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見えない短歌「夜」 Le Tanka invisibili

ルール
・架空の一首評に対して短歌を作ろう!
・きっとたのしい!
・集まった数によるけど、全首ひとこと評する予定です。集まった数によるけど。
・作品も名前もアカウントも公開するので、既発表扱いになることにご注意ください。
・ひとり一首まで!
・作り始めたばっかの人からベテランまで、誰でもどうぞ!
・タイトルはイタロカルヴィーノの名作『見えない都市 Le Città Invisibili』をもじったんだけど、イタリア語があってるかはわかりません!
・という感じで10/18~10/25までの一週間に投稿してもらう企画でした!

架空の一首評「夜」
ある瞬間に、別のどこかではまったく別のことが起こっている。
この歌では三句目に置かれている「夜」が特別な役割を担っている。
「夜」という時間的、空間的なものが別次元を結ぶ特異点になっているのだ。
上句のいかにも俗世的な表現と、下句のあり得ないほどに美しい幻想的な表現の対比。
つまり現実という実在と、非現実という虚構。
それはどちらかが上なのではなく、拮抗したものである。
そしてどちらにも黒く透き通った夜は訪れる。
本来重なり合うはずのなかった世界が、一つの夜によって接続され、互いに影響し合うことで我々は新たな世界を目撃することになる。

選歌方法
グーグルフォームに送られたものをまとめてスプレッドシートに出力!
   ↓
重複だけ確認して、投稿時間、作者、アカウントを隠す!
   ↓
RAND関数でランダムに並び替え!ここの掲載順もランダムです。
   ↓
ひたすら選歌!忖度はありません!


外れ馬券ダートに散華す紗(すず)の夜に怒放するは百億の屍人花(ひがんばな) 本屋 文華 https://twitter.com/ayakahonya
「外れ馬券」が舞い散り、「屍人花」が咲く。今回の中で一番上句と下句の振れ幅がでかい。外れ馬券と花びらが世界に舞い、荒れたダートに屍人花が咲き乱れる。百億の花を踏み潰して馬が行く。嗚呼、これが新たな世界…。 馬券の白、夜の黒、ひがんばなの赤というコントラストも美しい。


おじさんが焼酎を飲む夜のなか銀河を失うセックスをした
遠山聖奈 トオヤマセナ
上の句にも下の句にもなんだか救いがない。焼酎おじさんにはよく言えば哀愁、悪く言えば下卑たものを感じる。下句は銀河を喪失するセックス。銀河ってなくしたらダメじゃない?なんかどこまでいってもちらつく焼酎おじさんがすげーいやなんだよな。焼酎おじさんが水割りかなんかで飲むグラスを汚い人差し指でかき混ぜれば、渦巻いて銀河が生まれるんでしょう。このいやな感じの新たな世界、たまらん。

Tinderに手をすべらせる夜に逢えばうすむらさきのはだのなりひら
野口あや子 @ayako_nog
「Tinder」はマッチングアプリ。「なりひら」むちゃくちゃ笑った。いい男、暇つぶしの男らが入り乱れる中、とりあえず会ってみたら、それは「うすむらさきのはだのなりひら」。なにやってんだよ、業平。現代に転生したのはいいとしても、なに「Tinder」やってんだよ。在原業平は百人一首の「ちはやぶる神代もきかず竜田川からくれなゐに水くゝるとは」とかの人。平安の歌人。念のため。


コンビニでおでんを買った夜産まれ二億年後に気付かれる星
橋本牧人 @ots_mh
気付かれなければ存在とは認められない。そして位置が違えば時間はほとんど意味を失う。そのおでんの卵を割るときに、どこかの銀河で星が爆発しているかもしれませんよ。ま、それがわかるころには自分、そもそも人間すら存在してるかわからないんですけどね。観測する側が存在しないとき、観測される側は果たして存在できるのか。

原稿を食うシュレッダー響く夜玻璃の小鳥は陸を離れる
安錠ほとり komiya_amane
誰でもやれるつまらないシュレッダーに原稿をつっこむ仕事。その音が異世界の玻璃の小鳥を驚かす。「玻璃」はガラスとか水晶。すぐ壊れそう。きれいなものほどすぐ壊れる。大事な機密も取るに足らない情報も、美しくないものを裁断していくシュレッダーと、逃げていく美しい玻璃の小鳥。仕事に追われてると、大事なものを失っていく感じ、するよね。仕事終わったら忘れずに玻璃の小鳥探しに行こうな。ちなみにどうでもいい話ですけどぼくもシュレッダーに紙つっこんでるとき「ほら、餌だぞ~」って思いながらつっこんでます。

