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(ノートが)「取れない」ではなく「取り方がわからない」だけ

昨日は、専門学校の4回目の講義でした。
講義は全7回ですが、最後の講義は成果発表と修了レポートの下書きにしているので残りは3回となりました。

この学校に通い始めて今年で24年です。担当し始めた時から「今日の気づき」という感想レポートを介して学生と対話しています。このやり取りのおかげなのか、出席率は担当し始めた頃からずっと100%です。

「今日の気づき」とは、下のようなフォームになっています。

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上部にその日の講義を通して気づいたこと、感想、質問、学校生活や人間関係の悩み(イラストも可)などを書き、講義の終わりに提出してもらいます。
メッセージの欄は、私がその内容に対してコメントを書いています。質問や悩みについて書いてあれば、その回答やアドバイスも行っています。

書いてある内容がたとえたった1行でも、私はmessageの欄にぎっしり書き込んで返しています。
24年前は、3学科全員で約90名でしたが、10年くらい前から、50名前後に減りました。
授業は週1回のペースですが、スケジュールが合わず、講義が3日連続だった年もありました。
人数が多くても、講義と講義の間隔が短くても、次の講義には、「コメントをぎっしり書いて返す」ということを24年間欠かしたことはありません。

「今日はどんなコメントが書いていあるのか、毎回楽しみでした」
「こんなにたくさん言葉をかけてもらえるのは、幼稚園以来で、本当に嬉しかったです」
「毎回ぎっしり書いてあるだけでもすごいけど、一人一人、書いてあることが違うんですよね!本当にありがとうございます」
「講義の内容以上に、このレポートでのやり取りから学ぶことが多かったです」

7回の講義が終わったときに提出してもらう最後のレポートには、そんなコメントがたくさん書いてあります。

しかし、この24年間で、携帯電話やスマートフォンが普及し、パワーポイントでの講義が中心になっていくにつれ、学生さんたちは「書く機会」が少なくなってきました。
たとえ1行でも、私は講義の様子を思い浮かべながらぎっしりコメントは書けるけど、学生さんたちにもっと書くことの大切さや楽しさを味わってもらいたい!と思うようになりました。

そこで、今年は講義の初日に、この用紙の使い方を紹介しました。
「何でも書いていいよ」の路線は変えていませんが、用紙を3分割して、「①講義内容のメモ」「②感想」「③質問」に分けて書いてもらうようにしました。
感想だけでなく、講義の記録にも活用していただくことにしたのです。
そして、この用紙に記入するタイミングも、何回かに分けて時間を取るようにしました。

その結果…

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ほぼ全員の「今日の気づき」がこんな状態になりました。スペースが足りなくて裏も使って書いている学生さんもたくさんいます。
この用紙に記入する時間を取っていますが、いつの間にかみんな筆記具をもって、小まめに何か書いているんです。

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分割して書いてあると、私も読みやすいしわかりやすいです。
講義中は、黒板には書かないので、講義内容をメモする部分は、学生たちが自主的に自由に書いてくれています。
私が話した言葉で、印象に残った言葉もたくさん書いてあり、それがみんな異なっているので、読みながら「この学生さんには、その言葉が響いたんだな~」と嬉しくなります。

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まだ、あまり日本語がわからない留学生の方には、教えてもらった翻訳アプリを使って、手書きで中国語のワークシートを作成して渡すと、とても喜んでくださっていました。

よく「学生や若手の人はメモやノートを取らなくなった」ということを耳にします。確かに、研修でも講義でも、「書いてください」と言わなければ
筆記具を持たずに話を聞いています。

私は「メモやノートを取らなくなった」のではなく「取り方がわかないだけ」だと思っています。小学校・中学校・高校の授業でも、ノートの取り方を教えてもらったことはありません。みんな自己流で、どんなふうに取っていいかわからないまま、授業を受けていたのではないかと思っています。

ですから、ほんの少し、用紙の使い方を紹介すると、みんながそれを一生懸命活用してくれて、1枚1枚のレポートから、驚きやワクワクが伝わってくるのです。
講義はあと3回。1回1回、一人一人と対話を楽しみながら、一緒に学びを深めていきたいと思っています。

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