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エピソード8 思い出とともに音楽は語り継がれる

2002年4月_新しい年度が始まりました。今年も勤務するそれぞれの専門学校に、新1年生が入学してきました。

最初の講義は、まずお互いの自己紹介からはじまります。
でも、「この学校に入った理由」「授業に臨む心構え」なんて堅苦しい内容は一切抜き!
私が一番知りたいのは、彼らや彼女たちがどんな音楽が好きで、よく聴いているかです。
大好きな音楽の話をしているみんなの表情は、とても輝いているし、その話を通して、学生たちの人柄も伝わってくるのです。

だけど、最近、知らない曲やアーティストの名前が多くなってきました。
数年前は、何とかついていけてたんですけどね(笑)。

親子ほど年齢に開きがあるんだから、無理もないです。
それでも、演歌とか懐メロじゃなく、パンクやハードロックが大好きな自分自身を褒めてやろうと思っています!

今年も、みんな私の知らないアーティストのこと、曲のことを沢山話してくれました。それがきっかけになって、私が夢中になったアーティストもいます。

そんな中、今年は嬉しい接点を見つけました。

「あの・・・・わたしの好きな曲は、『もうひとつの土曜日』です!」

「え?今なって言った?」
私は一瞬耳を疑ってもう一度聴き返してみました。

「あっ、もう一つの土曜日です。知りませんか?」

「『もうひとつの土曜日』って浜田省吾のあの曲?」

目を輝かせて答えてくれたのは、瑞枝ちゃんという女子学生でした。
ご両親が浜田省吾の大ファンで、小さい頃から車の中で、彼の歌を聴いて育っていたらしいのです。そして、ご両親の一番大好きな曲が『もうひとつの土曜日』だったのだそうです。
私は嬉しくて、嬉しくて、早速ご両親に手紙まで書いてしまいました。

翌週、瑞枝ちゃんは、お母さんから預かった言って、私に1通の封書を手渡してくれました。

「勉強も大切だけど、いい音楽との出会いは、心を豊かにしてくれます。この子が、私たちの好きだった歌を好きになってくれたことを嬉しく思っています。そして、これからも、いい音楽に出会ってほしいと願っています。子どもたちをどうぞよろしくお願いいたします」

我が家の2人の娘たちは、わたしのお腹にいる頃から省吾の歌を聴いてるはずなのに、一向に好きにはなってくれないけど…(笑)、娘たちにも、心の琴線に触れる素敵な音楽と出逢ってもらいたいと思いながら、その手紙を読みました。
想いとともに、音楽は語り継がれ、受け継がれていくのですね。
そして、そこにまた、それぞれのドラマが生まれ展開していきます。

“年齢に開きを感じる!”なんて言ってられないです!私もまだまだ歩きつづけている途中なんだから・・・(笑)。

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