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07.正直な気持ち

部屋に入って見たのは、窓の方を向いて座っている次女の後姿だった。
イスの背に寄りかかって、部屋の灯りもつけず、ぼーっと座っているだけの次女の背中から、ショックの大きさが伝わってきた。

先生から不合格の結果を聞かされたとき、これまで体験したことがないほど大きなショックを受けたのだと思う。
いつも好き勝手なことを言って、「ちーちゃんはジコチュー」とみんなから注意されるくらい、普段はわがままで、自分の感情を抑えることなんてしない。でも、今日は私たちのことを察して、落ち込んだり八つ当たりして、心配をかけたくなかったから、明るく振舞ってくれたのだと思う。

決して器用な子ではない。それでも心配をかけまいと、辛い気持ちを抑えて中学校から家まであれこれ考えながら帰ってきたんだろうと思うと泣けてきた。

そして、次女のことを背中から両手で抱きしめて、

「ちーちゃん、悔しいんじゃないの?悲しいんじゃないの?泣いてもいいんだよ。私に当り散らしてもいいんだよ。今、自分の気持ちを押し殺してたら、気持ちは切り替わらないでしょ?泣きたかったら思い切り泣いていいよ。母さんは、悔しいよ。あんなに頑張ったのに、何でうちの子が不合格にならなきゃいけないのって、納得がいかないよ。ちーちゃんだって、そう思わない?
これから先のことも、不安なんだったら正直な気持ちを吐き出せばいいよ。思い切り気持ちの奥にあるものを吐き出してごらん」と言った。

そういい終わった瞬間、次女は号泣した。
こんなに号泣する次女を見たのは、赤ちゃんのとき以来だった。
どれだけ叱られても泣くのは負けだと言わんばかりに、口をへの字に曲げて耐えるような強情なところがある。
そんな次女が、大声でわんわん泣いた。泣いて泣いて泣き続けた。
私は、ずっと後ろから、一緒に泣きながら次女を抱きしめていた。

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