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3-3. 旅の意味

日常から離れてお身体も心もリフレッシュする

また頑張って生きるエネルギーをもらう

楽しむ…

旅をする理由です。

添乗員の立場ではそういうお客様の気分に

最大合わせて満足させる様に働きます。

ところが、たまには特別な意味でツアーに参加される

または添乗員として普段とちょっと違う意味で旅をする方とも

出会います。

4つの物語を紹介します。

1.特別な奈良長谷寺

夜行バスのツアーは時間を稼ぐメリットはありますが、

お客様も、乗務員も結構ハードな体験です。

その苦労と価値を比べて判断するのはお客様です。

日本の聖地高野山は価値が苦労を超える場合です。

金剛峯寺、金堂、奥の院…

皆一度は行ってみたい神々しい神様の世界です。

さらに、宿坊まで…

なのに、

あまり興味がないお一人参加の中年の女性お客様がいました。

ツアー中、ほぼ無表情で

何か僕がミスでもしたか…

外国人添乗員が嫌いか…

そもそも、

人の性格って様々だし、

全員に合わせるのは無理だけど、

少しは気になりました。

翌日帰り道

奈良の有数のお寺である

長谷寺を寄りました。

長谷寺も歴史深いお寺ですが、

高野山がメインだったので

重さは当然…

ところが、長谷寺を出発してから

あの女性のお客様の顔がちょっと変わりました。

何かホッとしたという…

謎が解けました。

「オーさん、ありがとう…

実はこのツアーって

お墓参りが目的だったの」

「え?」

「実は、この長谷寺にお父さんの墓があるの…

高野山も良かったけど、お父さんのお墓参りが出来て良かった。」

......

2015年秋…自分胸も顔も熱くなりました。

2.震える

前回でご紹介した2泊3日間の関西、九州は「ロマンチックな旅」という

スイートなタイトルツアーでしたが、

ちょっと心配する高齢者の紳士の方がいました。

お一人参加なのに声もお身体も震えて

添乗員として事故でケガなどのお恐れもあるからです。

受付後、羽田空港で大阪に出発する時、

奥様からお電話がきました。

事情で同行出来ないけど、どうぞ宜しくと。

そう奥様もお歳のせいか声が震えていました。

平等の原則を意識しながら

なるべく気配りました。

ツアー無事終了後、

携帯電話に一通の音声がありました。

奥様でした。

お忙しいところをご主人の事を一生懸命みてもらってありがとうと…

ご主人とても満足したと。。。

そうおっしゃる録音された奥様の声も震えていました。

......

デビューした2015年はいろいろありましたが、

心が熱い年でした。

3.感動の離団

団体ツアーでもそれぞれの理由で離団することもあります。

現地で親戚や友人と会ったり、

用事があったり

あり得ます。

2017年夏と秋の間

前回ご紹介した下北半島恐山へ行く途中

ある高齢の夫婦お客様が離団を申し込みました。

悲願の恐山を目前にして何もない下北の田舎で…

僕も、他のお客様たちも

謎が生まれました。

「オーさん、実はね…息子が自衛隊でさあ、この辺で努めているのよ。

もう慣れているからホテルまで後タクシーで行くわ、心配しないで…このツアーって息子会えるからいいの…」

「......」

4.特別な運転

関東、東京からのお客様もいますけど、

逆に地方から東京へ旅するケースもあります。

こちからは割とつまらないところが

地方のお客様からは特別です。

それに応じながら2017年ある日も

都内ツアー、千葉幕張で泊まり、

翌朝は寅さんの町、柴又へ

年配の方が多かったので

皆なつかしい時代へ。

添乗員はお客様の昼食案内をしてから

ドライバーさんと食事します。

二人とも一服の時間なのに

とりわけドライバーさんが急いで食べる

「どうしたんですか?」

「うん、気にしないで…俺ちょっと用事があるさあ…」

「ああ…」

皆集合、出発の時謎が解けました。

「実はさあ、この辺に親のお墓があるのよ。

ちょうど、仕事も来たので久しぶりにお墓参り出来て良かった!」

「ああ、ご苦労様…」

......

旅は人によって様々な意味があります。

皆、この世を旅します。

残った我々は

先去った人を記憶します。

そして、

我々もいつか

去ります。














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