入選
古代史の本を閉じれば夜が来るウルクのきみに昇る金星(イナンナ)
壱羽烏有 @summatu
「ウルク」はシュメールの古代都市。「イナンナ」は天空の女神。時を超えて、ウルクと共に金星を眺める。

家無しの老婆が鳩と眠る夜この世すべての窓は映写機
高田祥聖 575inroute88
老婆と鳩の人生だけは映されない。誰も知ることがない。

望むともなきまぐはひに夜は更けて見ぬ世の人にかをる橘
山本千景 @Nostalfire_
気の乗らない性交中に、思い出すのは知らない世界の知らない思い人。「橘」は過去の恋人などにつく。

缶チューハイどんどん空ける夜の手は花園を舞う黒揚羽蝶
春野あくび
ひらひらと妖艶に、チューハイを飲む。アルコールは蜜の味。

残業の疲労横たふ夜の夢魚影となりて銀河を滑る
沖津ありす @3pingsheep
魚にすらなれない。泳ぐこともできない。

ひつそりと奥歯にこほり噛む夜にことばは燃えてゆくのだらうね
有村桔梗 chattenoire_k
氷などではこの情熱はまったく収まらなくて、放たれることばはすべて燃えていく。 ことばの燃えかすが、舞っている。

佳作
カブ一把 百円で購いし夜の道 真空をメテオライトが射抜く
千星
「メテオライト」は隕石。この道にはカブの隕石が降る。

灰皿を満杯にした夜なのに天使は眠り月は満ちない
緋郷 @hiironisomaru
なにもかも満たされないのに灰だけ満ちる。

仁和寺の法師の鼎かぶる夜 こだまする声fホールの中
久保工務店 tomcat_com
つれづれなるままに鼎をかぶり、fホールの音響を聞く…鼎は抜けない。

飽きたのとつぶやいている夜の人金木犀を衣に添えて

福永昭子 ふくながあきこ@akikop
飽きてから、飽きられてからが勝負。

見なかったDVDを返す夜月のひとつも盗めないまま
芍薬 yuritanyogini
月は返さなくてもいいよ。

残業に珈琲一杯いれる夜の闇を継ぎ足す、青き山に灯
くらげただよう @tadayou_k
「青き山に灯」わからなかった。夜に闇を継ぎ足すとき、人の体の中にも闇が蓄えられる。

うずくまりもどした酒が澱む夜ひそかに揺れる水晶の海
矢野静思 @yanoseisi
吐いた酒を見て眠る。寝ゲロは息詰まるから気をつけてな。酒は澱むが水晶の海はより輝く。

カラーコーンを人と間違う夜、カラスが闇を喰い出てくる太陽
明日葉 @mikicellmi
八咫烏かな?カラーコーンが人になれば、人はカラーコーンになり、闇は光に、光は闇になる。

盗人が罠に堕ちたと想う夜 星降る街は目覚めはじめる
西鎮 @xi_zhen_ivUT
「想う」!盗人に対する感情が特殊。知り合いなのかな?

きつとあいつの泥酔嘔吐のやまぬ夜のしづくきらきらこぼれて葡萄
碧野みちる
吐いた端から葡萄になって転がって。いくら吐いてもいいんだぜ。

吸殻が消える瞬間(とき)待つ深夜2時 赤信号がひとり待つ朝
長月七生 @maria_yourhands
誰もいない交差点。吸殻の赤が消えても赤信号は消えない。

セックスをしようときみが誘う夜銀河を渡りゆく黒揚羽
朝野陽々 @asanoyoyo
「きみ」とわたしが互いの彼岸を越えられずに体をつなげている頃、黒揚羽は自らの黒を持って銀河をつなぐ。

資料持ちコピーの終わり待ちし夜ミルキーウェイが川面を揺らす
アダムス理恵 Orange
コピー紙ばらまいて地上に銀河作ろ。

くり返しくり返し来る夜夜のメロディーラインを鳴らして回る
小橋稜太 @ryota_kobashi_
ループする夜の中で永遠に回ろう。

物干しで月を叩けば夜が降り赤眼のバクの餌食となろう
まつたく @senbeiguy
黒眼のバクが食うのは夢。じゃあ赤眼のバクが食うのは?

