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【ポエム】VRChatを5年プレイするとドッシリとする。

だん(@danmain0101)です。VRChatをやってます。

VRChatをプレイしていると、節目に振り返りたくなります。ここ数年忙しくて振り返ることすらままならなかったのですが、2023年の年末ということもあり、ようやく振り返る機会を得たので振り返ろうと思います。たまに画像を入れてます。ポエムです。

前回振り返ったのは2020年でした。前回の振り返りはこちら。
VRChatをやって大学を卒業したら悪い引きこもりから良い引きこもりになった話。

※VRChatで某老舗の朝カフェイベントを運営していますが、ここでの発言はすべて私自身の物です。


1. 本記事を理解するための大前提

VRChatの遊び方は千差万別で、人によって見え方が違っているのは当然です。例えば、交流、イベント、アバター改変、3Dモデリング、ワールド作成、ライブ…など。

本記事を書いている私は上記の交流、イベントに偏っているので、そのような遊び方をしている方が参考になればと思います。

特に自分のプレイスタイルは「個々を尊重した交流」であるため、今どんな層の人がVRChatをプレイしているのかが肌で感じられます。その感想を書いているのがこの記事です。

またできるだけデータに基づいて考えられることを書いたりしますが、学術的に認められていることを書いているわけではありませんのでご了承ください。でも根拠は示すつもりです。一応、大学院前期課程は卒業しました。私の現実の夢は博士課程に行くことです。

2. マクロ視点で考えるとVRChatはとっくに安定期だったよ

ハイプ・サイクル という図があります。wikipediaの説明を引用すると、「特定の技術の成熟度、採用度、社会への適用度を示す図である。」とあり、技術がどれだけ世間へしたか浸透を表す図です。黎明期→流行期→幻滅期→回復期→安定期 の5段階にわけられていて、新しい技術が線形に浸透していくわけではないことを示しています。特徴的なのが流行期から幻滅期があることです。一度技術のバブルみたいな現象が起こり、バブルがはじけます。そのコンテンツが生き残れば、バブルほどではありませんが安定してそのコンテンツの話題が上がるように思います。例えば、ビットコインがわかりやすいです。ビットコインは2017年頃にバブルがありましたが、バブルがはじけましたが今でも認知されています。

VRChat自体はソーシャルVRプラットフォームというくくりですが、旧Facebook社がMeta社に名前を変更する時期に、仮想空間のことを"メタバース"というようになりました。世間から見るとVRChatはメタバースの一つであるという認識のようです。

私はVRChatを5年続けてますが、一人のユーザーとして今後も続くんでしょうか?という疑問があったりします。一般的なコンテンツとして、危険な時期が上記のハイプ・サイクルにおける流行期から幻滅期です。これを乗り越えられないとサ終(*1)を迎えるでしょう。

無我夢中でVRChatをプレイしていたので、流行期から幻滅期を乗り越えたかどうかを確かめるのが最近になってしまいましたが、結論からいうとVRChatは2018年には幻滅期をとっくに乗り越えていて、2023年現在では安定期のようです…。

ここで、VRChatのAPI情報を記録している「VRChat API Metrics」の過去から現在までのオンラインプレイヤー数の推移を見てみます。
※noteだと、見えにくくなってしまったので拡大を推奨します。

図1: VRChatの2017年初旬から2023年末におけるオンラインプレイヤー数の推移。縦軸はオンラインプレイヤー数。横軸は年月です。

注目してほしいのは左側の2017年12月~2018月4月の山なりになっているところです。おそらくそこで、いったんVRChatの流行が起こったことがわかります。しかし、オンライン数は減少してしまいます。幻滅期です。しばらく、横ばいでしたが、2020年3月頃に某ウイルスが流行(*2)して、特に日本では外出を控えることを余儀なくされます。またMeta Quest2発売日が2020年10月13日ですので、それがVRChatの人口が増えることへの後押しとなっています。その後、長期的に極端なオンラインプレイヤー数の減少はなく、2022年初旬頃から横ばいです。

