兄弟対決の話をしよう

スポ根漫画だとよくある展開に兄弟対決ってのがありますが、競馬界でもあるのかな?って考えてみると、年間150頭とか種付けする種牡馬がいるわけで、そんなの考えてたら毎レース兄弟対決になっちゃいます。

というわけで、競馬でことさらに兄弟対決って言う場合、「同じ母親から生まれた」馬同士の対決を言う場合がほとんどなんですね。

有名な例で言うとビワハヤヒデvsナリタブライアンになるんでしょうけど、知っての通り史実では実現しませんでした。馬は1年に1頭しか出産できないわけで、競走馬の活躍できる時期は非常に短いうえに、古馬に近くならないと同一レースに出る機会すらない、といった条件の下では、そもそも同じ母親から生まれた2頭が戦う、って機会はほとんどないんです。名馬を複数産んだ牝馬もいるでしょうが、産んだ時期が近くないといけないわけですし。パシフィカスが2年続けて名馬を輩出したのは、とてつもない奇跡なんですよね。

それすらも実現しなかったビワvsブラなわけですが、そのように両方ともその時代に名を残す名馬同士で、舞台はG1、ともなるとマジで皆無です。

唯一あるのが2007年の有馬記念、ダイワメジャーとダイワスカーレット(母親がともにスカーレットブーケ)がありますが、これは兄と妹ですね、異父兄妹ですが。それ以外だとサトノルパンとクラレントのマイルCSがあるようですが、これはどうなんだろう……知名度として。

てなわけで、G1での全兄弟対決ってのはいまだに知名度の高い同士だと実現した例ってほとんどないんじゃないかな、ってのが調べた雑感です。

ですがまあ話を膨らませて、兄弟対決を他の視点から見てみるともう1点争うポイントがあります。種牡馬としての実績、という対決です。

同じ母から生まれた二人の息子が仔作りで争うってのもなんなんですが、そういう例は結構あります。ちなみにビワvsブラはブライアンが短命だったこともありますし、対決できてないに近いですね。

面白い例が、アグネスフライトとアグネスタキオンの例です。同じサンデーサイレンス×アグネスフローラから生まれた両馬は、かたやダービー馬、かたや無敗の皐月賞馬になるわけですが、繁殖成績は全弟のアグネスタキオンの圧勝。

そのアグネスタキオンの娘であるダイワスカーレットと、アグネスタキオンの父の息子であり、母を同じくする(なんだかインモラル過ぎません?)ダイワメジャーが珍しい兄妹対決の代表例になってるのって、この家系なんかヤバいんじゃないでしょうか。

兄弟ってわけではないんですが、兄弟に近い種牡馬対決って言うと思い浮かぶのがヤマニンスキーです。あるところにバックパサーというすごいのがいまして、ある二人の女を孕ませます。その生まれた女の子は共にニジンスキーというこれまた凄い奴の子を孕みまして、片方はスーパーカーになりまして、片方は乗用車になりました。その乗用車のほうがヤマニンスキーです。

このヤマニンスキー、血が近けりゃ同じようなのができんだろ、ってそりゃそうだろうけどさあ、って感じで種牡馬入りするんですが、何とクラシックG1ホースを出します。はい。ヤエノムテキです。

くしくも「本流」であるサクラチヨノオーとクラシック戦線で争うわけですが、何となく母系の執念を感じちゃいますよねえ……マルゼンスキーさん、そりゃチヨちゃんのほうがかわいいんでしょうけど、ヤエノムテキのことはどう見てたんでしょうか。

ここまで話を膨らませて突然ですが、日本競馬史上の最強馬ってなんでしょう?意見は色々あると思いますが、自分はディープインパクトだと思っています。勘のいい方は気づいたでしょうが、ディープにも全兄が存在します。その名をブラックタイドというわけです。

ブラックタイド、超一流ではないですが、G2スプリングSを勝ってクラシック戦線を戦えるくらいの強さを持った馬でした。皐月賞で16着と大敗してから(この時一着がダイワメジャー、だからなんなんだよこの血統)は競走馬としての最盛期をほぼ屈腱炎で棒に振り、なんとか復帰してもOPで2着とかが最高という、なんとも冴えない競争実績をもって引退、「ディープの全弟」という実績をもって種牡馬入りします。

そうして実現したのが、キタサンブラック(ブラックタイド)vsサトノダイヤモンド(ディープインパクト)という全兄弟仔同士の対決です。結果というかその結末は今後のウマ3期とかの題材になるのかもしれませんね。

ウマ娘では、直仔に対し「運命的なものを感じます……!」という一節がよく出てきます。ウマ娘には権利の関係かディープインパクトは実装されておりませんが、もし出ていたとしたら、会長職引退後のルドルフポジションにいたりするんじゃないかなあ、って思ってます。

そのディープを見て、キタサンブラックはなんていうんでしょうか。

サトノダイヤモンドが「運命的な……」という彼女の向こう側にいるディープに対して 「宿命的な何かを感じます……!!」 とでも言ったんじゃないかなあ?って思ったりしたわけです。

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