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3-2. 添乗員の作業ー鉄道ツアー(上編)

貸し切りバスという快適な専用の移動手段で行われる団体ツアーと比べて

鉄道を利用した団体ツアーは難易度が高いです。

一番違う点は専用じゃなくて一般乗客と一緒に乗車することです。

要注意!

行動にいろいろ制限あり!

ご迷惑やトラブルにならないこと、

旅行会社を代表して、それを守るのも添乗員の仕事です。

飛行機や船ツアーも難しいですが、

いずれにしても一応、乗って出発したら目的地までは

なんとか気楽ですね。

反面、鉄道は途中乗車、途中下車があります。

それでは、実際にシミュレーション始めます。

1.当日、駅構内下見

東京出発の場合、ほとんどが東京駅集合となります。(新幹線基準)

ただし、「あずさ」など特急列車利用場合は新宿駅出発が多いです。

個人的には渋谷と池袋出発がないのが神様の恵み(?)だと思います。

添乗員は集合時間30分前からスタンバイですが、

集合してからホームまでの動線や出発遅延、ホームの変更など

情報収集の為、下見が必要です。

もっと早く来るわけです。

平均利用客数日本一の新宿駅(1,538,614人/2019年発表)は

意外と単純ですが、(JRに限っては)

問題は恐ろしい東京駅です。

東京駅のスペックを調べると

★面積:182,000㎡(東京ドームの約3.6倍)

★1日平均利用客(乗り降り含む):約879,208人(新宿、渋谷、池袋に続いて4位、2019年発表)

★一日平均運行:約3,700本(マジ!!!)

★ホーム数:28本(東海道新幹線6本含む)

★改札口数:7か所

下見が必要なわけです。

ホームが28本なんて…((+_+))

初めて利用者はあきてしまいます。(添乗員もお客様も)

ちなみに、京都駅は34番ホームまでありますが、中に欠番があるのがわなです。

こういう鉄道ツアーも現地へ着いたら結局、貸し切りバスに乗り換えるので

添乗員一人単独ツアーのお客様数はバス1台の人数(最大49人)で、

超える場合は台数口で添乗員二人が(バス)号車を分けて行います。

こんな人数なので何か勘違いしたりミスがあったら

以後は正にバタフライ効果…

駅構内に下見で一番大事なのは

やはり乗車予定列車の時間とホームの再確認です。

「油断禁物」は人類消滅まで有効です。

そして、動線確認ですが、人口1.2億日本全方面起点になる駅なので

方面によってルートも様々。

要確認!

近い道だけど、団体は出入り禁止の改札もあります。

高齢者の方が多い事とスーツケースなど重たい荷物が多いので階段じゃなく、エスカレーター位置確認も必須です。

「この距離なら階段でもいいだろう」と思ったら最後、アンケートで良い答え(?)が実を結んで(?)戻って来ます。☺

エスカレーターって全ての所にあるわけじゃないので

お客様の前で慌てない様に確認しておきます。

周辺のお手洗いや売店、販売するお弁当の情報も把握しておきます。

後、通る改札の(東京駅で新幹線利用の場合、最初JR改札に入ってまた新幹線改札を潜る必要があります)係人に「何人団体が何時頃、通過します」と伝えておくとスムーズです。

(前話にも述べましたが、団体は効率の為、一人ずつ一枚きっぷじゃなくて添乗員が一枚団券を持ち、専用ゲートで通ります。なので1gもしない団券の実際重さは数百㎏かも)

やっと集合場所へ戻ります。

本番の仕事はまだ始まっていません。(時給に含まれない(T_T))

2.スタンバイ

添乗員は旅行会社の顔です。

イメージです。

ツアーの時は代表と同じです。

そう、イメージ!

服装などもう一度チェックします。

もし台数口ツアーの場合は仲間添乗員との打合せも必要。

集合場所に立って名簿やバッチなどの配布物を確認、

終わったらお茶一杯飲んで気合を入れます。

さあ…良し、今日も頑張るぞ!

