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子育て日記 「鍵」

今日も会社で仕事。そろそろ帰る支度でもはじめようかな、と思っていたところに妻からLINEがきた。娘が家の鍵を忘れてしまったため、締め出されているらしい。

娘は小学校の先生に相談して、放課後は小学校で遊んだあと、図書館に移動して本を読んで待つことにしたという。そんな内容の電話が先生から妻にきたそうだが、妻も仕事中ですぐには帰れないから、私が急いで帰ることになった。

急ぐとはいっても、家まで電車で片道1時間くらいかかる。とりあえず駅まで10分くらい走って、普段より1本早い電車に乗るくらいしかできなかった。まぁ、娘も小学4年生なので、さほど心配することはない。鍵を忘れたやつが悪いんだ。

図書館に着いたのは18時過ぎ。今日は図書館が遅くまで開いてる日でよかった。17時に締まる日だったらどうしたんだろう。そんなことを思いながら児童書コーナーを探す。いた。奥の方の机で本を読んでいた。

「何読んでるの?」と聞くと、娘は顔をあげて私を見る。特に驚いた様子もなく、本を見せてくれた。『成長するハリー・ポッター』というタイトルが目に入る。なんだそれ。どこから見つけてきたんだ。

昨年の夏休み、暇だ暇だとうるさい娘にハリー・ポッター全巻渡して放っておいたら、相当面白かったらしく、一気に全部読んでいた。2周目も読み終わって、夏休みが終わるころには3周目のなかばに差しかかっていた。そんな何度も読んで面白いのか? よく分からないけれど、それ以来、娘はハリー・ポッターが大好きになっていた。だから、図書館でもわざわざハリー・ポッターの本を探したのだろう。

「検索機とか使ったの?」と聞くと、使ってない、と。適当に座った席の近くで本を探していたら、たまたま見つけたとのこと。引きが強いというか、運命のめぐりあわせみたいなやつだろうか。まぁ、面白そうな本があってよかったね。

「まだ読み途中でしょ、借りていこうか?」「でも図書カード持ってきてない」「僕は持ってるから大丈夫だよ」
貸出機で本を借りて帰ることにした。

「今日は図書館が遅くまで開いてる日でよかったね」「もし図書館がしまってたら、塾の自習室に行くつもりだったから大丈夫だよ」
ああそうか、塾ならいつでも開いてるな。それは気付かなかったけど、安心だな。塾に通っててよかった。

「なんで鍵を忘れたの?」
家の鍵はランドセルにつけてあるから、普段は忘れようがないのだけれど。
「いつもはランドセルにつけっぱなしだけど、昨日は給食がなかったから、お昼をセブンに買いに行くとき鍵を外して、戻し忘れてたんだ」「ああ、それは残念だったね」

「小学校ではたくさん遊べた?」
いつも家で本ばかり読んで引きこもっているので、全然運動しないし、友達も少ないんじゃないかと心配しているから、ちょっと聞いてみた。
「お絵描きしたり本読んだりしたよ」「いつもと変わらないじゃん、外で遊んだりしないの?」「大縄もしたよ」
外でも遊んだんだ。意外だった。それは良かった。友達と外遊びできたなら、鍵を忘れた甲斐があったというものだ。
「へぇ珍しいね」「郵便屋さんとかやったよ」「ああ、大縄を下でぶらぶらしながらちょっと跳ぶやつ?」「後半はちゃんと縄を回して飛ぶんだよ、私は26枚跳べた」「それはよかったね」

家に帰ったら、まっすぐ机に向かって塾の宿題を始めた。本当は昼から2時間くらいかけてやるはずの量が待っている。いつもならいやだいやだと駄々をこねるところだけど、今日は自分が家の鍵を忘れたという反省があるのか、だまって黙々と取り組み始めた。ちゃんと反省してるんだな、えらいなぁと思った。

私は、そんな娘の目の前でプロセカ(スマホの音ゲー)をはじめた。携帯恋話MASTERフルコンできた。やった!

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