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緊急事態宣言, 特別措置法, コロナウイルス

高橋ダンのダイアリー
令和2年3月17日

今週の本会議

令和2年3月13日に本会議が参議院で開会され、インターネット中継で視聴しました。本会議の中で最も印象に残った部分について自らの所見を述べたいと思います。

第一に、新型インフルエンザ等対策特別措置法の一部を改正する法案に対して、内閣委員会から審査の経過、及び結果の報告がありました。この法案が内閣から提出され、衆議院から参議院に送付されました。 新型コロナウイルスの発生の拡大を踏まえて、新型コロナウイルスを新型インフルエンザ等対策特別措置法の対象とするための改正が可決した、と発表しました。政令で定められる期間、新型インフルエンザ等の内容及び効果、緊急事態宣言の要件、新たな感染に対応するための法整備の必要性、などの話題が質疑で討論された、と述べました。委員会審査で採決が行われ、共産党は反対しましたが、与野党の賛成多数で可決した、と説明しました。

第二に、森法務大臣 に対しての発言が、共産党の山添拓先生からありました。東日本大震災のときに ”検察官は最初に逃げた” と森法務大臣が発言したことに対して、 森法務大臣の謝罪ではすまない、と述べました。さらに、検察長官任期延長の法律解釈を撤回してほしい、と提言しました。

第三に、 新型インフルエンザ等対策特別措置法改正に対して反対の討論が共産党の山添拓先生からありました。新型コロナウイルスの適切な対応に基づき、財源を確保して、感染拡大を防ぎ、検査体制と医療体制を一層充実させることが政治家の責任、と仰いました。特別措置法の最大の問題は、緊急事態宣言の元で行政に権力を集中させ、広範囲な権利制限が可能となること、と説明しました。多くの人々が利用する施設、土地や建物、食料や資源、などの制限や停止を同意なく使用することが可能となる、と警告しました。憲法が保証する経済活動の自由、移動の自由、集会の自由、表現の自由、などの基本的人権を制約し、暮らしと経済に重大な影響があります、と述べました。緊急事態を理由に国家の都合が優先され、個人の権利が軽んじられてしまう可能性もある、との発言もありました。確かに特別措置法には、自由と権利の制限は必要最小限度のものでなければならない規定がありますが、2012年に特別措置法の附帯決議で "法改正後3年をめどに権利救済の制度を検討" する文言が盛り込まれて、今日に至るまでその検討は一切行われていません、と説明しました。緊急事態宣言の法律は歯止めが極めて曖昧で、発動要件や解除が不明確で国会の承認を求める必要はなく、期限は2年ですが1年延長も国会承認なしでできる、と警告しました。

第四に、この本会議を視聴して私の意見を述べたいと思います。確かに新型コロナウイルスは緊急性を要する国際的な問題です。日本だけではなく、アメリカ、欧州、アジアの各国で政府は、緊急法律制度を成立させています。新型コロナウイルスは、過去20年間の他のウイルスと比べて伝染力が強く、ワクチンはまだ開発されてなく、検査テストもまだ非公式なところもあるかもしれません。国会が国民の安全を保証するために極端な行動を取る義務もあるかもしれません。しかし、この特別措置法改正の指定は短期間で決定されたため、曖昧な部分や不明確な部分もまだ残っている可能性は小さくないと思います。"特に緊急の必要がありやむを得ない場合を除き、国会へ事前に報告する"、と "緊急事態宣言は多方面から専門的な知見に基づき慎重に判断する"の2つが附帯決議に盛り込まれたようですが、この2つの附帯決議は法的拘束力がありません。これほどまでに早い成立となったのは、国民の安全をできるだけ早く保証するためかもしれませんが、成立するまでに十分な議論ができていたかどうかを判断するのは難しいのではないかと思います。

高橋ダン


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