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ミスを指摘する 2

前回は、指摘する前に整備しておきたいことについて書きました。
日頃から良好な関係を築き、一人一人の仕事ぶりについてしっかり理解しておくと、「相手を傷つけてしまうんじゃないか?」「どういえばいいか?」という不安や迷いが払しょくされます。

1.ミスが起きてしまったときの伝え方

誰も好き好んでミスをするわけではありません。気をつけていてもミスは発生します。そして、ミスをしてしまった者も、ミスを知らされた者も、動揺します。

自分自身が仕事に追われて余裕がない時に、部下や後輩がミスをしてしまったら、”リカバリーのために、自分の仕事に負荷がかかる!”ということを考えて、目の前でオロオロしている部下や後輩への気遣いや配慮が足りなくなるのが、指摘しないこと以上に、よくないことだと思っています。

(1)指摘はミスが起きた時にすぐ行うのが望ましい

良くない指摘の仕方として、代表的なのが以下の2つです。
①今、忙しいから後で(時間が経ってから)指摘する。
②別のミスが発生した時に、「この前もそうだった」と、以前のミス
 もついでに指摘する。
③「何でミスをしたんだ?」という聞き方をする。

①は、時間が経ってから指摘されても、本人が気に留めていなければ何を言われているのかピンときません。
②は、「この前もそうだった」は、”なんでその時に言ってくれなかったのか?”という不信感にもつながります。
③のように注意しても、相手からは「すみませんでした」という言葉しか出てきません。「なぜ」ではなく、ミスが起きた経緯を説明してもらうことが大切です。
そして、自分の仕事が忙しくても、ミスが些細なことでも、発生した時に指摘するのが一番です。

(2)指摘するときのポイント

ミスを指摘するときは、客観的、具体的にが鉄則です。そして、指摘するだけではなく、次にどうしてほしいのかまで、きちんと伝えます。配送センターの作業では、私は下記のように伝えています。

(例)指定日配達の荷物置き場の中に、今日配達の荷物が複数入っていた
「指定日配達の荷物置き場の中に、今日配達の荷物が3つ入っていました。
荷物を仕分けるときに、置き場に入れる直前に、もう一度日付を確認してください」

(3)その場で指摘できなかった場合

やむを得ない事情で、時間が経ってから指摘する場合、私は以下の4つを実践しています。

①部下や後輩に、その日の様子について説明してもらう
②部下や後輩がミスの認識がない場合は、何がミスだったかを具体的に指摘し、望ましいやり方を伝える。(または聞き出す)
③次にその仕事を行うときに、不安や気になることがあれば声をかけてもらうように提案する。
④指摘した内容について納得してもらえたら、気持ちを切り替えて励ましの言葉をかける。

ここで大切にしているのは、「指摘内容が客観的、具体的であること」と、
「注意ではなく、改善を提案するというスタンスで伝える」の2つです。
その後は仕事の様子を見守り、うまくいっていれば声をかけるようにしています。そして、その繰り返しによって、部下や後輩からミスしたことを伝えに来てもらえるような関係が構築できるようにしています。

(4)注意や指摘が感情的になる原因

正しい注意や指摘は、相手を傷つけません。「相手を傷つけるのでは?」と思ってしまうのは、感情的になって行っているからです。なぜ、感情的になってしまうのかというと、

①これまでうやむやにしていて、我慢できなくなって指摘したため。
②うまく伝えていない(伝わっていない)ため、一向に改善されず、イライラ
 したり、あきらめの境地に入っている。
③決めつけ、思い込みが強く、現状が客観的に把握できていない

こんな状態で指摘しても、相手には伝わりませんね。
「最近の若い人は叱られ慣れていない」ということを耳にしますが、「注意=叱る」ではなく、「間違いの指摘」であり「改善の提案」なのです。

2.信頼して仕事が任せられる関係づくりを目指そう

2回にわたって、注意や指摘の仕方について、私自身が日頃から実践していることをまとめました。
部下や後輩のミスをうやむやにせず、きちんと指摘して再発防止や改善を促す一番の目的は、「信頼して協力し合えるため」です。

「ちょっとお願いしていい?」「ありがとう。助かったよ」
何気ない言葉のやり取りですが、信頼して託せるからこそ生まれる言葉だと思います。
また、「何かお手伝いしましょうか」と声がかけられるのも、自分がきっちり仕事をしているからこそだと思うのです。

全てのミスが悪いわけではなく、チャレンジにつながる仕事には、ミスや上手くできないのは当然のこと。それをカバーしたりフォローするのは、先輩や上司の役割です。
私は管理職や先輩の皆様に、「新入社員のミスのフォローできない上司や先輩は、経験もスキルもまだまだと思ってください」と伝えています。

自分も数多くミスやうまくいかないことを経験してリカバリーの仕方を覚えている先輩や上司は、部下や後輩のミスやトラブルにオロオロしません。

そして、食い止める必要があるのは、凡ミス、同じミスを繰り返すこと。これは見逃すわけにはいかないですから、指摘や改善を求めます。

「同じことを繰り返していたら、信頼を無くすよ」

これは私にとって痛い指摘ですが、気をつけよう!のスイッチが入る言葉でもあります。全ての人に響く言葉かどうかはわかりませんが、向上心のある人にとっては、再発防止になる言葉ではないかと思います。

ミスの指摘のように、言いにくいことを伝えるためには準備と勇気が必要です。でも、それさえ整えれば、その先にはお互いを大切に思う関係が待っている!私はそう信じて、実践しています。



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