沖縄慰霊の日に思う

 75年前の本日6月23日 日本帝国陸軍第32軍牛島中将自決 沖縄戦の終結日とされ、沖縄慰霊の日となる。 その後も非組織的戦闘は継続され、9月7日に南西諸島方面師団の代表将校が日本軍の沖縄戦降伏文書に調印し、米国陸軍大将が日本軍の降伏を受諾し署名することで、沖縄戦は公式に終結した。 したがって、史実の上では75年前の本日を過ぎても、実質的な戦闘は終わっていなかったということだ。そして、いまも沖縄の戦後は終わっていないという人もいる。

沖縄戦を数字で見ると
日本兵力 116,400人
 内訳  戦闘部隊 陸軍50,000人
           海軍3,000人
        後方部隊20,000人
     沖縄現地召集約30,000人

米国兵力 548,000人
 上陸戦兵力   合計278,800人
     内訳   陸軍190,300人
          海兵隊88,500人
       

日本犠牲者
県外出身者死者 行方不明者 65,908人
沖縄県民死者・行方不明者122,228人
       内民間人死者 94,000人

米側犠牲者
          総死者20,195人
   内戦死者 12,520人~14,006人
戦傷者 55,162人
戦闘外傷病者26,211人 (wikipediaより)

米軍 沖縄戦は、日本という国が経験した最大最悪の地上戦であったが、米国にとっても、悪夢としては同様であったのだ。帝国は沖縄県民間人の疎開を許さず米攻撃の盾とした。軍人は比率から言えばほとんど玉砕状態、そして軍人以上の民間人を巻き込んだ。常軌を逸してもはや狂気だが、これが日本人なのだろう。仮に本土決戦になったとしても、同じことが起きたはずだ。

片や米国の犠牲者は兵力の5%に満たない。今のアメリカのコロナの死亡率とどっこいだ。しかし、火力、機動力、兵力どれをとっても負けるはずのない日本に対して、ビビったのは明らかに米国側だったはずだ。
米国戦闘史上、初めて現地最高司令官を殺られ、特攻機の体当たりに船を沈められ、竹やり程度の火力しか持たず勝ち目のないはずの日本軍が、司令官が自決して尚圧倒的な兵力差をものともせずに向かってくることに、心胆寒からしむる思いをぬぐえなかったことだろう。この沖縄戦の結果から、米軍は日本への地上戦に恐怖したことが、空爆、原爆投下へ舵を切る要因ともなったはずだ。
 沖縄戦の悲惨さを回顧するまでもなく、しかし誤解を恐れずに言えばこれは日本人が総意として突き進んだ道だったのだ。狼の子として。自分はその認識に立たないことには、戦争の総決算、これからの日本の行く末を考えるスタートには立てないのではないかと、考えている。

 日本人を心から恐れ、また時には畏敬までいだき、そしてこの狼の子の牙を抜かなくては自分たちが食われてしまうと悟り、占領政策の中でいくつもの緊箍児呪を嵌めてゆく。その一つが日本国憲法であったろう。しかし、それを計画したのは、米国の総意ではなく、軍であったのは疑いようがない。
 いま、それぞれの国が乱れている。これから国というものの単位はどんどん不確かなものになってゆく兆しなのだろう。かの暴露本によれば、トランプは在日中駐留米軍の撤退を、経済取引に使え、と言っているそうだが、米軍にしてみれば、そんな恐ろしいことはできないのが本音なのだろうと思う。我々以上に建国からの歴史を大事にする彼らからすれば、絶対に敵にしてはならない相手が、日本人だからである。そして、昔の政治家はそうした米国のビビりを見透かしながら、取引をするだけの胆力もあった。日米安保条約は、孫悟空を縛り付ける緊箍児呪であるとともに、孫悟空を子分にしておくためのよすがでもある。自分は、これ以上の軍備も、9条戦争放棄条項の改正も必要はないと考える。有事対応を含む自衛の規程等、必要なものは変えればよい。しかし、米国の教育にまんまと洗脳され、自らを犬になってしまったと卑下する必要はない。日本を取り戻すなどど、無駄な虚勢を張ることもない。きゃんきゃん吠えながら、役にも立たない武器を買い集める必要はない。我々はいざとなれば狂気をまとう狼の子なのだ。その自覚のもとに悠々と平和憲法を背負って、世界平和にまい進すべきである。

 今日の慰霊の日、デニー知事の演説は立派であった。うちなーグチのたどたどしさは愛嬌としても、おあいその拍手の一片もおこらない首相の薄っぺらい言葉よりもはるかに響く言葉だったと思う。おりしも米軍駐留費の密約が暴露され、これからも様々な密約が表に出てくるだろう。イージスアショアの見直しも、これまでの不機嫌な説明を覆す契機となるのではないかと期待する。戦争の惨禍を乗り越え、自国防衛と、世界平和のために何が必要なのか、そろそろ本気で考えるときが来たのだと信じたい。

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