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「まあ良い」は「良い」ではない


銀行の店舗改善指導を担当させていただくようになって、今年で16年目を迎えます。
最初は、全店のモニタリング調査、および近隣の他行との比較調査を行っていました。これまでに訪問した銀行はのべ1600店を超えます。
全然できていなかったことが少しずつできるようになり、定着し、全店スタンダードになったことがたくさんあります。
最近では、本部から指示を受けた支店を訪問するのではなく、支店からの要望を受けて訪問し、1日の様子をロビーから見て改善提案を行っています。

支店からの要望を受けての訪問になったことで、課題や改善に主体的に取り組む支店が増えています。
まだまだ支店間の温度差はありますが、取り組みはやらされて行うものではなく、主体的に行うものです。
ハードルは高いですが、1店でも多く主体的な取り組みができる支店、そして風土の醸成に尽力していきたいと思っています。

現場改善指導の際に参考にさせていただくのが、支店が実施しているお客様アンケートです。
項目が細かく分かれていますが、その項目に対しての「とてもよい」「まあよい」「どちらとも言えない」「あまり良くない」「良くない」の5段階評価となっています。
長年この取り組みを続けてきたことで、「あまり良くない」「良くない」の評価は激減しています。
改善されたとも取れますし、何らかの理由で評価として出てきていない場合もあります。私が訪問して見せていただく理由は2つあります。

一つ目の理由は、「あまり良くない」「良くない」と評価されていないのは本当かどうか?です。
支店のお取引の関係で「気になることがあっても言えない」場合や、お客さまによって、「そういう評価にあまり関心がない」「末期的症状で改善が見込めないとあきらめている=だから書かない」という場合もあります。
1日かけて業務や応対の動きを見ていると、様々なことに気づきます。大きな改善が必要な場合には、具体的な事象とそれに対する具体的な改善内容をまとめ、その日のうちに手書きの提案書を渡し、必要であれば即興で研修を行い、面談による指導を行うようにしています。

もう一つ訪問させていただく理由は、「お客様に選んでいただける支店を目指すため」の指導です。
その場合は、「とても良い」「まあ良い」の比率を見せていただいています。
取り組みを行っている側の多くが、「まあ良い」も「良い」と思っていますが、それは違います。
選んでいただくためには、「とても良い」と思ってくださっている方がどれだけいらっしゃるか?実際に見せていただいてそれが私も納得できる状態なのか?が大切なのです。

比率を見せていただくと、圧倒的に「まあ良い」が多い。つまり改善することがたくさんあるということです。
同じことをやるのでも、人によるバラツキ、日によるバラツキ、時間帯によるバラツキが生じていないかどうか?を見極めたうえで、どのレベルからの統一化を図っていくか?そして、支店独自の工夫として何を加えていくか?
利用してくださっているお客様の層やご用件などを踏まえて、ご提案しています。

私はマーケティングについて学んだことはありません。本に書いてあるようなマーケティングやセミナーでの話より、お客様の視点で物事を捉えるには何が大切かを実を通して身につけてきました。本に書いてあることより説得力があると言われますし、皆さんがそれに納得して取り組み、数々の成果を出されています。
ですから、常にお客様側と企業側の両方の視点を持ちながら、成果につなげるために具体的で取り組みやすい提案を心がけています。

何事も、全く初めての状態からスタートしますから、すぐには変化や成果が得られません。
0を1に、1を2に…自分が立てた戦略に基づいて実践を続けて数を増やしていくことが大切です。
やればやるほど、数は増えていきます。ですから数を増やすためには「実践・実行」を続けることです。
でも、ずっと数が増えればよいということではありません。
ある程度きたら、その数の質を検証し、より質の高い数を見極めることが大切です。

数だけ増やしていても、成果が得られないのは、ここを大切にしていないことが多いです。

人が読んでくれる文章の長さは20秒以内。最初から最後まで読んでもらうには、20秒で読めて、なるほど!と思ってもらえる文章を書くことです。

高野登さんが、講演会でそうおっしゃっていました。最近の高野登さんのFacebookの投稿は、20秒以内で最後まで読んで、そうきたか!というオチで納得するような内容になっています。私はまだまだその域に達していません。プレゼンも文章も、短いほど難しいです。私の今、一番の課題にです。
まだまだ発展途上、出来ていないことが多い!
でも、まだまだやることがたくさんあります!
出来ることをもっと増やして、数や量ではなく質を高めたい!と強く思っています。

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