ただ言われたとおりにやっていればいいのか?
仕事に慣れてきて、全配達コースの荷物が入っているボックスの周りに何台かの台車を置いて、コース別に荷物がまとまったらトラックまで運ぶというやり方が、作業時間が短縮できるとわかり、毎日、どれだけ時間が短縮でき
たかを確認するのが楽しくなってきました。
土日だけ勤務しているパートの井上さんは、ボックスに入った荷物を1つずつトラックまで運んでいました。
井上さんがボックスを1つ仕分け終わったときに、私は2つのボックスの仕分けが終わっていました。井上さんの作業のやり方と比べて、早く仕分けるコツは、移動する手間をどこまで減せるかだとわかりました。
全ての荷物の仕分け作業が終わった後、トラック1台分の荷物の端末入力と積み込みが確実にできるようになりました。
まず、荷物を配達エリアごとに分けたあとで、トラックまで運び、荷台の上で端末入力を行ってから積み込むようにしました。
配達日や時間が変更になっていたり、住所や名前が登録されていない荷物が多かったので、操作に少し時間はかかるけど、このやり方ならトラック1台、約30分くらいで積み込み作業を完了できることもわかりました。
作業が終わって、リーダーの木村さんから、
「前任の所長からは、コンテナの荷物を一つずつトラックまで運んで、その都度端末入力をして積み込むように言われていました」と言われました。
少し前に、野田さんと口論になった後、木村さんは私に、「大西さんのやり方の方が早いと思います」と言われていたけど、木村さんとしては、効率的なやり方より、上から言われたことを忠実に守りたいのかもしれないと思いました。しかし私は、
「前の所長がそうおっしゃったのかもしれませんが、私は荷物を1つずつ運んでは端末入力をして積み込むというやり方は、非効率だと思います。あの端末機はすぐ電源が落ちますよね?荷物を運んで来て、その都度電源を入れ直して入力しないといけないんですよ。木村さんは、それでどれくらい時間がかかってしまうのかご存知ですか?それに、その都度荷物を運んで積み込んでも、後から重い荷物や大きな荷物が出てきたら、また積み直さないといけないですよね?そっちの方が、ムダが多いと思いますし時間がかかります。私は、いろいろ試してみて今のやり方がベストだと思ってやっています」
そう言いながら、私も強情だなと思いました。でも、少しでも早くすべての作業を終えてドライバーさんの負担を軽減するために、試行錯誤しながら見つけたやり方だったので、後には引けなかったのです。
私がきつい口調で話したので、木村さんは、何も言えなくなっていました。面倒な奴が入ってきたと思われているかもしれません。
リーダーである木村さんの立場がわからくはないですが、上から言われたことに何の疑問も感じず忠実に従うことより、8時までに作業を完了させることの方が大切だと私は思っていました。
そして、今はトラック1台分の積み込み作業で精一杯だけど、少なくとも2台の端末入力と積み込み作業を8時まで終わらせるようになりたいと思ってたし、そのためなら、もっと効率の良いやり方を探してやってみたいとも思っていました。
しかし、もっと効率の良いやり方の中には、木村さんの言うやり方は入っていませんでした。上(所長)から、きちんと理由を説明されたうえで指示されたことであり、なおかつそれに従うことで、時間内に作業が終わることができる効率的なやり方でない限り、私は従うつもりは一切ない!と思っていました。
今振り返ってみても、こういうところは昔と全然変わっていないなと思います。融通の利かない性分も、私自身の仕事に対する姿勢もそうですが、会社が現場に対して指示するやり方も30年前のまま。呆れて笑えるような状態でした。