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「どん底旅」#8.甘い(?)春

2012年1月、退職旅後のストーリー

まだまだ甘い君へ、

世の中をなめるな!

大手旅行会社の
3次面接まで受け
ほぼ手が届きそうだった
目標が
砂漠の蜃気楼だったというのが
分かってからの

かなりの後遺症、

一体、
このストーリーのジャンルは
喜劇なのか、
それとも
悲劇なのか

もしかして
全てが決まっているリアリティー脚本では…

このストーリーの結末を変える力が
一体自分にあるのか?

無気力症で武装した
ネガティブ自分の攻撃、

「何でも努力すれば夢は叶う…???」
「マジで?君、本当に信じる?」

綿布団をくるくる巻いた
ポジティブ自分の抵抗

「これが人生だろう、強くならないと!」
「挫折する暇があるかい?」

傾けたゲリラ戦がしばらく続く、

この惑星に居られるビザの期限が
わずかまで責められる中

再就活と日雇い仕事は
更にピーチアップ

従って
まさか使うかと
使いたくなかった

緊急事態用の「プランB」が稼働

家賃6万のこのアパートの更新はせず、
もって節約できるシェアハウス探しと

品川にある入館で
帰国準備を想定した
最後の延長になる3ヶ月ビア延長

生き残るための仕事は
今までなかった

昼間+夜勤+昼間の連続組合

「大丈夫?体、壊れるぞ…人生長いよ
無理しないで…」
仲間だけじゃなく、
作業現場全体に

自分の意思とは関係なく
広がる
心配と応援のメッセージ

廃墟の中で
咲く花

現場の近隣の公園では
春風に載せた
スイートな香りと共に
桜が咲き始め
夜中まで楽しむ若者たちの歓声が響く中

隣のホームセンター解体現場で
鋼鉄の様な徹夜作業をやっと終えて

夜が開け
仲間と入ったマックの席は

この瞬間だけは
ヒルトンの
スーパーディラックスルーム

甘い甘い休憩、

溜まった疲れは
二人のまぶたと頭に
それぞれ10トンの岩を
どんどん乗せる

「あらら、あの二人寝ているかしら!」

「お客様、ここは寝る場所ではありません。
先からずっとですよね。
皆にご迷惑なので申し訳ないですが…」

……

茫々たる大海で

道を迷った小舟は

それでも

進む

……

※次「どん底旅」最終話となります。






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