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業界インタビュー ゴム素材メーカーの仕事

身近で働いている人がどんな仕事をしているのか、どんな課題を抱えているのか、といった話を蓄積していく業界インタビュー企画。今回はゴム素材メーカーの仕事について紹介します。過去のインタビュー記事は以下のリンクをご参照ください。

ゴム素材はどこで使われているの?

主に車の中、エンジンの部品として使われています。ハンドル操作を優しくするパワーステアリングや、エアコンを動かすとき、ハイブリッド車の発電部分など、エンジンの力を利用するための伝動ベルトに使われています。

他にも工場の中のコンベアベルトや、ATMの中の紙幣搬送ベルト、プリンタ内の用紙搬送ベルトなど、物を運ぶ部分でも使われています。

しかし、これからの時代、電気自動車が増えてくると、エンジンが不要となりゴムベルトも需要がなくなってしまうと考えられます。IT化で紙の使用も減っており、駅の自動改札における切符の需要低減のように、どんどんベルトが使われなくなっているのが現状です。

アマゾンの倉庫自動化のように、工場の中で物を運ぶ需要が増えて伸びている分野もありますが、これからも会社が発展していくためには、新しい用途を開拓するための新規事業が重要と考えてます。

どんな新規事業を考えていますか?

たとえば導電性ゴムを使ったウェアラブルセンサーや、免振ゴムを使った耐震建築なんかを検討したことがあります。

ゴム以外にも素材技術があるので、ヘルスケア機器や銀ナノ粒子塗装などいろいろ挑戦しています。

銀は熱伝導性がいいですが、熱を反射しやすい性質もあるので遮熱性にも優れています。これを使って熱マネジメントができたら面白いのではないかと考えています。他にも電磁波減衰などに効果があります。

どんな課題に悩んでいますか?

医療機器はとにかくハードルが高い。製造認可を得る必要があって新規に参入するのは難しいので、既に認可を持っている会社に協力してもらう必要があります。

自動車関連も、品質基準が厳しいです。自動車メーカーは人の命を預かっていることもあり、品質管理がものすごく厳しくなっています。

また、社内がずっとそうした体制で開発してきたので、新規事業に対しても厳しい品質管理を要求してしまいます。

ものづくりメーカーではなく部品メーカーなので、完成品の提案がしづらいのも課題です。素材だけでできることは限られているし、利益も乗せづらいです。

ゴムを使ったストレッチャブルセンサーを開発して、これで人の呼吸や心拍数を測定できます、といっても、カメラで画像解析すればそれくらい分かる時代になっていて、素材の良さを活かすのが難しくなっています。

新規事業あるある

他にも、経営陣が売り上げ目標ばかり高く設定して、数年以内に100億円をめざそうと言ったり、社内は既存事業重視でなかなか新規事業のために動いてくれなかったり、社外との連携の経験がないのでどうやってオープンイノベーションなど進めていけばいいか分からないなど、いろいろ悩んでいるようでした。

インタビューではだいぶ具体的に話を聞いて議論したのですが、匿名化したらこんな感じになってしまいました。

素材屋さんの新規事業は、やはり難しいです。頑張っていきましょう。

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