このことから、幻滅期によるVRChatのサ終はなさそうです。しかし、ハイプ・サイクルは安定期以降のことは述べられていません。これ以上の予測はできないので、VRChatが続くよう祈りを捧げましょう。VRChat Plusはいいぞ。

3. キャズム理論における溝は超えた

マーケティング用語の中にキャズム理論というのがあります。購買層を次のように分類します。

・イノベーター(innovators)
新しい技術が好きで、実用性よりも新技術が好きな人。オタク。
アーリー・アドプター (early adopters)
新しい技術によって、競合相手などを出し抜きたいと思っている人々。
アーリー・マジョリティー (early majority)
実用主義で役立つなら新しい技術でも取り入れたいと思っている人など。
レート・マジョリティー (late majority)
新しい技術は苦手だがみんなが使っているなら自分も使わなければと思う人たち。
ラガード (laggards)
新しい技術を嫌い、最後まで取り入れない人々。

wikipedia: テクノロジー採用ライフサイクル

イノベーターになればなるほど、新しい技術を好む人たちです。流行は気にしません。アーリー・マジョリティーは実用化のために新しい技術を受け入れる人で、人口的には一番多いです。ラガードになればなるほど、技術に対して苦手意識を持ちます。これらは時間経過に対する人口の増え方は正規分布(*3)になるようです。図2を参照にしてください。

購買者の分類を理解したところで、アーリー・アドプターとアーリー・マジョリティーの間には大きな溝があり、その溝を乗り越えられなければ普及しないというのがキャズム理論です。

図2: 購買層は時間をかけて増えるが、アーリー・アドプターとアーリー・マジョリティーの間にキャズムと呼ばれる溝があり、超えられるかが重要である。

わかりやすい例でいうと、パソコン、初音ミクだと思います。
私はWindows98ぐらいから使っていましたが、周りにパソコンを使っている人はほとんど見ませんでした。小学生の頃の私が、先生にパソコンを教えるぐらいだったのを覚えています。また世間的にもパソコンを使うのは悪い意味でのオタクの傾向があったように思います。しかし、今はパソコンを使えなければ仕事ができないこともあり、普及しています。
また初音ミクも炉心融解(*4)ぐらいのときから知っていますが、ニコニコ動画もオタクって感じで周囲には見ていることを全然言っていませんでした。でも今では千本桜(*5)が有名になりましたよね。

では、VRChatではというと、Early adopter Badge(アーリーアドプターバッジ)がみんなについていたのに、最近始めたプレイヤーにはつかなくなっています。

図3: 矢印の子。VRCATという名前。にゃんこ。

私は2018年3月から開始してブランクなくプレイしているので、このバッジがつくのも納得です。しかし、ここ最近のプレイヤーには付与されていない傾向です。付与される条件はVRChat運営以外は知る由がないと思いますが、もしもうこのバッジがつかないとなると、VRChat運営はアーリー・アドプターの人口推移からアーリー・マジョリティーに移行したと判断したとなるでしょう。つまり、キャズム理論における大きな溝を乗り越えたと考えられるのです。

キャズム理論の大きな溝を乗り越えたからなんだ?という話ですが、サ終コンテンツが多いこのご時世にVRChatは乗り越えられたということです。ユーザーとして今後も継続してプレイできるということが示されます。でも無料じゃやっぱダメ。VRChat Plusはいいぞ。

4. 尖った人から丸みを感じる人たちが来た気がする

上記では、統計データやVRChat運営が判断するマクロ視点でした。ここからは一人のプレイヤーとしての私の所感です。

以前は尖った人が多かった印象ですが、性格的に丸みを感じる人たちが増えた気がします。

技術的に何ができるか試す人、3Dモデルを作る人、イベントを立ち上げる人…など、失敗を恐れず何かに挑戦する人が私の周りを囲んでいました。ただ、かなり強引さもあり、組織化からの崩壊が結構目立ちました。協調性にはかなりかけてた印象で、私もかなり苦労しました。しかし、それぞれ個人の能力は極端に高かったです。アバター制作などを例にすると、手探りから形にするまでのスパンが異常に早いのです。私は挫折しました。