子を寝かせ夫を寝かせ夜歩く 藤のトンネルくぐり氷河へ
文系講師マゴメ @XN1sm9p9cAsK8B1
子どもと夫には決してたどり着けない、特別な場所。

終電の倦怠(けだい)をうつす夜の窓 外を過ぎ逝(ゆ)く銀河鉄道
T・G・ヤンデルセン @TGyandersen
間違ってそれに乗ってたら…。銀河鉄道の窓からはどう見えてたんですかね。

路地裏に男寝る十月の夜ましろき乙女を照らす御光
やお @my801ana
とびっきりの黒と白。この夜はグレー。

行く場所がなくて途方にくれる夜 暗渠は堕ちた星の溜まり場
えんどうけいこ clematisilica
地上に場所がないならば、地下へと降りるしかなくて、暗渠に落ちて、星になる。

頬を染めて朝餉したたむる少年は夜抱き締めれば天空の星座
神盡 @shen2jin3
少年=星座ってことかなぁ。星座の少年は朝餉になに食べるんだろう。

明日の雨事前に知るも鬱々とする最悪の夜

丸本一輝
濡れてもそのうち乾くさ。

冤罪で刑が執行された夜、銀河を駆ける白いペガサス
澪那本気子 @mionamajiko
ペガサスは「不死」とか「名声」の象徴でもある。人は死んでも…。

タバコ捨て煙を睨む夜星を棺に詰めて過去へ送ろう
hs
過去へ送られた星はどうなるんだろう。星が生まれる前のガスになるのかな?

ネオンのみ瞬く嵐の前の夜の雲よたらふく星を喰らえよ
中村成志 nakam8
すべての星を喰らって、雲のみが瞬く。

がんばってもがんばってみても夜はあけずあがいてみてもしっこくのやみ
かずてる
こういう夜もあるよね。でもしっこくのやみをしってるひとはすげーんだよ。

擬音語の当てはまらない夜にいてフローライトの冷めた紫
野添まゆ子 @ku17ka31
擬音語の当てはまる夜ってあるのかな?

生活はカレーの残りを食べる夜あるいは窓からこぼれたひかり
もりもと
カレーはこぼさないように。光もすくって食おう。

昼という闇の終わりて夜は来て別種の闇がわれを襲えり
松木 秀
闇には幾つも種類がある。どれだけの人がそれを知っているのか。

すり減った革靴磨く深夜2時金剛の雪天界に満つ
佐復桂 @katsurajingzi
すり減ってても天界と同じ輝き。

あみだくじに横棒を足す真夜中にぶつかることをやめた彗星
近江瞬 @sun0690
案外こういう取るに足らないことが世界を動かしてたりするんすよ。

だらだらとただ降り続く雨の夜に紛れてどこかで花火が上がる
武富純一 @Takejun23
くだらない日常への反抗。花火、湿気んないのかな…

お互いに そっぽを向いて 眠る夜 音無く 楓の種 落ち続ける
アンドロイドモモ @2PLY150W
二人の不仲にも関係なく、楓は生きる。

たぶん、水没した町星月夜地上におちた光に光
伊藤佃 itoden0815
水没した町かどうか、確信が持てない。

あの街で車に跳ねられ飛ぶ夜に私の町と結ぶ満月

嶽野 鏡 @TakenoKagami
これ跳ねられてるの誰なんでしょうね。

キリストに群がる人を縫う夜の丘の麓にオフィスは燃える
松本未句 @mt3ku
「キリスト見に行く?」「あー残業あるから無理だわ」

タモリには見せたくないの今夜だけ郷(さと)発つシカの踊り念仏
鹿沢みる @miruiro111
ブラタモリで奈良だったの?

少年があくびしているこの夜に銀河へ向けて歩む人々
あひるだんさー @Jl9Szg7QZVpK8Uk
「あくびして空を見たらなんか空に大勢の人が見えたんだ。本当だって!」

ナニカイルそんな気がする夜去りて仄かな光神の領域
karoi
ナニカイルと思ったときは本当にナニカイルんですよ…

軒に揺る提灯なりや 夜市にて風に揺る月赫々とをり
Guardian @live_to_rhythm
提灯と月が重なり、光り出す。月が風に揺れるかは疑問。

大家氏にゐるすをつかふ夜の息に彼の湿原の銀の羽根散る
森尾みづな @moriomizuna
銀の羽根が落ちる音すら恐ろしい。家賃もうちょい待ってください。

コンビニがあってよかった夜きみが発光体を検知している
花房香枝 kae_89631
コンビニを知らない世界の人が見たらコンビニって謎の発光体だよね。

位置ゲーム 指し示す先 夜の道 月の明かりと空想世界
かんの @billion_hit
現代は現実とバーチャルが絡まり合って、もう引き剥がせない。体言止め多すぎなんで、接続詞入れた方がいいと思う。

