ウマ娘「キングヘイロー」の難しさとは?

自分はそれなりにガチャも回し、ウマ娘における「育成ウマ娘」は3/10現在実装されている全27娘を所持し、すべてでURAファイナルを優勝、すべてで最終評価A以上を取っている。

よくサークルでも各所動画投稿サイトなどでも論議に上がるのが、「一番育成の難しいウマ娘は誰か?」ということがあるが、これは配信当初しばらくは「ライスシャワー」があげられることが多かった、ついで「メジロマックイーン」あたりだろうか。この2娘はどちらかというと長距離に適性を持っており、「サクラバクシンオー」に代表されるような短距離~中距離のスピードで押し切れる舞台ではなく、「長距離育成の壁」にぶち当たった結果の評価ではないかと思う。

ただ、長距離育成ができるようになってくると、決して難しいウマ娘ではなく、むしろその分野では強い部類に属してくるとわかってくる。特にマックイーンは育成自由期間が長く、適性の合わないレースに義務的に出る必要のあるシナリオでもないので、比較的素直に育成をしやすいと思えるようになるのではないだろうか。

そうした育成をこなした前提で、それでも「難しい」と今でも名前を上げるとするならば、自分はここで「キングヘイロー」と言わざるを得ない。

キングヘイローの難しさには3つの段階がある。

一つは「クリアすることそのものの難しさ」

一つは「彼女の望み通りの3冠ウマ娘」にすることの難しさ

そして最後に「適性に合った短距離エキスパートとなる」難しさ、である。

キングヘイローにはほぼ負けイベとして設定されている「菊花賞」があるわけだが、その前段階の「日本ダービー」も5着条件とはいえかなり厳しい。現実には14着だったわけだし。ただ、これらはダービー5着に必要なスタミナをそろえ、菊花賞を投げることによって突破はできる。この辺はプレイヤースキルそのものが向上することによってさほど難しくない壁であるといえる。

そして2段階目、彼女が自分はこうあるべきと思っているであろう「3冠ウマ娘」にする道であるが、ここには「因子継承による距離適性の突破」というゲームシステムそのものへの理解とプレイ回数を踏まえる必要がある。中距離~長距離の因子をもったほかの殿堂ウマ娘から継承を行い、距離適性そのものを、いうなれば「改造」してしまうというやり方である。

とかく「パワプロ」のサクセスモードと比較されがちな本作であるが、この因子継承という独自のシステムを理解する必要がここで出てくる。単純な育成ルーチンを組み上げるだけでは駄目ですよ、とたづなさんが教えてくれているようではあるが、プレイヤースキルを1段階向上させる意味でも、このキングヘイローというウマ娘は貢献してくれているのかもしれない。

因子継承を学ぶと、スピード星3が欲しいとか全部星3因子で固めた殿堂ウマ娘を育成するといった「因子道」に足を踏み入れることになり、こここそがウマ娘最大の沼といっても現状差し支えない。そうした苦難を乗り越えると、そうした自慢のウマ娘達をお披露目する舞台として用意されているのが「競技場」というPvPである。

ここでやっと大きな前振りを経て本題に入る。3つ目の難しさである「短距離エキスパートとしてのキングヘイロー」である。

この競技場にはレースカテゴリとして短距離~長距離があり、CLASS3以降は各所に3人ずつのウマ娘を配置する必要があるのだが、特に不足しがちなのが現状「短距離」「ダート」になるだろう。

短距離については「サクラバクシンオー」や持っていれば「タイキシャトル」が適しているだろうが、何と言っても「短距離適性」を持っているウマ娘は少ない。ここで誰しも目に留まるであろうウマ娘こそが「キングヘイロー」になるわけだ。

ただ、である。キングヘイローはここまで長く前振りしたようにクリアそのものに困難きわまる前準備やプレイが必要になり、日本ダービー5着を抜けなければいけない関係上、バクシンオーのようにスピードだけやってればいいというプレイができない。バクシンオーのようなステータスにすることが非常に困難であるというのはやったことがある人ならすぐわかるだろう。

キングヘイローはさらに短距離では不利となりがちな「差し」脚質であるという難点もある。ただ、これは先行や逃げばかりの競技場では、そうした前を行くウマ娘達にデバフを振りまくいたり、差し独自のスキルを活用できる格好のポジション適性を持っているとも言い換えることができる。

そうした彼女の才能を生かしつつ、かつ競技場で通用するような育成をする難しさは、これまでにトライしてきた中でも屈指の難易度であると思うし、いまだに自分でも納得のいくキングヘイローは育成しきれていない。天才といってもいい「マルゼンスキー」の前に短距離枠を奪われ、膝を屈しているキングヘイローが俺の目の前にいるのだ。

キングヘイローはシナリオ上でも挫折の末に栄誉をつかんでいく泥臭いキャラクターではあるのだが、彼女が形式的な「3冠」などではなく、タイキシャトルのように「みんなが取れないと言っている短距離としての年度代表ウマ娘になってみせマース!!」という切り替えができていたらどうだっただろうか?本来の才能をいかんなく発揮して、短距離の女王として君臨していた過去……いや空想の世界があったのかもしれない。現実的には牡馬だから王であっただろうし。

ただでさえ架空の世界であるウマ娘に、現実のキングヘイローのifを重ねるような暴挙はもしかしたら不毛なのかもしれない。けれど、ちょっとでもそうした彼女を、そうしたキングヘイローを心に描いたことのある方がいるとするならば、いつでも競技場の短距離枠はあなたを待っている。



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