米国株、ダウ反発し87ドル高 年内の利下げ観測が支え ナスダックは続落

米国株、ダウ反発し87ドル高 年内の利下げ観測が支え ナスダックは続落

米国・欧州株概況

2024年5月2日 6:03

【NQNニューヨーク=戸部実華】1日の米株式市場でダウ工業株30種平均は反発し、前日比87ドル37セント(0.23%)高の3万7903ドル29セントで終えた。ダウ平均は前日に今年最大の下げ幅を記録した後で、主力株の一部に自律反発を見込んだ買いが入った。米連邦公開市場委員会(FOMC)会合後のパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の記者会見中に上げ幅を広げる場面があった。

FRBは1日まで開いたFOMCで市場の予想通り、6会合連続で政策金利を据え置いた。量的引き締め(QT)の減速方針も決めた。声明ではインフレは過去1年で和らいできたものの「この数カ月は、2%の物価目標に向けた一段の進展を欠いている」との認識を示した。パウエル議長は記者会見でインフレが持続的に2%に向かうと確信を強めるまでに「想定よりも時間がかかりそうだ」との見方を示した。

一方、パウエル議長は「次の政策金利の変更が利上げになる可能性は低い」と述べた。インフレ高止まりを背景に利上げのリスクを意識する市場関係者もいたため「次の一手が利下げとの見方は安堵感を誘った」(Bライリーのアート・ホーガン氏)との声が聞かれた。ダウ平均の上げ幅は一時500ドルを超えた。

1日午前に発表された3月の米雇用動態調査(JOLTS)では求人件数が前月比で減少し、2021年2月以来の低水準となった。賃金インフレが高まるとの懸念後退につながった。米長期金利は一時4.5%台後半と前日終値(4.68%)を下回って推移し、株式の相対的な割高感が和らいだことも株買いを支えた。

取引終了にかけてダウ平均は急速に伸び悩んだ。4月の米サプライマネジメント協会(ISM)製造業景況感指数は49.2と好不況の境目とされる50を下回り、市場予想にも届かなかった。一方、仕入れなどで負担する支払価格の指数は5.1ポイント上昇し、「スタグフレーション(景気停滞とインフレの併存)への懸念を招く」(ジョーンズ・トレーディングのマイケル・オルーク氏)との受け止めもあった。

ダウ平均の構成銘柄ではないが、アドバンスト・マイクロ・デバイス(AMD)が大幅安となった。前日夕に24年1〜3月期決算と併せて発表した4〜6月期の売上高見通しが慎重との見方が広がった。人工知能(AI)関連で期待が高かったサーバーなど電子機器製造のスーパー・マイクロ・コンピューターは急落した。前日夕に発表した四半期決算で売上高が市場予想に届かなかった。エヌビディアなど他の半導体株にも売りが及び、投資家心理の重荷となった。

個別銘柄ではアマゾン・ドット・コムが2%高となった。前日夕に発表した24年1〜3月期決算が市場予想を上回り、利益率の高いクラウドサービスが好調だった。ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)やボーイング、スリーエムも高い。マイクロソフトも買われた。半面、ナイキやIBMアメリカン・エキスプレスは売られた。

ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数は続落した。前日比52.341ポイント(0.33%)安の1万5605.481で終えた。半導体関連株が軒並み売られ、指数の重荷となった。テスラも安い。

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