早い話、趣味に本気になる人が多いです。私はそれには大賛成なのですが、他人にまでその価値観を押し付けようとするところも悪目立ちしました。ただ、作品の完成度は私なんかでは到達できないぐらいには高いですので、VRChat界隈では知名度は高くなる傾向にあります。

ただ、勘違いしないでください。黎明期の人だって素敵な性格をお持ちの方だっています。上記はあくまで私の偏見もあることを理解したうえで、この記事を読んでいただければと思います。

私がVRChatをプレイし始めて5年。なんだか肌感として、関わる人の性格が柔らかいな?と感じます。コンテンツを消費するイメージで、そのコンテンツに対して最大限尊重するような方が多いです。代わりにVRChatでのポジションが減っているためもあって、作品の自己完結となってしまい新しいコンテンツが生まれにくくなっているようにも思います。もちろん、世間に広めようとトライしても、全然期待通りにいかないこともしばしばあり、以前よりも運要素が強くなっています。

何度も言いますが、これは肌感、そして偏見の塊です。絶対鵜呑みにはしないでほしいのですが、フレンドが2000人いる私の経験を一つひとつたどっていくと、そんな経験をしてきたことを振り返ることができます。

4. 5年もVRChatをプレイするとプレイスタイルが確立する

皆さん、好きなことや得意なことは何ですか?

なんか面接みたいで私はこの聞き方が好きではありませんが、さすがに5年もVRChatをプレイするとわかるようになります。そして、好きなこと、得意なことがわかるとそれに熱中し、プレイスタイルが確立します。

またVRChatは大きく言えばインターネットのサービスですので、トライアンドエラーの速度を異常に早くできます。失敗を繰り返していくと、成功例がにじみ出てきて、形になっていきます。それが失敗の素敵なところです。

新規プレイヤー向けへのメッセージになりますが、VRChatで失敗しても人生が吹き飛ぶようなことはほとんどありません。規約を守る範囲で、いろんなことに挑戦してみてはいかがでしょうか?

私はというと、とあるコンテンツで自分の立ち位置を確立してしまったので、正直守りの体制に入っています。でも、気持ちとしてはもっといろんなことに挑戦したい気持ちです。だって、黎明期の心構えを持っていますもの。

6. まとめ。タイトル回収。

こうしてVRChatで5年間、いろんな経験をし、人間関係も濃厚に行ってきたので、さすがに性格がドッシリしてきました。何か現実でやろうと思ったら、リスクがすぐにわかるぐらいには振舞えます。それは失敗をたくさんしてきたからです。

なんか挑戦してみようと思ったら、外野からいろいろ言われるかもしれません。でもそれは自分がやりたいことです。貫き通しましょう。

ただ、最初は個人でコンテンツを作り上げることを強くオススメします。あとは外注するとか、部分的に頼むとかがよいです。どうしてかですって?真逆なことをして私が大失敗したからです…。でも時間はかかりましたが、その失敗から無事に乗り越えられました。

この記事を執筆中の現在、2023年が終わります。節目ですのでご挨拶をしたいと思います。

ここまでVRChatで出会えた皆さまに感謝を申し上げます。今の私のVRChatのプレイの仕方も、今までに出会った皆さまが支えてくれたおかげです。私は今、非常に刺激的で楽しい人生を送れています。時代の変化が激しい中でVRChatがどの程度続くか、いくら論じようがわからないものはわからないですが、VRChatで出会った皆さんとの関係は現実そのものです。今後も皆さんと楽しく過ごせたらいいなと思います。

2023年もありがとうございました。
皆さま、良いお年をお迎えください。

ではでは。

*1. サ終: サービス終了の略称。私のプレイしたネトゲのサ終の数は計り知れません。
*2. 某ウイルスの流行開始: NIID 国立感染症研究所 の記事を参考にして、本記事では2020年3月頃が流行開始であると定義しました。
*3. 正規分布: 正規分布というとわかりづらいのですが、英語では"ノーマル(普通の) ディストリビューション(分布)"です。サイエンスでは当たり前のように出てきます。
*4. 炉心融解: かくゆうごおろにっさー。え、もう15年?うそやん…。
*5. 千本桜: 私が歌うと音程がいまだに不安定であまり歌いません…。


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