなかったのでしょう。いよいよニューコムが直接的に軍事行動に出たことで発足以来初めてSARFに出撃命令が出たのがミッション1なわけですが、それまでのパークはゼネラルに送り込まれて司令官になったものの、その立場は弱く、影響力もないに等しい状態だったと思われます。

しかし、状況は変わりました。ニューコムが軍事行動に出たことで対処の必要が出てきたわけですが、現支配者がわのゼネラルとしては、自らの警備部隊を動かすのは体裁が悪いと考えたのでしょう。かねてから牛耳っていたSARFに平和維持を名目に対処させたわけです。
これ以降、紛争の激化にともなってSARFとその司令官であるパーク司令の立場は上昇し、それをゼネラルも後押しして機体を供与したりしていたわけです。

この状況を内心苦々しく思っていたのがクラークソン代表です。これまでUPEO議員として緊張状態の緩和に政治的な方法で尽力してきたのが、その活躍の舞台を奪われ、影響力は急速に低下したことでしょう。メガフロート戦のさなか停戦協定を締結させる、というアクロバティックをやってのけて大規模な軍事衝突への発展を防ぎました。これにより影響力の低下を挽回し、パークをけん制したかに見えました。しかし、これが裏目に出ることになりました。その協定はその当初からニューコム、ゼネラル双方から反故にされ、水面下で戦闘は継続していました。このことは、政治という前時代的な紛争解決手段が無力、との印象を決定づけたことでしょう。一方で、出撃の機会の増えたSARFの司令官であるパークの影響力は高まったはずで、このメガフロートの一件を境にパークがUPEOにおける権力を一手にすることが決定的になったのではないでしょうか。

かくして、クラークソン代表は起死回生の一手として、ニューコムとの直談判に臨んだわけですが、もはや盤石の地位を得たパークにとっては、クラークソン代表が単独で極秘に移動するこの機会は邪魔者を消す絶好の機会と映ったのではないでしょうか。

レナはなぜ後から到着したのか

しかし、その手段は慎重に選ぶ必要があったはずです。もしこの企みが露見することがあればとんでもないスキャンダルであり、いっぺんに地位を失うことになるでしょう。そこで、パークが目を付けたのがUPEOのアイドル、レナです。レナの機体とそのENSIシステムはMission4のメガフロート戦前に一度故障しています。これは想像ですが、この件を利用してレナに取引を持ち掛けたのではないのかと思います。

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つまり、こういう事です。レナのENSIシステムは特別製で、その維持管理はUPEOもちです。彼女が空を飛ぶには必要不可欠で、飛ぶことにひときわこだわりを持つレナにとっては命よりも大事なものと言えます。飛べなくなることは彼女にとっては死同然といえます。一度機体が壊れたことで、もう飛べなくなるのでは、という不安がよぎったことでしょう。そんなレナに対してパークはこう持ち掛けます。今後、機体の安全を保証する代わりに、この指令を遂行せよ、まあ取引というよりは脅迫に近いですが、レナはそれに合意したのでしょう。

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手筈としては、他のパイロットに意図を知られてはなりませんから、パイロット全員がそろっている所で作戦の変更を伝えれば怪しまれます。そこでまず少数の機体で護衛任務に出撃させ、何らかの理由をつけてレナを後から空域に向かわせる。その後レナが空域に到着したところでパークの口からスパイ行為があったことを各パイロットに伝える。レナはその撃墜命令の遂行役として出撃させた、といったところではないでしょうか。後から状況が変わったから、慌ててレナを出撃させた、というのはそれなりに説得力があります。

こんな風にレナのこの時の置かれた状況を想像してみると初見の時とは見え方が変わってきます。初見の時は無感情で任務に忠実、だから命令を言われた通り機械的にこなしている、そんな風に見えましたが、そうではなく、何か葛藤があるように感じられる気がします。皆さんはどうでしょうか。

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この場面のセリフも違ってきこえます

ちょっと長くなってしまいましたが、なんとか書き終えました。なかなか考えがまとまらずに時間が空いてしまいました。続きも書いていきますのでよろしくお願いします。

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