米国株、ダウ8日続伸し125ドル高 利下げ期待根強く ナスダックは小反落
米国株、ダウ8日続伸し125ドル高 利下げ期待根強く ナスダックは小反落
2024年5月11日 5:49
【NQNニューヨーク=稲場三奈】10日の米株式市場でダウ工業株30種平均は8日続伸し、前日比125ドル08セント(0.31%)高の3万9512ドル84セントで終えた。8日続伸は昨年12月以来。米連邦準備理事会(FRB)が年後半に利下げ転換するとの期待が根強く、主力株に買いが続いた。週間の上げ幅は837ドルと2023年12月中旬以来の大きさだった。
前日発表の週間の米新規失業保険申請件数が市場予想を上回るなど、労働市場の過熱感の和らぎを示す経済指標の発表が相次いでいる。物価指標の上振れで強まっていたFRBの利下げ先送り懸念が後退し、買いが広がった。
ダウ平均の構成銘柄ではないが、エヌビディアやマイクロン・テクノロジーなど半導体株の一角が上げた。半導体受託生産大手の台湾積体電路製造(TSMC)が4月の売上高が前年同月に比べ59.6%増えたと10日に発表。半導体株の一角の買いを促した。
もっとも、ダウ平均の上値は重かった。ミシガン大学が10日に発表した5月の米消費者態度指数(速報値)は67.4と、昨年11月以来の低水準となった。4月(77.2)から悪化し、ダウ・ジョーンズ通信がまとめた市場予想(76.0)も下回った。インフレ再燃や失業率上昇への不安感があるという。1年先の予想インフレ率は前月の3.2%から3.5%に上昇し、インフレ圧力の強さを警戒した売りが出た。
市場では、「ほんの少しだけだが、スタグフレーション(景気停滞とインフレの併存)への懸念につながりうる内容だった」(ミラー・タバックのマシュー・マリー氏)との声が聞かれた。
ダラス連銀のローガン総裁は10日の講演で、インフレ率を目標の2%に戻すのに政策金利が十分制限的かどうか確かではなく、利下げするには早すぎるとの見方を示したと伝わった。利下げに消極的との受け止めは相場の重荷だった。
ダウ平均は前日までの7営業日で1570ドルあまり上昇していたあとで、週末を控えた持ち高調整の動きもみられた。米債券市場で長期金利が4.5%前後と、前日終値(4.45%)より高く推移した。株式の相対的な割高感が意識されたのも売りにつながった。
個別では、マクドナルドやベライゾン・コミュニケーションズ、ビザなどが上げた。アナリストが投資判断を引き上げたスリーエムも買われた。半面、ナイキやボーイング、アマゾン・ドット・コムは下げた。
ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数は小幅に反落した。前日比5.396ポイント(0.03%)安の1万6340.869で終えた。テスラの下げが目立った。
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