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エピソード6 これから始まる青春グラフィティ

2001年、はじめて、省吾のライブを2日続けて観に行きました。どんなに熱烈でも、基本的に、ライブは1回観ればいいと思っています。曲目やMCはその日によって微妙に変わると思うのですが、どうしても感動は薄れてしまうんです。
ではなぜ、2日観にいくことになったかというと、たまたま雑誌でチケットを応募していて当選したのです。周りには代わりに行く人もいなかったし、
部長に「どうする?」って聴くと、「行ってもいいよ」って言うので、じゃあ、行こう!になりました。4年続いたライブツアーの最後の3日間のうちの2日。しかも、浜田省吾のファンには「聖地」と呼ばれている地元広島でのライブ開催でした。

年末の忙しい時期に、夜2日続けて夫婦で家を空けるのはちょっと気が引けていました。義母に、何度も「ごめんね~~~」といいながら、娘たちを預けて部長と二人で出かけました。
浜田省吾の『星の指輪』みたいなロマンチックなシチュエーションからは程遠いですが…。

格好は、「おまえ、喧嘩うってんのか?」って言われるほど、すっかりパンクファッション(笑)。「頼むから、その銀蝿みたいなサングラスはやめてくれ!」とも言われた。別に格好はどうでもいいじゃない?

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こんな感じ(笑)

ライブ初日は、ちょっとしたアクシデントの連続で、ずっとキレまくっていました。こんなに腹立たしい気持ちだったライブは初めてでした。終っても、ずっと苛立った気持ちは収まりませんでした。
「そーとー腹立ててるなぁ~~。大丈夫か?」
会場を後にして車に乗り、しばらくたってから部長に恐る恐る声をかけられたくらい私は腹を立てていました。(今思い出しても腹立たしいから、もう書かない)

そして、ライブ2日目。この日は、”きっと昨日と違うぞ!”って思っていました。
名古屋から友人を迎えて、思い出の場所散策をした後だったし、会場に着いてみたら隣に座っていたのは、りゅうりゅうとJUN君(専門学校で教えていた学生さん)だったのです。7500分の1の確立で、友達が隣だなんて、“これは、昨日の分まで、盛り上がれってことだね。”と一気にテンションが上がりました。

名古屋の友人たちに見てもらうため、思い出のアルバムを持って行っていたので、りゅうりゅうたちにも見てもらいながら、開演を待っていました。

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「なんか、隣の女の子、ずっとそのアルバムの方を見たそうにしてたよ」そう言われて、ふと通路を挟んだ席を見ると、女子高生がひとり座っていました。

首にはタオルを巻いて、“これから、気合入れて観るぞ!”って感じ。ライブの始まりを、ソワソワウキウキして待ってる様子でした。

「めずらしいね~~。高校生のファンって・・・。沢山いるんだろうけど、なんか今の省吾を好きな高校生っていうのも、いいね」とその子を見ながら部長言いました。私も、そうだなぁ~って思いながら、あの頃の自分と彼女が重なって見えました。

“わたしが、初めて省吾と出逢ったのも、彼女ぐらいだったな~~”

そして、いよいよ、ライブがスタート。
デビュー当時は、小さなホールの一番前に陣取って夢中で歌と演奏を観ていました。今は、中途半端な近くより少し離れて観た方が、盛り上がっている様子を見ながら盛り上がれるので好きになりました。高校生の彼女も、飛んだり跳ねたり、大はしゃぎ!観ていてホントに気持ちいいくらいでした。

やがて、お決まりのアンコールタイム。会場の中央にセットされたアイランドステージに移動し、大勢のファンを前に懐かしい曲が続きます。

実は私たちの席は、このステージの前から2列目という最高のシチュエーション。そりゃもう盛り上がるっていう騒ぎじゃない。

“姐さん、ここじゃあ、ダイブはできないんですからね!”って、隣にいるりゅうりゅうに制止されるくらい大盛り上がりでした。

“今日は、本当に来てよかった!”そう思いながら、声を張り上げて、拳を振り回し、ジャンプしたり踊ったり、アンコールタイムを心から楽しむことができました。
そして、恒例の、世代調査が始まり、「10代の人は?」と省吾が聞いたときです。

「はい、はい、は~~~い!私・・・・!18歳!女子高生です。大学に今日合格したの!!!!」
隣の彼女が、ピョンピョン跳ねながら省吾にアピールしたのです。

「よかったね。これからだね」省吾が彼女に優しい言葉をかけている様子は、羨ましいというより、微笑ましく感じました。

“やっぱり、あの頃のわたしにソックリだなぁ。”
省吾のためなら何処までも追いかけていって、会場の前に陣取ってライブを楽しんでいた、私の大切な青春時代の思い出です。
色褪せかけてるその光景が、彼女のパワーで甦ってきました。大感激の彼女に周りの人から、よかったね~。っていう言葉をもらって、彼女は本当にに嬉しそうでした。

「これ、見たかったんじゃないの?」

「え~~~~つ?いいんですか?そうなんです。見せていただけるんですか?」

ライブが終っても帰ろうともせず、余韻に浸っている彼女に、思い切って声をかけてみました。

「ずっと前のものだけどね。ちょうどあなたくらいの頃に、私も浜田省吾を好きになったから・・・よかったらどうぞ」

「ありがとうございます。うれしい!!今日は、いっぱいいいことがあった。省吾とも話せたし、こうして、貴重なアルバムを見せてもらえたし・・・」

1枚1枚、嬉しそうな表情をしてページをめくる彼女がとっても眩しくて素敵でした。

あれから、彼女と、少しずつ交流が続いている。手紙やメールで楽しく省吾談義が続いています。
身体中から、「省吾大好き!」っていうパワーを発散する彼女_。名前は沙織ちゃんといいます。

彼女の目には、今の省吾がどんな風に映っているのかな?そして、彼女はこれから、どんな風に省吾やこれから好きになるアーティストを追いかけていくんだろう?
さおりちゃんと、こんな素敵な出逢いが出来たのも、省吾が歌い続けているからなのだと思います。

これから始まるさおりちゃんの「青春グラフィティ」に、乾杯!そして、私も、私らしくまた自分自身の道を歩いていこう!と誓いました。
いつまでもずっと省吾のように、省吾とともに・・・。(2001年12月29日)

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