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【のーがたのーと】自慢のバナナを届ける老舗・井上青果/「井上青果」井上幹子さん

JR直方駅から徒歩7分。殿町商店街にある、果物を専門に取り扱う創業約40年の老舗、井上青果。

歴史を感じるお店の佇まい、ご高齢でも元気で明るい井上さんに迎えられ、取材がスタートしました。


果物や加工品などが並ぶ「井上青果」の店先


自慢のバナナってどんなもの?

こちらのお店は『青果店』ということで果物専門。野菜の取り扱いは基本ないが、たまに他の方が持ってきたものだけ販売するのだそう。          

井上さんの一押し商品は、なんといっても完熟のバナナ。

お店には食べごろの自慢のバナナが並ぶ

バナナといえば、今やどこのスーパーにもあるお馴染みの果物。筆者も好きでよく購入して食べています。黄色くて甘いバナナですが、熟れるまでは青色をしていることはおなじみ。

井上青果では、そんな青色のバナナが、たくさんついた房のまま、枝についたままの状態で仕入れ、自分たちでカットし、貯蔵庫にて熟成させ、手間暇かけて販売されています。

以前は、地下に室(空洞の部屋)を作り、その中に青いバナナをいれ、1週間くらい置いて渋みを取って、カットして、色が少しついて、ようやく販売。バナナの上には氷を置いたり、ガスを入れたり…と、とにかく手間暇をかけていたそうです。

「当時のままの方法では手がかかるし、お金がかかるから、今は簡単な方法でね。地下を掘るとこももうないけんね。今は倉庫にバナナの入る部屋を作って中にいれよるよ。」

現在は、長い棒に房の状態で入荷していたバナナはカットされて運ばれています。地下室に降りて、人手がいる作業も無くなりました。

少しずつ方法を変えながらも、昔から変わらず、美味しい状態まで熟成させたうえでバナナを販売している井上青果。

こだわって選別した果物は贈り物やお供え物としても人気があり、カゴや箱に果物を飾り立てて用意していただけます。贈り物に悩んだ際は相談してみるのも一つの手かもしれません。


創業45年の老舗

井上青果の創業は井上さんのお義父さんの代。ご主人が2代目、そして現在は井上さんのお子さんが3代目としてお店を経営しています。

この殿町支店は、開店当時から井上さんがお店に立っていました。炭鉱として栄えた町でお客さんはとても多く、支店も出してみようという話になったことがきっかけでした。始めた頃は、まだアーケードも未完成。お店の前で工事もあってたんだとか。

「私のところね、卸が専門なんよ。だから今は小倉の中央市場の市場に毎朝仕入れに行っています。」

毎日早朝に仕入れに行っている自信のある果物たち。

お客さんは、昔から知っている方が中心。主に通りがかりの方が立ち寄るお店、やはり通るのは若い人よりも知った70過ぎた、80や90くらいの方がほとんどなのだそう。

「昔はもう離合できんくらい人が通りよったとけどね。今はもう人が少ないからね。」

「通りがかりとか、知ったお客さんに来てもらいよるですね。わりと年寄り、70過ぎた人が来てくれよる。昔はこんなもんやない、まーだ人が通りよったけど、今はもう人が少ないからね。」

お店のこれまでの歴史を語ってくれた井上さん


自慢の品物・自信のある品物を、お客さんへ

昔はお店の方同士の交流も多かったが、通りのシャッターが一つ閉まるにつれ、集まりも減っていきました。

「手前はパチンコ屋さん、隣は眼鏡屋さん、次が仏壇屋さん、次が布団屋さん、次が衣類かなんか売ってたね…」

スーパーもなかった頃。この商店街で全ての買い物が済んでいて、みんな顔見知りでした。

「昔は組合で新年会とか忘年会とかしよったし、神社でも集まりがありよったけど、あんなのも全部なくなってしまって。だから交流も少ないよね、元気にやっとる人がみんな亡くなって、子供さんたちも跡継げんから、あんなして空いていくけんね…」

それでも昔から来てくださるお客さんが多くいらっしゃいます。

「一つは、品物を信用してくれとるけん。自分の自信のあるものしか売らんやろ?そいき、割と長続く人もおんしゃるよね。生きとる間はね、来とらっしゃる人が多いよ。」

繋がりを大切に、だからこそしっかりした、いい品物を、自分の自信のある品物をお客さんに届けることを大切にされています。

人との縁を大切に、これからも元気に

お店をする中で嬉しさを感じるのは、人と話すること。

「話をすることがいちばんの楽しみやね。やっぱこうしてきてくれて、話してお茶飲んだりしながら話されるちいうことは、いいねえと思う。お店なかったらこういう交流ないもんね。家の中じーっとおってもいいことないが。」

やけん、なるだけ元気で。お店をこのまま出来る限り続けたい。
何か新しいことを挑戦するんじゃなく、お客さんに信用してもらって、買い物に来てもらうだけでいい。
高齢でも、自分の代、最後までお店をやりたい。
そうやってこれからもお店を営んでいく。

そう笑顔で語る井上さんは、とても素敵だと感じました。                               

お店のイチオシは自慢のバナナ。

毎月5日に開催される直方商店街の行事『五日市』では、バナナはもちろん、その時その時のおすすめをお安く売り出しています。

五日市では「五日市バナナ」として特別価格で販売

まずは毎月5日からでも、自慢の果物を買いに行ってみませんか。


店舗情報

『井上青果』
営業 :10:00〜18:00
住所 :福岡県直方市殿町2ー9
JR直方駅より徒歩7分
定休日 :日曜日
電話 :0949-22-5609
駐車場 :無 近隣のパーキングを利用


・取材者:田中希一
・取材・文・編集:田中裕祐(担当)、田中希一、首藤颯希、西村歩
・撮影:西村歩

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