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「どん底旅」#6. 人の香り


2012年1月、退職旅後のストーリー


水一滴も許せない砂漠でお花が咲く様に、

全てを凍らせる南極のブリザードの後、生命が動く様に、

冷たい刑務所のお庭でも春がやってくる様に、

極限の環境でも慣れるのが
人間の力

一歩間違えたら、
底も見えない闇の落ちる人生の崖で
固くて冷たく凍った寒い季節も先が見えて
春の香りがやって来た。

遠い現場に行くため夜明け起き、
派遣会社へ起床連絡、
D2で1,000円で購入した本格的な作業服は
もう慣れなれ

駅前で安いおにぎりとお茶で朝食を済ませ、
発電、同じタイムで乗る、
結構馴染みある人々の姿

日雇い現場にも数ヶ月
情もなさそうな
せっかく咲いたお花も
冷たい気に負けて
死にそうな現場を
想像するかもだが、

そんな現場も
結局、人間が働くところ

慣れそうで、
慣れない間、
いろんな人とすれ違う。

日本全国から
様々な物語を持って
夢を持って集まった
人生、人生…

自衛隊隊員を向けて
体力アップと経験積みで来た
笑顔が魅力的で
一緒に働くだけで気持ち良かった
大柄の若い青年

生活苦でいわき市から来た
無口で真面目だった仲間、

ただのバイトで来た国分寺住まいの
数学が得意からスマートだったが、
ちょっと気まずいの仲間、

こういう仕事に苦手か、
中々仕事に向かず、さぼって
仲間から良く恨まれたが、
純粋な少年タイプの仲間、

自分の彼女はミス新潟出身だと自慢したが、
それが納得できる?イケメンだった
新潟からの仲間、

名古屋出身で、
学生時代初めての修学旅行で
東京ディズニーリゾートを訪れ、
いたずら好きのやつが
挨拶するミッキーマウスしっぽに
火をつけ、
学校が入場禁止処分されたという
どんでもない話をする
後で自分の一人引っ越しも
無条件で手伝ってくれた
将来世界一ミュージションになるのが
夢である
金髪の仲間、

仕事の中間管理者にもありながら、
自分に人間的にも優しくて
いろいろ気配ってくださった
派遣会社の上司、
「オーさん、いつか俺の家族と一緒に食事でもしよう」
実行有無を別として
涙が出そうな
いつも真面目だった
彼の一言、

仲間として、
同じ人間として
向き合ってくれた
派遣会社の方々、

一度だけの仕事後、
再び他の現場で再開、
嬉しい表情で
自分の事を気づいてくださった
現場の管理者の方

ほぼ10年が経った今は
どこでどんな人生を過ごしているのか…

たとえ、
お互い人生の旅で
一度すれ違ったかもしれないけど、

自分にとっては皆、
とてもとても
感謝したい

特別な人々

心まで凍ってしまった
冷たい冬、
絶対潰れない
鋼の様な
現場に

綺麗なお花咲かさせた、
人の香りを伝えた
皆に

輝く道がある様に…

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