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おきらく移動平均トレード 後編

1.はじめに

このNOTEは「おきらく移動平均トレード 前編」の続編で、株式トレードに興味がある中級者以上の方向けに、だれでも知ってる移動平均線の使い方を工夫して、私ダニエルが開発したインディケーター「DNFMA」を用いた株価チャートのテクニカル分析手法について解説したものです。

本編では、中編で触れた「移動平均交差法」について紹介するとともに、前編、中編で解説した内容をさらに掘り下げ、チャート分析で必要となるマルチタイムフレームの考え方、実際のチャートを用いた分析作業の例などについて紹介します。

まだ前編、中編を読まれていない方は「おきらく移動平均トレード 前編」、「おきらく移動平均トレード 中編」からお読みください。本NOTEで解説する「DNFMA」の概要や導入方法などは本編では解説しませんのでご注意ください。

また本NOTEで使用するTradingViewをご存じない方は、まず以下あたりのサイトでTradingViewについて調べられてから本NOTEをお読みください。

TradingView(トレーディングビュー)徹底活用

2.移動平均交差法

まずは中編ですこしだけ触れた「移動平均交差法」について解説します。と言っても、中編で紹介した「先行線」、「基準線」、「中央線」の3本の移動平均を組み合わせたテクニカル分析手法全体を筆者が「移動平均交差法」と名付けただけで、これまで紹介した以上のものはありません。すでに「おきらく移動平均トレード」と呼んできているので、あえて「移動平均交差法」とは呼ばずにDNFMAを使う場合は、以降も「おきらく移動平均トレード」と呼ぶこととします。

ではここで「おきらく移動平均トレード」で使用する重要なラインとその関係についてもう一度整理しましょう。

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・先行線
「Short MA term」で指定した期間(以下、MA期間)で描かれた移動平均線を、その期間の1/2だけ未来にずらして描いたライン(上記チャートの緑ライン)。株価の将来の動きを推測するための参考指標となります。

また最新の株価の日時において先行線が示す価格は、MA期間過去に遡った日時あたりで建てられたポジションの平均価格の目安ともなります。

・基準線
MA期間で描かれた移動平均を、その期間の1/2過去にずらして描いたライン(上記チャートの黄ライン)。ラインが示す価格は、その日時辺りで建てられたポジションの平均価格を示しています。先行線とは中心線を挟んで同じ値幅分反対側に描かれる特性を持つ。

通常の移動平均線が示す価格は、その日時から過去MA期間において建てられたポジションの平均価格とされますが、「おきらく移動平均トレード」では1/2過去にずらした価格を平均値として定義しています。

・中心線
MA期間の2倍で描かれた移動平均をMA期間の1/2過去にずらして描いたライン(上記チャートの赤ライン)。先行線と基準線の中心価格を示すほか、基準線の変化を予測するための参考指標となります。

また先行線、基準線は中心線の周りを交互に入れ替わりながら時間軸に沿って進む特性を持つため、これを利用して現在が強気の期間「陽転サイクル」、弱気の期間「陰転サイクル」を判断する目安とすることもできます。

・モメンタムリボン
現在の移動平均線の示す値と、少し遡った日時の移動平均線の示す値を結んだ太いライン(長期チャートの青とピンクのバー)。青色のリボンであれば上昇トレンド、ピンク色であれば下降トレンドを示し、リボンの長さはトレンドの強さを示します。

リボン自身は本来の移動平均線の機能である、MA期間過去に建てられたポジションの平均価格の目安とすることもできます。

最後の「モメンタムリボン」は「移動平均交差法」には含まれておらず、独立したインディケータとしてこれまで紹介していましたが、DNFMAでは統合したインディケーターとして提供しています。

すでにMetaTrader4で「ダニエルツールス」をご愛用くださる方は気がついていると思いますが、「DNFMA」は簡易版であるため本来「ダニエルツールス」で提供している予測機能やシグナル等は省略されています。またモメンタムリボンの使い方もかなり異なります。もし本書を読んで「ダニエルツールス」に興味を持たれた方は、本編の最後で紹介する筆者のブログにてご確認ください。

3.先行線、基準線、中心線の関係

中編で先行線、基準線、中心線の関係を以下のように解説しました。

先行線、基準線は中心線を中心として鏡像を描き、中心線からの価格差はかならず先行線、基準線とも等しくなる。先行線はすでに確定したラインのため、将来描かれる中心線、基準線はこのルールに従って描かれる。また中心線は先行線の変化点で、先行線の変化量の1/2変化する可能性が高い。

この関係性が「おきらく移動平均トレード」いちばん重要な点で、ほぼ全てと言って良いと思います。本章でこの関係性をもうすこしわかりやすく解説しましょう。

「先行線、基準線は中心線を中心として鏡像を描き、中心線からの価格差はかならず先行線、基準線とも等しくなる」

以下のチャートをごらんください。わかりやすいように黄色で矢印を描きました。

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この矢印の長さはチャート上のどの日時でもかならず等しくなります。これは移動平均線ではあたりまえの特性です。

・1日から24日までの平均値
・25日から48日までの平均値

この2つの値の平均値は

・1日から48日までの平均値

と等しくなります。

つまり緑色の先行線は「1日から24日までの平均値」を示し、黄色の基準線が「25日から48日までの平均値」、赤の中心線は「1日から48日までの平均値」とそれぞれを示します。

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