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業界インタビュー 清掃員の仕事

身近で働いている人がどんな仕事をしているのか、どんな課題を抱えているのか、といった話を蓄積していく業界インタビュー企画。今回は清掃員の仕事について紹介します。

清掃員って何?

オフィスビルや商業施設などを掃除する人です。主な仕事はトイレ掃除、床の掃除機/モップがけ、ゴミの回収/分別など。他にも灰皿の水をとりかえたり、備品(トイレットペーパーなど)の補充をしたり、消火器に積もったほこりとりとか、やるべきことは非常に細かくたくさん決められています。

そういった日常清掃の他に、月数回の定期清掃もあります。床にワックスかけるとか、ポリッシャーで磨くとか、窓ガラスを拭くとか。

朝は6時とか7時に始まることが多いですが、パートさんなら3時間くらい。正社員でも残業なしで16時くらいには終わります。朝のトイレ掃除が一番人手が必要で、残りは大したことない。午後は暇な時間も多いとか。

清掃員のいいところ

誰でもできる、ゆるい仕事。立ち仕事でビル内をたくさん歩き回りますが、基本的に60歳くらいのおじいちゃんおばあちゃんができる仕事なので、それほどキツいことはない。毎日ルーティンで同じことを繰り返すので、覚えることは多いけれどすぐに身体が慣れます。

床とトイレがあれば仕事があるので求人は多く、就職先がなくて困っている人におすすめ。毎日同じことの繰り返しなので、向上心が必要なく、刺激を求めない人におすすめ。キャリアアップなどないので稼ぎたい人には向かないけれど、適当につらくない方法で稼いで生きていくだけなら十分。

コミュニケーション取りたくない人にもおすすめだとか。残業もなく、シフトも厳しくない。有休も申請すれば好きに取れる。属人性がないので、誰か一人欠けて困ることもない。

朝きちんと起きることは大変かもしれないが、毎日のことなので身体が朝型になって、生活リズムが整うからむしろ良いとのこと。

清掃員の大変なところ

現場責任者が仕事熱心な場合、やるべき内容が増えて忙しくなるかもしれない。それは現場によって当たりはずれがある。つらいときは場所を変えてもらいましょう。逆に緩いところであれば、ずっと働き続けることもできます。12年以上ずっと同じ場所で清掃しているおじいちゃんもいるらしい。

現場責任者は、病欠などで空いたシフトを埋めるために働く必要があり、不定期で忙しくなりがち。また、朝だけ3時間といった労働条件も極端なので、なかなか人が集まらず人手不足になりがちらしい。シフト調整に悩まされる責任者にはならないよう気をつけましょう。

最近はコロナの影響で、医療関係の清掃が忙しいかもしれません。募集要項に「残業あり」と書いてある場合は警戒しましょう。残業なしの仕事を探しましょう。

ホテルの清掃は、ベッドメイキングとか一部屋ごとにいくら、といった給与体系なので大変かもしれません。ベトナムの教育学校から来た外国人が多い印象だそうです。

マンション管理人とか家事代行のように、一般人を相手にするタイプの清掃員は人間関係が大変そうなので、なるべく裕福な企業の清掃に入りましょう。裕福な会社は基本的にきれいです。きれいを保つのが清掃員の仕事なので、巷で想像されるような3K(きつい・汚い・危険)仕事ではありません。60代でも安心して働ける内容です。

清掃員でもっと稼ぎたい場合

働く時間を伸ばせば給料は増えます。17~20時の夕勤もやったり、他の人の穴埋めをしたり。5人仕事を4人でやれば、その分給料が増えるそうです。働きすぎて残業時間がすごいことになって労基署に怒られる人もいるらしい。

また、商業施設などではゲロが落ちていることがあり、それを掃除すると手当がつくそうです。ゲロを見ると、やったーお小遣いゲット!という気持ちになれるそうです。男性がそういう汚れ掃除をやる傾向にあるそうです。やりたくない人は学校やオフィス清掃など、ゲロの少ない場所を狙いましょう。

ゲロ以外に、人糞処理の手当てもあるそうです。トイレ以外の場所で人糞が落ちていることもあるんですね。怖いですね。

清掃業界は今後どうなの?

コロナでオフィステナントが撤退したりして確かに清掃は減ったけど、共用部の消毒とか新しい仕事が増えたりして、会社としては利益が増えている。テナントが減っても、不動産つぶれるまでは仕事ある。トイレと床がある限り掃除はなくならないので安心です。むしろ掃除の仕事がなくなったら社会として相当ヤバい状態だと思います。

床掃除はルンバとかで代用もできるけど、全ての掃除を機械化するのは現実的ではなく、人がやった方が細かい対応ができるので、清掃員の仕事はなくなりません。

清掃の仕事にあこがれてやってきた人とかいないし、みんなのんびりしているので、そういう雰囲気が好きな人が淡々と毎日働くのがちょうどいいと思います。

清掃員からの大切なお願い

トイレでトイレットペーパーが三角に折ってあることあるじゃないですか。あれは清掃員が掃除を完了したことの目印としてつけているので、一般の皆さんは真似しないでください。

たくさん掃除していると、どこを回ったか忘れちゃうことがあるので確認のためにトイレットペーパーを折っています。また、トイレットペーパーが折ってあれば、前日から誰も使っていないということで掃除を省略する、などの判断にも使います。トイレを使った人がペーパーを三角に折ると清掃員が困るのでマジ止めてください。

おまけ:面白かった清掃エピソード

清掃員ってオフィス内にまで入ってくるのでセキュリティ的に大丈夫かな、と思うことがあるのですが、やはりトラブルになることもあるそうです。

出版社のゴミ箱の中から未公開原稿を持ち帰ってしまったとか、オフィスに置いてあった財布をパクってしまったとか。そういう問題が発生すると、清掃員は2人1組になってお互いを監視しながら掃除する、などの対策を取る必要が出てくるようです。人手不足なのに大変ですね。

カトリック教会の掃除をしていたときは、ミサ用のワインやろうそくを補充するとか、銅像のはげ頭を毎日拭き掃除するなど、オフィスとは違う掃除項目が増えて面白かったそうです。

オフィスでも毎日掃除をしていると、この壁には必ず鼻くそがついているとか、ここにトイレットペーパーを置くと鼻くそつけられるから注意とか、そういう人間の生態が見えてくるそうです。確かに、このゴミ箱だけやけにエナジードリンク缶が捨てられててヤバそう、みたいなのありますよね。

そんな感じで、意外と汚くもキツくもない清掃員を、皆さんの就職先の一つとして考えてみてはいかがでしょうか。

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