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【丸田陽七太】いつもどおり楽しんで、 レベルアップした自分のボクシングを見せる! 2021年11月27日

◇日本フェザー級タイトルマッチ10回戦
 王者 丸田陽七太(森岡) 13戦11勝(9KO)1敗1分
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 挑戦者7位 日野僚(川崎新田) 18戦14勝(9KO)2敗2分

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 若き24歳の日本フェザー級王者・丸田陽七太が初防衛戦に臨む。2連続防衛中の王者・佐川遼(三迫)を7ラウンドでストップし、ベルトを奪取した今年2月に続き、関西から東上。これで5戦続けて後楽園ホールのリングに上がることになる。

「次の試合をどこでやるか、という話になったとき、僕から、後楽園ホールでやりたい、と言わせてもらいました。東京なんですけど、応援の方たちもたくさん来てくださって、まるでホームのように戦わせてもらえる、あの雰囲気がめちゃくちゃ好きで。またあそこで戦えると決まってから、ずっと楽しみでしたね」

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 今回も関西はもちろん東京など、各地から前回以上の約250人のサポーターが集まり、王者を後押しする予定。丸田にとっては、小学5年から中学3年まで『U-15ボクシング全国大会』(現・ジュニアチャンピオンズリーグ全国大会)で5年続けて上がり、日本一に3度輝いた思い出深いリングでもある。

 ベルトを守る立場に変わることで、鬼門とも言われる初防衛戦だが「守るという意識はまったくなく、いつもの試合と変わらないです」と気負いは感じられない。

「どんな試合でも勝つことだけを考えてますし、タイトルマッチだろうと、いつもと何も変わらず。いつもどおり勝ちに行くだけです」

 何度も繰り返した「いつもどおり」に実感がこもった。

 6歳の頃からボクシンググローブと親しみ、小・中学生の頃から知られた存在だった。関西大学北陽高校に進み、1年時から2年連続インターハイ準優勝。高校3年の秋、18歳でプロデビューした丸田にとって、それまでと大きな違いになったのが、ダメージを与えられる8オンスのグローブだった。丸田が振り返る。

「距離を取る。しっかりガードをする。打たれそうになったら、きっちり外す。ずっと、さわらせないことをいちばんに考えた戦い方になっていました」

 ターニング・ポイントになったのが21歳のときの溜田剛士(大橋)戦だった。試合に向けたスパーリングで1階級上の強打者・坂晃典(仲里)と手を合わせたとき、森岡和則会長から指摘された。

「今のヒナタより、小学生、中学生の頃のヒナタのほうが強いと思う」

 幼い頃から大好きな人で、信頼する森岡会長の言葉がショックだった。ギクシャクした関係になるのは初めてだったが、だからこそ、コミュニケーションは深まり、真意を知ると納得できた。

「僕の印象の丸田陽七太はリングに上がったら、野獣になるんですよ。幼稚園、小学1年のときから、リングの上では襲いかかるような勢いがありました。だけど、今の陽七太はもらわないように、巧く、が勝ち過ぎて、あの頃のような闘争心が見えないっていう意味で言ったんやって、もう1回、伝え直しました」(森岡会長)

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 体づくりを始めたのも、この頃からだった。もともと日々のジムワークとロードワークの積み重ねで、23歳になるまでには体ができてくる、というのが森岡会長の考えだった。だが、20歳でスーパーバンタム級の東洋太平洋王座に挑戦し、フィジカルの強い大竹秀典(金子)に体負けし、初黒星を喫したことがきっかけになった。

 さまざまなメニューを組み合わせたサーキットトレーニングに加え、森岡会長が勧めたのが負荷をかけた走り込みだった。ジムのある兵庫県川西市のお隣、大阪府池田市にある標高315mの五月山で約4kmの坂道を何度も駆け上がった。

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 溜田を5ラウンドでストップした直後、派手なガッツポーズで喜びを表現した丸田の目に涙があふれた。控え室で「間違いなく、今まででいちばん走りましたし、きつい練習を乗り越えて勝つことができたので」と涙のわけを語り、笑顔でこう続けた。

「ダウンを取ったあと、これまでなら、まだ5ラウンドだから、このまま行こう、流れで倒せればいいと思うところで、ここで絶対に倒すと思えたし、倒しきれなくてもスタミナが持つ自信もあったので。いいボクシングやったな、と自分に言ってあげたいけど(笑)、これからもっと上がっていくんやろうなっていう手応えをつかめた試合になりました」

 この後楽園ホールの溜田戦から4連勝で日本王者になる。この間もトレーニングを継続。「当たり負けしない」フィジカルの強さを身に着けたことが自信になった。179cmの長身を生かしたロングレンジが主戦場だったが、戦いの幅も広がった。意識の軸足も守から攻に変わってきた。

「守りに回ったときでも、攻めるためのディフェンスというか、気持ちの中では常に攻めのことを考えてますね」

 丸田にしてみれば、“変わった”というより“取り戻した”というほうが近いのだろう。

「前までは8オンスを意識するあまり、もらわないことに集中し過ぎて、本来の柔らかい動きが硬くなるところがあったのが、最近はいつもの僕のままリングに上がって、いつもどおりの自分の動きができている感覚があります」

 挑戦者の日野僚は3年ぶりに対戦するサウスポー。それも身長175cmで手足が長く、独特のタイミングがあり、やりづらさに定評がある。

 日野と同身長で、元WBA世界スーパーバンタム級王者の久保隼(真正)、長身178cmの前日本ユース・スーパーバンタム級で、日本同級9位の下町俊貴(グリーンツダ)など、申し分のないスパーリングパートナーに恵まれたが、久しぶりのサウスポーを相手に感覚をつかむまでには少し時間がかかった。

 きっかけのひとつになったのが「小学生の頃のビデオ」だったという。ジムでの初めてのスパーリング、小学1年のときの初の対外試合も相手はサウスポー。もともと苦手意識はなく、原点とも言える「ナチュラルにサウスポーとやっていた」(森岡会長)当時の映像を見直し、感覚をつかんできた。

日本タイトル奪取から9ヵ月。「チャンピオンになった自信」から、練習の中で体全体のさらなるパワーアップを感じてきた。試合1ヵ月前まで、通常は2週間に1回のペースで行う五月山での走り込みを自主的に2週間で5回に増やした時期もあったという。

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 すでにボクシング歴は18年近い。デビュー戦から世界ランカーを破り、3戦目でWBCユース・バンタム級王座も獲得。海外遠征も経験済み。現在はWBC、IBFともに7位にランクされ、さらに上へのチャンスをうかがい、あふれる自信と自覚が感じられる。

「気負わず自分のボクシングをすれば、自然とKO勝ちになると思いますし、(さらに上に行けると)評価してもらえる試合になると思うので。またレベルアップした丸田陽七太のボクシングを見てもらいたいです。いちばんは楽しみたいですね」

<船橋真二郎>

●ライブ配信情報
 ▷独占ライブ配信:11月27日(土)17時45分~試合終了時刻まで
 ▷アーカイブ期間:11月30日(火)23時59分まで
 ▷視 聴 料 金:3,000円(税込)一般チケット 
 ▶販売サイトはこちら

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