米国株、ダウ続落し605ドル安 1年3カ月ぶりの下落幅 インフレ圧力が重荷

米国株、ダウ続落し605ドル安 1年3カ月ぶりの下落幅 インフレ圧力が重荷

米国・欧州株概況

2024年5月24日 5:48

【NQNニューヨーク=稲場三奈】23日の米株式市場でダウ工業株30種平均は続落し、前日比605ドル78セント(1.52%)安の3万9065ドル26セントで終えた。下げ幅は2023年2月下旬以来、およそ1年3カ月ぶりの大きさだった。インフレ圧力の根強さから、米連邦準備理事会(FRB)が利下げ転換に慎重になっているとの見方が売りにつながった。主要な株価指数が最高値圏にあるなかで利益確定の売りも出た。

朝発表の週間の米新規失業保険申請件数は21万5000件と、ダウ・ジョーンズ通信がまとめた市場予想(22万件)を下回った。同日にS&Pグローバルが発表した5月の米購買担当者景気指数(PMI)速報値は製造業が50.9、サービス業が54.8と、どちらも市場予想(50.0、51.5)以上だった。

米経済の底堅さがインフレの沈静化に影響するとの受け止めが株式相場の重荷となった。「インフレは徐々に落ち着くはずだが、景気の強さが続けばFRBの利下げを巡る判断に影響する」(ウェルズ・ファーゴ・インベストメント・インスティチュードのスコット・レン氏)との受け止めがあった。

前日公表の4月30日〜5月1日開催の米連邦公開市場委員会(FOMC)の議事要旨を受け、インフレ長期化を警戒するFRBが利下げ開始の判断に慎重になる可能性も意識された。米長期金利が前日終値(4.42%)より高い(債券価格は低い)4.4%台後半で推移し、相対的な割高感があるとみられたハイテク株を中心に売りが出た。ダウ平均の構成銘柄ではアップルやセールスフォース、アマゾン・ドット・コムが下落した。

ダウ平均は前週に初めて4万ドル台に乗せており、高値警戒感からの利益確定や持ち高調整の売りも出やすかった。市場では「最高値更新の勢いが続いた後で、市場全体に調整ムードが広がっていた」(Bライリーのアート・ホーガン氏)との声があった。

ダウ平均の構成銘柄がほぼ全面安となるなか、ボーイングが7.5%安で終えた。23日開催の投資家向け説明会で24年12月期通期のフリーキャッシュフロー(純現金収支)がマイナスになる可能性を示したと伝わったことが嫌気された。その他ではウォルト・ディズニーキャタピラーアムジェンも下げた。

ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数は続落した。前日比65.511ポイント(0.38%)安の1万6736.033で終えた。テスラが3.5%安だった。23日に中長期の販売構想を取り下げたことがわかり、売りに押された。メタプラットフォームズも下げた。一方、前日夕に好決算を発表し、アナリストから目標株価の引き上げが相次いだエヌビディアは9.3%高で終えた。

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