ツアータイトルが付いているパンフレットと旗をお客様が見やすい様に持ち上げます。

実は同じ日、東京駅でツアーに出る団体は自分だけじゃない。

いろんな旅行会社、更に同じ旅行会社でも同じ場所で一日数件のツアーもあるわけなのでお客様が勘違いする確率も上がります。

ツアー名(ツアー番号とコース名が書いてある)が付いた旗を持ち上げた

添乗員がずらりと並んでいる風景、

東京駅、特に日本橋口では日常の様子です。

大手旅行会社はお客様の便利の為、案内する別のスタッフも配置します。

困ったお客様のお手伝い以外にも突破事態や旅行会社との連絡など行います。

こんなスケールって想像できるでしょうか。

お客様はわくわくしながらもう構内あちこちで心当たり(?)添乗員からの受付開始を待っています。

3.受付(集合)

お名前や(グループの場合)人数を確認します。

途中乗車より東京駅出発の客が当然多いので、受付が終わったら再集合時間までは自由時間です。

時間内、全員揃ったらベストですが、遅れる方も、道を迷う方もいます。

急に連絡が来て次の上野や品川乗車に変更される場合もあります。

新幹線は貸し切りバスと違って待ってくれるわけがないので

イライラになりがち。

それでも、落ち着く!イライラは心中だけにします。

バスという決まった空間じゃないので集中力は落ちて、疲労は増加します。

やっと再集合時間です。

グループ毎に代表の方のお名前を呼び、人数確認しながら座席表をお配りします。

新幹線内ではご迷惑になるのでここでご挨拶や簡単なツアーの紹介、

そして、これからの流れを説明します。

それでは、ホームまで出発!

4.ホームまで移動

この後、一番怖いのはホームへ着いて新幹線に乗ったら、人数が合わない(途中に抜ける)事です。

東京駅ならもちろんあり得ます。

ぼっーとして歩く

方面間違えたり、途中で他の団体列に合流したり

普通は考えられないいろんなことがあり得ます。

なので、「ちょっと遅いなぁ…」という程度の幅でお客様に合わせ、

ゆっくり先頭でリードします。

旗は最後尾の方まで見える様に高く持ち上げながら歩きます。

長い行列なので一般の方に迷惑ならないように気を付けながら進みます。

列が切れたり、トラブルとなることもあります。

ホームに着いたら乗車する号車のプラットフォームまで案内します。

専用でもないし、いろいろ事情があるので2-3両ほどで分けます。

もし、ここでオプションのお弁当がある場合、新幹線が来る(出発する)まで業者さんとのテキパキが要求されます。

お弁当の数、種類確認、決済…そして、積み込み。

5.新幹線乗車

東京駅は始発駅ですが、向こう出発から見ると終点ともなります。

なので、東京に着いたら係人が車内掃除やシート戻し、忘れ物確認、運転士交代など乗車まで時間がかかります。

そして、向こう出発の時、1号車から先頭だったので東京からの折り返しの場合、逆(1号車が最後尾)になります。

また、新幹線の種類、車両の編成(台数)によって号車別プラットフォームも異なるのでこれも事前下見で確認するべきの要素です。

扉が明けていよいよ乗車です。

添乗員は自分の席に荷物を投げてすぐお客様の対応となります。

大きい声も出しちゃいけません。

白い目で見ている一般客もいます。

逆に、乗務員だと勘違いされ、相談(?)を求める事もあります。

グリーン車でない限り、新幹線は3-2の配列です。

車窓側、通路側…希望も様々…

グループがどうしても一人ぐらいば離れて知らないグループと同席になる場合もあります。

仲間なのに前後席になる場合もあります。

こんな不満を気持ちよくご理解させ、受け入れる様にするのも

添乗員の仕事です。

6.途中乗車客お迎え

東海道新幹線は次品川まで、その他方面(東北、上越、北陸新幹線)は上野まで(あっという間)5分もかかりません。

途中乗車お客様の号車と座席を把握し、到着前にツアー名のパンフレットを持って扉前で待機します。

ただ、新幹線の扉は前後2か所ある。

なるべく途中乗車の座席は一両に集めるけど、どうしても離れる場合は

一番多くの乗車が予想される扉に集中します。

方面によって新横浜や大宮、熊谷、高崎、宇都宮、

新宿出発の中央本線特急の場合、三鷹、立川、八王子から途中乗車されます。

途中乗車のお客様とは初対面なので座席事に訪ねてご挨拶からお配りもの配布、流れ説明までリピートします。

一般乗車客や乗務員にご迷惑ならない範囲で…

全ての途中乗車が終わったら今度は、オプション商品(現地観光や食事、お土産など)調査や未精算の方とのやり取り

そして、お弁当がオプションに付いている場合朝、業者さんから積み込みしてもらったお弁当とお茶のお配り、箱のままなので自分の座席に積み込みます。

タイミングが大事なので早めに、

オプション申し込んだお客様を勘違いしない様に

種類を間違いない様に落ち着いてやるべきです。

......後はゴミ収集まで。

やっと落ち着きます。

お茶一杯飲みながらお金や領収証の整理、

着いてから流れや行程の確認

場合によってはホテルや現地バス会社、観光地など寄り先への連絡(客室を出て)もしておきます。

やっと落ち着きます。

やっと…

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