小学校③

小学校3年生だったと思う。
普通の公立の学校だった。更衣室はあったのだが、小学3年生までは更衣室が使えず、プールの時間は教室で着替える事になっていた。男児女児とも。
現在は、結婚しているが子供がいないため、プールの授業がどのように運営されているかわからない。
前の授業が終わって、次の授業はプールである。男児女児とも恥ずかしながらバスタオルを巻ながら、キャーキャー言いながら着替えるのである。しかし、全員が一斉に着替える訳でなく、要領がいい児童は登校時にすでに水着を着て学校に着ている。そういう児童はいち早くプールに向かう。要領の悪い児童が「ルール違反」などと叫びながら、教室に取り残され水着に着替えないと行けない男児女児は、芽生え始める自我と闘いながら、しぶしぶと水着に着替えてプールへ向かう。

プールの事業が終わり、事前に水着を着て登校をしていた児童も含め、クラス全員が教室で着替える事になる。バスタオルで体を拭いていても水着から私服に着替えるのは、大変時間がかかる。そこでも、自我がある男児女児が一つの空間で着替えるのは、大変なのである。

その時に、事件が起きた。私が穿いてきたパンツが行方不明になる。思わず「パンツがない」と大声で叫ぶ。全員が着替え終わってない状況に教室内はざわつく。笑う者、捜す者、距離を置く者等、しかし見つからなかった。
この「事件」は担任に報告された。その結果、クラス会が開催される。話し合いの結果、なぜかクラス全員で学校内を探すことになる。「danilo君のパンツしりませんか?」といたるところから、その声が聞こえてくる。私は、その場にいるのが居た堪れなくなるのだが、逃げる場所がない。保健室に一時避難や、お漏らしした児童用の貸し出すパンツも常備されているのだか、それを借りることは頑なに固辞をした。何かに負けた気分になるからだった。
その後も、パンツ捜索は続いていた。各教師、事務員、上級生など、ありとあらゆる人に「danilo君のパンツしりませんか?」を聞きまくったおかげで、全校に知れ渡る。もちろん、知っているわけない。小学校全関係者から同情というよりも蔑まされたという言葉が一番当てはまる。中には「パンツを穿いてこなかったのでは」と疑いをかけられた。登校時に、ノーパンなら半ズボンの中が、スースーするのでわかる。反論するのも馬鹿馬鹿しいので何も言わなかった。

結局、下校時はノーパンで帰宅することに。
両親にも何も言わなかった。しかし、次の日の選択で兄弟を合わせたパンツの数が異なるため、疑われ事実を話すことに。両親は特に学校に抗議はしなかった。そのため私の名誉が回復することがなかった。小学校も改善も恒久的な対策もなかった。

何が目的で、パンツを隠す?捨てる?のかはわからない。しかし、これをやった奴がほくそ笑んでいると思うと、大人になった今でも悔しい気持ちが呼び起こされるのである。

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