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楽しいお葬式のすすめ

私が実家を離れて10年ぐらい過ぎた頃、突如父方の叔父から連絡が来た。

じいちゃんは大丈夫なんか?って。


えっ、それ私に聞く?私が他県に住んでる事知ってるよね?と頭の中にハテナが並ぶ。

私じゃ分からんから、先に両親どっちかに確認してくれんかねって言ったら、電話が繋がらなかったから私にかけたと。

不穏な… 何か分かったら連絡するからと電話を切った。

じいちゃんに何があったんか確認する為、実家かけて妹にかけてとしてたら電話が繋がって、じいちゃんが倒れてもう危ないとの事…。

実家に帰るにしてもそのままじいちゃんとこに行くにしても、どちらにせよ高速バスで4時間前後。仕事を変わってくれる人を見つけ、次の日帰る事にしたんだけどその日の朝方にじいちゃんは倒れてから一回も意識が戻らぬまま帰らぬ人に。

死因は肺炎で、お年寄りの肺炎は咳き込んだりとかじゃなく体内で炎症が広がって知らぬ間にそうなる人が多いって説明された。

なのでピンコロだったらしい。(ピンコロって方言なんやろか、聞いた時は衝撃的だった)

まだ冬って程じゃなかったんだけどめちゃくちゃ寒い日で、高速バスも雪の影響をうけ、途中は下道通ったりしてて。普段よりプラス2時間ぐらいで到着。その日にお通夜。

夜に一旦私達は帰る事になり、その車の中で遺影に使われた写真は隣に若い女の子がじいちゃんに肩を抱かれて写ってた事や、じいちゃんの席を整理してたらエロ本スクラップが隠されていて、一緒に住んでる曾孫がそれを見ないようにと車のトランクに入れて持って帰ってきた事を聞いた。

どんだけ元気やったん爺ちゃん笑

じいちゃん海外よく行ってたんだけど、お姉ちゃんと楽しそうに飲んでていい笑顔だったからそれを遺影にしたらしい。

アルバムには、ありとあらゆる海外の飲み屋さんで撮ったお姉ちゃんとのツーショットのみが貼られていて、まだ生きてた時にばあちゃんに発見されて一悶着あった曰く付きのものψ(`∇´)ψ

近々で撮ったものの中に良い写真が見つからなくて、アルバムがあった事をばあちゃんが思い出し、ばあちゃんがそれでいいならもうしょうがないねってなったらしい。

次の日のお葬式の前に、改めて遺影を見てたらこの隣にはお姉ちゃんがって思い出しちゃってじいちゃん何やってんだかって思わず笑っちゃって不謹慎な人になってしまった(--;)

お葬式はじまって、歌の下手そうなお坊さんのお経を聞いてたらお葬式終了。そのまま火葬場に。

火葬場についたらお経をあげてもらって、その後にお坊さんが回って下さいって。

回れと言われたからと、棺桶の周りを回りだす親族。お父さんを筆頭に。

何の宗教や?こんなんした事ないぞ。と思いながらもついて行きかけた頃、お坊さんが慌ててそうしゃなくてお線香順番にあげてくださいって。

あーね。そうよね。変だと思ったって火葬場で笑いがおきたのは不謹慎やけどしょうがない(꒪˙꒳˙꒪ )

だって真剣に棺桶の周りぐるぐるしてるのおかしかったもん。

そんなこんなでひと笑いしてからまた葬儀場に戻り、爺ちゃん焼いてる間に、お昼ご飯を食べる事になった。

運ぶの手伝ってて、葬儀場の人が出してくれた烏龍茶をついでまわったら、これお茶やないって( °-° )

お母さんが飲んで確認したら、烏龍茶に擬態した麺つゆだった💦

普通麺つゆを烏龍茶のペットボトルに入れる?どんなトラップだよ。ネタかと思ったけど田舎の葬儀屋さんやから、素で間違えて出したらしい。

でもそれでひと笑い出来たからよしとしよう。

そろそろ時間だから爺ちゃん迎えに行ってくるねって婆ちゃんに声掛けたら、そのまま墓に入れてこい!って。

そうやない。お墓に直では入れない。一回お家に連れて帰ったげて( ˙꒳​˙ᐢ )

婆ちゃんは、みんな忙しいんだから今日で済ませてしまおうと思ってたらしいが、そこは爺ちゃん優先でいいんよ。とかなんとか言ってからお迎えに。

健康なまま亡くなったから骨がかなりしっかりしてますねって係の人が。

健康なまま死ぬ。矛盾した言い方だけど、病気で長く闘病生活をおくってた人とか、骨粗鬆症とかの人とかだと骨が砕けた状態で焼き上がる。

健康なままだと骨が綺麗に残るから言い得て妙だけど健康に亡くなったってので正解らしい。

でも骨がしっかりしてますからって骨バキバキ折られてなんかせつなくなった。

もっと爺ちゃんを敬ってくれ。入らないと困るのは分かるけど、そこまで割らんでいいやないか!

係の人も仕事やからしょうがないのやろうけども。

骨壺に入ったホカホカの爺ちゃんを婆ちゃんの所に連れて帰り、婆ちゃん連れて婆ちゃん家に2人共連れて帰った。

婆ちゃんは暫く気が抜けたように爺ちゃんの遺影を眺めてたけど、その後は爺ちゃんとの事を機関銃の如く喋りだしていつもの婆ちゃんに戻ってたから安心して実家に帰りました。

戦争で旦那さんを亡くし、その後繰り上げ当選のようにその旦那さんの弟、義理の弟と結婚させられた婆ちゃん。

大変な思いをしながらも子供を育て、その後孫も育てたパワフル婆ちゃんが、爺ちゃん居なくなって逆に楽になったって笑ってたから、お葬式でもしんみりし過ぎない方がいいんやろなと思った次第です。

ただし、亡くなり方、年齢にもよるだろうから、大往生で亡くなった人の時のみですけどね。

思い出話で笑って送り出してあげた方が、亡くなった方も残された人もいいんじゃないかなと思います。



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