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牢獄の中心で愛を叫ぶ

去る4月21日~23日、6公演ありましたパンドラ企画第11期「パンドラ童話集:犯罪伝承より 【クリミナルフォークロア】」が無事終演しました。ご来場の皆々様、ありがとうございました。独特の世界観、私が「これは好きだ!」と思って関わった作品に対し、お越しいただいた多くの方に「好きな世界観!」「また是非来たい!」と言っていただけて、大変嬉しく思っています。お楽しみいただけたなら至極幸甚です。

あっと、パンドラ企画「さん」というのが正しいですが、ここからは敬称略で参ります。ご了承ください。

さて、即行自分の感想に入ってもいいのですが、告知をさせていただいた方の多くから「朗読劇って何?」という問い合わせがあったので、私なりのご説明を。朗読劇とは、台本を持ったまま進行する劇です。一般的に皆様が想像する舞台は「ストレートプレイ」というもので、台詞も動きも役者が覚えて、舞台の上で演じます。一方で朗読劇は、役者がほとんどの時間椅子に座って、台本を読むスタイルが多いかと思います。語弊を恐れずに言うと、観客は目を閉じてもシーンが見える、というのが朗読劇・・・といえるでしょう。今回のパンドラ企画では、一部ストレートプレイを挟んだり、読み手が物語に合わせて動いたり等の視覚的な演出が多くあったので、その点通常の朗読劇とは異なりました。朗読パンダさんの公演の場合は、更にリーディングアクトというか、むしろ朗読は添えるスタイルになっているわけですが(観にいかないと言葉では伝わらないところある。面白いのよ)・・・。

ついでにパンドラ企画の作品は、大人の童話・黒い童話なので、なんとなく朗読にイメージしがちなハートフルさ(?)はありません。少なくとも本作のみでいえば、一切救われる要素のない2話のオムニバスでした。戦闘シーンすらありました。世界観も、中世風、黒のスチームパンクという表現に近いような、他の朗読劇をしている演劇集団と比べて、だいぶ独特だったかと思います。絶対に好きな人は好き、それ以上にドストライク!えぇ、私も出演者側とはいえ、ドストライクの1人だったわけです。

1月(だったと思う)。本業の繁忙期を避けつつ、果たして2017年一発目の舞台は何にしようかと悩んでいました。2017年内は朗読劇に出るという目標を持ちつつ可能ならミステリーの舞台に立ちたいと思っても、そもそもミステリーの舞台も多いわけではない。なにより本業を抱えている以上は出演者募集要項を見ただけであきらめなければならない舞台がいくつもある。そんな中で目に留まったのが、オーディション情報の一つに掲載された、本公演のフライヤーでした。お気づきの方はいたでしょうか。「リード」を引く「赤い傘の少女」と、そこにつながれた「犬」ですね。

ええ、犯罪という言葉に誘われたのは間違いないですが、どう考えても面白そうだ。いや、これはもしかしたらドストライクかも知れない。しかし、ミステリー以外のジャンルをチャレンジしたことがない。大丈夫だろうか・・・稽古日程は・・・公演日・・・うーん・・・と悩んで、一週間。堪らず担当者宛アドレスにメールした。すると、結構細かく返事が返ってくる。うーん、これはもうあれだ、悩んでオーディション情報の閲覧回数伸ばすくらいなら、オーディション受けよう。・・・勢いのご縁だったわけです。でも、それがこんなにも良縁だったとは、当時の私は考えてもいませんでした。

ここからは朗読劇処女・・・だった人の感想なので、生暖かい目でご覧ください。

人生初めての朗読舞台、全員100分程が出ずっぱの舞台でした。正直、ストレートより疲れました・・・歌って踊ったあの舞台よりも。集中力が物凄く必要でした。朗読劇は、台本持っているから台詞を覚えなくていい、ということにはなりません。ある程度は覚えていないと、会話のテンポが作れません。そして、本の読み方自体には演出があまり入らないので、ほぼその場で役者が互いの台詞を聞いて考えて、音を選んで台詞を返す、ということをしています。ので、やり取りの雰囲気等は6公演それぞれで変わりました。・・・あぁ、つまり、場の雰囲気に対して微塵も気を許せない100分だったわけです。いえ、もしかしたら、慣れたらどこかで力を抜いてよかったのかもしれないけれど・・・。でも、100分間、始終楽しかったです。スリリングでした。2話のオムニバスのうち、1話目の「獄中王子様」では気の強いお嬢様――とはいえ、騎士団の渉外担当として、騎士の称号を持つ貴族――の役をしておりました。拷問で少しずつオカシクなっていく役です。めっちゃ叫びました。痛い叫び、絶望の叫び、恐怖の叫び・・・オーディションの時、「狂った役がしたいっすね」と言った覚えがあります。2ヶ月の稽古で、のどを嗄らさずに叫ぶ方法を体得しました(え)2話目の「つみびとこぞりて」ではメインで・・・ご来場いただいた方の記憶にだけ届けておきましょう。しかしして、作中では5種類の声を出していました。そのうちのあの役は何から何まで苦悩して行きつき、果たして全公演安定して出来たわけではないのが心残りですが、アンケートに「よかったです」「好きです」と書いていただけるのは物凄く嬉しいもので。ありがとうございます、ありがとうございます・・・でも、やっぱりもっと出来たとは、思います。その点は心底悔しいです。

思い返せば全編を通じて、一瞬だったものも含めると7種類の声を出しました。ストレートじゃなかなか出来ないものです。うん、やはり楽しかった。

楽しかった、という感想だけではありません。今作はメインで頂いた両方の役をとても愛していました。そして、台詞の一つ一つを、いや、文章の1行1行を愛してやみませんでした。台本を購入された方は、よくよく表現の並びやシーンの並び等を読み解いてみてください。役者が、配役の希望だけでなく、「この1行を言いたい」という取り合い(笑)をしていたことも、ご納得いただけるかと思います。本を含めたすべての世界観が、私の性へ・・・好みの固まりでした。たぶん観に来ていただいた方の中には、考察しまくりたい人も居るんじゃないでしょうか。罪とは一体なんなのか、一つの回答として私はこの本が大好きです。

終わってみて、先にも言ったとおり悔しかったことがあるので、ネガティブマスターの私は2~3日懺悔期間に入ります。しかし、本当に楽しい2ヶ月間、そして(人は選んだけど)自信を持って御見せできる舞台を作れて、心の底から参加できて良かったと感じています。座組のメンバーにはとてもお世話になりました。こんな適当な人間と仲良くしてくれてありがとう!(笑)スタッフ様・・・お客様・・・加えて職場の方もですね・・・皆様に支えられて今回も立てたこと、感謝をしております。ありがとうございました。

次回の舞台やイベントの出演予定は現状、お知らせできるものがありません。ありませんが、ありますね。ありますので、今後もウランにお付き合いいただけましたら幸いです。そして、パンドラ企画気になったな~という方、8月に公演がありますからチェックしてみてください。それではっ、尻切れトンボっ。

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