映画大好き❣️おばさんの独り言その13

志村けんさんが亡くなったと聞き、呆然としながらも何故かひとつの映画を思い出してた…

それは本当に静かな、人の生と死を見つめる映画。特に有名な俳優も出演していないが、少しずつ胸に染み入る作品…

「おみおくりの作法」

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出演者  エディ・マーサン

ロンドン市ケニントン(英語版)地区の民生係として働くジョン・メイは44歳の独身男である。彼の仕事は孤独死した人物の葬儀を行なうというもので、事務的に処理することもできるのだが、几帳面な性格のジョンは誠意をもって1人1人を丁寧に「おみおくり」している。ところが、人員整理によって解雇されることになり、ジョンの向かいの家で孤独死したビリー・ストークの案件が最後の仕事となる。近くに暮らしていながら言葉も交わしたことがないビリーの死に、同じように孤独な1人暮らしをしているジョンは少なからずショックを受け、ビリーを知る人々を訪ねてイギリス中を旅することにする。

主演のエディ・マーサンは色々な作品で脇を固める名優なので、顔に見覚えのある方も多いと思うんだけど😃

最近では「デッド・プール2」のミュータントの子供を収容する施設の校長役が記憶に残っている。役によっては台詞や出演場面が少ない時もあるが、それでもどこか印象に残る俳優でふとした表情が素晴らしい存在感を持つ名脇役と言って良いと思う❣️

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イギリスの労働者階級に生まれ、自身も印刷会社に勤務しながら舞台で活動していた時期がある。地道にキャリアを重ねてたどり着いたのが現在の演技力と存在感なのだと思います。      また表情の作り方が素晴らしく上手くて、役柄によっては全く別人に見える時があります😃

「ハンコック」の手を切られちゃう銀行強盗役なんて同じ俳優と気付く人は少ないと思いますね😃

そんなエディ・マーサンが、台詞もほとんど無く周囲との交流もほぼ無い人物を、大半ひとり芝居で演じるこの作品…

主人公は44才で独り暮らし、その過去も生い立ちも全く描写されません。           毎日同じように起き、同じバスにのり出退勤して食事も同じ物を食べて生活しています。    仕事には真面目に取り組み、丁寧に孤独死して身寄りも無い死者を弔います。         丁寧過ぎて予算を使い過ぎだと解雇される程に… 解雇になる直前に自宅のすぐ近くで発見された死者の調査を始め、解雇されるまでに終えるよう言い渡されますが、自分の境遇と孤独死した老人が重なるジョン・メイは老人の過去を辿り身寄りを探す為に旅をする事にします。

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今までの決まり切った生活を自ら変えてまで、最後の仕事を果たそうとしながら、その変化に戸惑い困惑しながらいつしか少しずつ楽しみを覚えていく様子が、仕草や表情から伝わってきます。 私の知人に障害児教育の現場勤務している人が居ますが、この作品を観てジョン・メイはアスペルガーなどの発達障害が有ると言っていましたが、そうならば自らの行動を変えていくという事はとてもしんどい事です。実際戸惑い困惑している様子や、いつもは口にしない飲食物を匂いを確認してから口にする姿は、本当に勇気を振り絞り行動していると感じさせます。

そうした「大冒険」の果てに、ジョン・メイに小さな幸せの種が芽生えるのですが…

この作品の最初の方と終盤に、地面に寝て空を見上げているジョン・メイが写りますが、そこには大きな違いがあり、ふとジョン・メイの冒険は実は夢だったのでは❓と一瞬思うのですが…

自分の為に買った見晴らしの良い墓地を、最後に担当した老人に譲り埋葬したジョン・メイ…        誰よりも死者を弔うことに精一杯の誠意と敬意を持っていた彼の魂を孤独から救ったのは、彼自身の行いでした…

特に山場らしい場面も無く、BGMも無く、息遣いや物音と時折聞こえる人の声だけで淡々と進行するストーリーに惹き込まれ見入っている内に、淡々とジョン・メイは彼にとっての冒険をしている。静かな中にピンと張り詰めた様に死者に対する誠意と敬意が感じられ、それは生きている自分達を敬い愛おしむのと同じ事なのではないかと、深く考えさせられる作品です❣️                          

SARS-COV-2で亡くなられた方々やご遺族に心からお悔やみ申し上げます

また、現在重篤な症状と闘っておられる方々の健闘と早い回復を心からお祈り致します

1日も早く、皆んなが日常に戻れますように…

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