まどマギと絶望したひとの祈り
※まどマギの物語の個人的な解釈によるネタバレがあります。あと、わりと記憶が曖昧なのでテキトーなことを書いています。なので、間違ったことを言っている可能性はおおいにあります。
また、この記事は「ある目的が達成できないことによって不安で苦痛に満ちた日々を送っているひと」に向けた記事です。
何かがこわくて、不安で、その問題を解決するためにはまたつらいことをしなければならない。
そういう負のループの中にいるひとたちがいる。
そのひとたちは、容易にはそのループから逃れられない。
まどマギのほむらのように。
完璧な未来のために頑張ろうとする。そして挫折をくりかえす。絶望的な挫折をなんどもくりかえす。
そうやっていくうちに心が死んでいく。
しかし、どうしてもあきらめきれない。どうしてもまどかを救いたい。自分がまどかに嫌われたとしても、まどかが助かるならそれでいい。理解されなくていい、とにかくまどかを救いたい。
最初はきっと不安な気持ちをなくすためにうごいていた。でも、いつしか目的達成のために不安を維持しつづけるようになる。
まどかは永久に救出されず、そして自分も永久に救われない。
いまのあなたは、自分がそんな世界線で生きていることに気づかなければならない。
僕たちの世界はどうだろう。目的が達成されないと世界が終わってしまうだろうか。
最近は戦争があり、おおくのひとが殺され、また、傷ついてもいる。政治的問題、戦争や経済に関しては部分的にはそうなのかもしれない。
でも、あなたの自我が要求する不安の埋め合わせのための目的が達成できなくても、世界はきっと終わらない。
そして、あなたはすぐには死なないし、どうせいつか死ぬ。それだけのことである。
問題はあなたがいまを生きられていないというところにある。
不安の埋め合わせのはずの行為が、不安を生む原因となっている。
「手段と目的の逆転」どころのはなしではなく、自ら不快に使い続けて不幸になりつづけている。
これではダメだ。いまのほむらにこの世界を救う力はない。
ほむらはまどかに救われた。まどかはこの世界を終わらせる問題のすべてを引き受けて、この世界から消えた。そして魔女と永久に戦いつづける道を選んだ。
自分の大切な人たちが幸せに生きていくことを望んで。
敵の全てを引き受けて宇宙の構造をも変えたことによって、その敵の全てはこの世界からいなくなりはした。
だが、自分の存在はみんなに忘れ去られ、そしてただひとりその敵たちと永久に戦いつづける。彼女はそれに納得してその道を選んだ。
あなたは、ほむらであり、まどかである。
いまのあなたはほむらであり、永久に救われない運命にある。
しかし、あなたはまどかによって救われる。
まどかがすべてを引き受けたから、ほむらは救われた。
まどかはほむらの抱えている問題のすべてを祈りによって引き受けて、戦いつづける。
そして、ほむらも、まどかのその意思を受け継いだ。ほむらは、ほむらだけはまどかのことを覚えていた。
そして、まどかの守りたかった世界を、魔獣と戦いつづけ守っていくことを選んだ。
ほむらはあなたの苦悩であり、まどかはその苦悩を引き受ける神である。
まどか☆マギカとは、あなたの世界そのものである。
抱えている解決しない問題のすべてを、あなた自身で引き受ける。ほむらを認めてやる。これまでいくつもの世界線でまどかを思い続けてきたことを認めてやる。私のことを思ってくれてありがとう。気づいてあげられなくてごめんね。そして、その苦悩をすべて引き受けるんだ。
そしてほむらは、まどかのことを覚えている。
我々が生きている限り、問題は消えない。身体は痛みを感じる呪いであり、他人や社会、この世界は自分に痛みを与える存在にもなりうる。
ほむらはそんな世界を、まどかの記憶と共に生きていく。
彼女の守りたかった世界を守っていく。
まどかは神になった。
ほむらは神ではない。
しかし、ほむらは神の意志を受け継いでいく。
あなたはまどかがいたことを決して忘れてはならない。
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不安になったら、祈りを思い出してほしい。
良き身体感覚を思い出してほしい。
不安であることを認めてほしい。ほむらに「つらかったね」と声をかけてあげてほしい。その時、ほむらは泣き叫んでいいんだ。
ほむらはひとりではない。あなたはひとりではない。あなたのなかにはいつだってまどかがいる。
他の人は誰もまどかのことを覚えていないけど、あなただけは覚えている。あなたの中のまどかを理解できるのは、あなたの中のほむらだけである。
他人は、誰もあなたのまどかをしらない。あなたのほむらが、世界の神になったまどかを、この世界を救おうとした優しいまどかを覚えていてあげるしかないんだ。
すぐには辿り着けないかもしれない。
でも、きっといつかまどかがこの世界を変えてくれる日が来る。ほむらの絶望にも終わりが来る。
敵がいなくなることは死ぬまでないかもしれないけど、それでも納得して戦いつづけることができるはずだ。
まどかの守りたかった世界を、ほむら、お前が守るんだ。
そうやって納得して生きていこう。
そうやって納得して生きていくために、いくつもの魔女と戦っていこう。
あなたは祈ればいつだって、この世界のすべてをまどかがすべてを引き受けてくれる。
そしてまた新たな世界で新たな問題を抱えて生きていくんだ。その度に神になったまどかの記憶を思い出しながら。
だから、祈ってほしい。
目を瞑って、自分の身体の感覚と、五感の捉えるものを認めてあげてほしい。
ただただ、ほむらの話を聞いてあげてほしい。
苦しみをそのまま苦しいと認めて泣いてほしい。
それをやりつづけていった先に、きっと納得のいく地獄が見つかるはずなんだ。
例えその世界でのほむらの人生がどんな結末になろうとも、きっと納得して死んでいけるはずなんだ。
そのために僕は祈っている。僕の中のまどかは、自分の世界線のほむらが救われることを願っている。そして、違う世界線のほむらが救われることを願ってしまう。
ぜんぶおなじなんだ。干渉した時点で、それは僕の世界になる。だから、僕がまどかである時、それを望んでしまう。
僕はいつだって自分が救われるために祈っている。
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