パチンコ屋のネオン瞬く 夜色のタンザナイトにひかる水たまり
吉村奈美 404notF08169144
「タンザナイト」はすげーきれいな青い宝石。安っぽいパチンコ屋のネオンが水に光って最高級の宝石の色に変わる。「夜色のタンザナイト」ではなく「タンザナイトの色に」では。

信号は無視してもいい夜を吸う冷えて私と透明になれ

利己翔 kakeruuriko
共に見えない存在になって社会規範から解き放たれる。

酔ひどれて嘔吐の歌舞伎町の夜も小町は夢に人思ふらむ
小林賢太 @kentanka5
「小町」が町か、人か、判断にゆらぐ。歌舞伎町そのものが吐いてて、町が夢に人を思うという歌だとするとすげー面白い。

右肩が痛み眠れぬ夜に星を仰げば腫れるオリオンの肩
友常 甘酢 @azukicreamcup
やつは半永久的に蠍との死闘を宿命付けられている。

コンビニでコーヒーを買う冬の夜を無数の銀の蜜蜂がとぶ
佐藤真美
雪かな?あらゆるものの温度という蜜を奪っていく蜜蜂。コーヒーで暖まってくだされ。

ザ・たっちが幽体離脱を夜言えば双子の魂(たま)は黄泉の蜜蜂
枇杷陶子 @biwatoitoi
魂が蜜蜂ってことは女王魂がいる…

新宿の百人町で吐いた夜 蜂鳥のような君の歌声
青木俊介 @aokishunsuke
蜂鳥の鳴き声、初めて知った。百人町に歌声が響き渡る。

雑踏に突き飛ばされて夜をあふぐ月より月へかよふ夢路か
梶間和歌 ツイッターのことでしょうか? @WakaKajima です。
人の中で生きられぬなら、月で生きるしかない。

(左耳をさしあげましょう)星月夜 破線となって彷徨う詩人
枝豆みどり edamame_midori
ゴッホかなぁ。詩人と左耳の関係性。

自販機の並ぶ小部屋は夜に濡れ死にゆく人も私の側に
アライ・カエル @NadTLXIYGOkdAKc
死の間際を照らすのは自販機の煌々とした無機質な光。 最期の飲み物、コンポタでいい?

コンビニを探して車ではしる夜ヤンバルクイナは月に包まれる
ミウラ @natsumiuraok
「ヤンバルクイナ」は飛べない鳥。人はコンビニの光に、ヤンバルクイナは月の光に包まれる。

コンビニのつとめを終えて帰る夜のイエスの照らす千のろうそく
笛地静恵 mundburg
「イエスの灯す」か「イエスを照らす」では?コンビニ店員の受難。

渋滞の高速道路夜の月 非常階段降りれば二つ
雨鬼 @ameki___
月がひとつしかないなんて、ホントにそう思ってる?

一か月分のバイトで買う夜間飛行の粒のいつも星屑
須磨蛍 @garaketta
「夜間飛行の粒」わからなかった。サンテグジュペリかと思ったけど、違うのかな。

此方にて 飽かぬ恨みの 小夜更けど 彼方の空は 錦の綺羅星
鰻 真顔は眠そうな鰻さん(旧:読書狂い)
同じ空でも一様ではない。

母さんが恋に溺れてゐる夜にあたしは光る銀の舟に消ゆ
桐谷文子
子どもにはバレてないと思ってるけど、子どもはわかってんだよね。

もうベランダに洗濯物はない夜をありとあらゆる霊のパレード
御殿山みなみ Twitter @1ookat2
シーツだと思った?おばけでした!

マルボロの空き箱つぶす夜(よ)の隅に聖女が触れてきらめく深雪
星野珠青 @hsn_tmo
聖女はなんのために深雪に触れるのか。

空調の音がヴヴンと響く夜まぶた閉じれば深海遊泳
みその @mis0no
深海に響く音。そう、この部屋は深海。

施錠した家の並んだ無月には花冠で閉ざす天国の門
千仗千紘 @Chihiro_Senjyo
すべての家と天国の門が閉ざされたとき、開いているのは地獄の門だけ。

(蝶をおっていた)気がつけば夜、、くちのない女たち、わらふ月
樹 蓮(Twitterです)
口さけ女はあるけど、口のない女って珍しい。蝶は越境する蟲。気をつけなされ。

道端に殺された吸殻(ごみ)が眠る夜 橙色のいのちもやして
稲生 絵蓮
煙草の生と死が交錯する。

マツリカに誘われて舞う夜の底月面の庭素足の冷たさ
航 @books_tale
マツリカはジャスミン。夜の月は地球から見えない側。そこは一面の庭。

菓子折の底に金貨のひかる夜に地球は爆ぜる花火のやうに
新井蜜 @araimitsu
地球終了のお知らせ。

月影の絶えて菊香の満ちる宵 灯下に君の歌は生まるる
沙羅粗伊
月明かりもない真っ暗な夜。光っているのは灯火と君だけ。

会話の途切れた食卓の夜窓を横切る白い帆船に子供らの夢

沙羅粗伊
大人だって夢を語ろうぜ。

冷たい涙は友の為 銀河の駅にカンパネルラの影すき透る
沙羅粗伊
どこまでも一緒に行こうって行ったじゃないか!

君の唇を噛んでもいいかしら触っていいから暖房の渇いた空気
はるかちゃん
「触っていいかしら」かな?冬は唇カサカサになるよね。

夜と朝逆転しても君の手を離せない艶やかな髪
はるかちゃん
その手、なくさないように。「艶やかな髪」はもったいない。

何色を塗っても潰しにかかる夢雨が止んだら海に潜る
はるかちゃん
自分が夢を潰そうとしてるのか、夢が潰そうとしてるのか。

参議院議員選挙の夜のぼる列車にトキとニホンオオカミ
きくち病院
人間社会のまつりごととは関係なく、動物は絶滅していく。

扉を閉めて仏壇なおも薫る夜の空いちめんに珊瑚の卵
沼谷香澄 kjomikatano
線香の煙の粒子のように、珊瑚の卵がゆらゆらと登っていく。「珊瑚の卵」を歌ったのは珍しい。

あっかんべーしたがっている夜はいま渦巻く銀河に弾き出されて
のつちえこ @n0tsuchi
はじき出されたからあっかんべーしたがってるんすかね。疎外感。

花火次々飛び込んで夜の湖 見初めた魚のウロコが光る
深影コトハ cotoha_mikage
魚の視点?それとも人が魚に恋してんのかな?どっちの歌でも面白い。

君の背にミミズ刻んでゆく夜を昆虫食の宴はじまる
かろのうどんこ
SM?ミミズのタトゥーじゃないよね。

あたたかな寝床でごろり丑三つ夜 夜露香しあそぶ妖怪
あかやかん @aka_yakan
「夜露香し」わからなかった。夜露の匂いを嗅ぐのかな?夜に露香ということをするのかな?

パンプスを脱いで捨てたい雨の夜も神は宇宙の星を数える
真島朱火 @shuca_m
神さま、眠れないのかな?

カナリアの夢だ雨だね ああ夜だ 横断歩道の喧騒にひとり
まみー
雑踏の中の孤独。その全員が誰しも孤独。

雑記
無事一回目終わりました。全92首。いかがだったでしょうか。
個人的にはすげーたのしかった。みんな短歌すげーいいよ。

ひとこと評はこんな感じで行きたいと思います。
これはマッドマックスみたいな集団の本、『アウトロー俳句』の簡潔な評のオマージュとなっております。
評が短いから歌が悪いとかそういうものじゃないです。逆もしかり。

夜と幻想というキーワードのおかげで「銀河」が多かったすね。
「銀河」を思いついたとして、本当に銀河でいいのか。もっと面白いことばがあるのではないか。
もしくは銀河で行くとして、どう歌えば誰も歌わないものを作り出せるか。あたりは一考できるように思いました。

あと吐く歌な。
「夜」だからってどんだけみんな吐くの好きなんだよ。
それともおれは吐く歌を寄せてしまう体質なのか…?
いいのよ、どんどん吐く歌送ってくれても。
集めてるから、おれ。
嘔吐歌コレクター。
現実ではあんまり吐かない方がいいよ。身体は大切にな。

今回のお題は
【ろくでもない現実】夜【ありえない幻想】
という構造で、上句と下句が遠いけれど響きあうという歌を想定してみました。
構造自体は使い回しが効くものなので、他にも使えると思います。
発想自体は谷川俊太郎の「朝のリレー」ですね。
映画のマッチカットという技法のように、物とか、行動とかで切り替えるのも汎用性ありそうです。
どうです、作歌のテクニックのひとつに加えてみては。

この企画、やってみてわかったんですが、歌の構造をある程度指定するテーマ詠、題詠みたいなものなので、好き嫌い、得意不得意わかれるかもしれません。
なんにせよまだポテンシャルがわからないのでいろいろなパターンで数回は続けてみようと思います。

複数応募してくれた方もいて、今回は全部やりましたが、次からは最初に投稿された歌のみにします。ご了承ください。

次はこれ!テーマは「怒り」!11/1で締め切り近いけど!
https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLScVYfIEd6N39T64iFZJcqjWzYAAMtYwe4dFrvZR3b26xknY3g/viewform

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